2011年05月08日
アンダーステア発生のメカニズム
ご覧になってる方もいらっしゃるでしょうが、某掲示板でのショックアブソーバーでの議論で、「アンダーステア」について正しく理解されてない方がいるようなので、ここをご覧の方にも参考になるかと思い、アンダーステアというステアリング特性が生じるメカニズムを書きたいと思います。
また例によって長文かつ、理屈っぽいウンチクなので、どうぞ、興味のある方だけ読んでやってください。
一口にアンダーステアといっても、細かく分ければいくつかのタイプがありますが、ここでは大きく分けて2種類のアンダーステアについて述べさせていただきます。
まずはロールに伴うアンダーステアです。
車高を落とした方ならご存知でしょうが、車高を落としたらフロントがトーアウトになり、リアがトーインになります。だから車高を落とした場合、アライメント修正が必要になるわけですが、この現象はプリウスに限らずどの車もそうなるよう構造上セッティングされています。
このフロントがトーアウト、リアがトーインになる現象は、コーナーリング中、アウト側がロールによってスプリングが縮んでボディーが沈み込んだときにも同じように起きます。
つまり、荷重の掛かっているアウト側の前輪はトーアウトで後輪がトーインの状態なわけで、当然車は舵を切ってるよりもアウト側へ進行しようとし、つまりはアンダーステアなわけです。
乗用車が一般に弱アンダーに設定されていると聞いたことがあると思いますが、これがそのセッティングによって生じるアンダーステアで、後述するアンダーステアと区別するために「ロールアンダー」とも言われます。
ただこのロールアンダーは、後述するアンダーステアとは違い、タイヤのグリップ力は限界を超えてないので、ステアリングを切り増しすれば、容易に修正できます。
次にもう一つのアンダーですが、
車には前後左右4つの輪があります。当然ですね。
コーナーリング中、漫画のルパンIIIに出てくる車のように、内側のタイヤが浮いてしまわない限り、フロントはフロントの左右のタイヤのグリップ力を合わせたトータルグリップで、リアは同様に左右のタイヤのトータルグリップで遠心力に耐えています。
このとき、リアのトータルグリップよりフロントのトータルグリップが何らかの原因により低下した場合、限界付近でどうなるかといえば、当然リアよりフロントが先にコーナーのアウト側へ流れやすくなります。
もうお分かりでしょうが、リアはまだグリップしてるのに、フロントがアウト側へ横滑りを始めるのでアンダーステアとなるのです。
このアンダーステアの場合、フロントは限界を超えているので、大きく限界を超えている時は危険で、いわゆる「どアンダー」として側壁に貼り付く事故になりかねません。
特に下りのコーナーでのスピードの出しすぎには要注意です。
なお、このアンダーを強めるのは、フロントのみボディー強化をしたり、フロントのみスタビライザーを強化したり、リアよりフロントのサスを固めたりなど、偏ったチューニングが原因となることが多いです。
なぜフロントのみ固めるとフロントのトータルグリップが低下するかは難しい話しですが、コーナーでの荷重移動の際、車のボディーがしなり、サスが縮むことでタイヤの接地面への荷重がマイルドになるところを、フロントのボディーやサスが硬いとフロントのアウト側のタイヤにのみ急激に荷重がかかります。
極端な例で言うと、同じ重さの漬物石を、そっと床に置いてもどうって事ありませんが、これを頭の高さあたりから落とすと石が割れたり、あるいは床が損傷したりしますよね?
車の場合、ただ単に上からの荷重だけならまだいいのですが、これに遠心力も働くため、柔らかく荷重したときよりも急激に荷重した時の方がタイヤのグリップ力が破綻しやすいわけです。
で、イン側のグリップ力はほとんど変わらないので、結局固めた方のトータルグリップ力が落ちるということになるんです。
なお、フロントよりリアのトレッドを広くした場合も、アンダーステア傾向になります。
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Posted at
2011/05/08 15:31:51
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