私は機会を見てはお年寄りを捉まえて昔話を聞くのが好きです。歴史は普通文献を頼りに学びますが、100年以内のことなら、お年寄りの体験談も非常に勉強になります。さて、今回のタイトルですが、とある大正生まれのお年寄りからあの「忠犬ハチ公」の話しを聞くことができました。その方をここではAさんとしますが何と、Aさんは渋谷駅の例の場所で生のハチ公に何度も触れたことがあるそうで、ハチ公は子供達からじゃれ付かれたり、抱きつかれたり、時には悪ガキからちょっかい出されたりしても、ほとんど微動だにせず、じっとしていたおとなしい犬だったそうです。ハチ公の有名な美談については否定論もあり、渋谷界隈の人達が焼き鳥などを与えるため、それを目当てに通っていたという人もいますが、Aさんは断固そんなことはないとキッパリ言い切ります。とにかく、朝と夕方には、必ず改札口の同じ場所にいて、改札から出てくる人達を一人一人チェックして、(元の)主人の上野博士がいないと見ると首を下げて座りこんで次の電車の到着を待っていたそうで、朝と夕方にはほとんど毎日いたそうです。また、その主人を探すときの目がとても可愛いかったそうです。ハチ公は秋田犬ですが、秋田犬は主人に忠実で、かのヘレン・ケラー女史が秋田県を訪れたとき、秋田犬を欲しがり、プレゼントされて連れて帰ったことでも有名ですが、戦後、ヘレン・ケラー女史は渋谷駅を訪れ、ハチ公の銅像に触れたそうです。また、以前ラジオで聴いたのですが、こんな話しがあります。秋田県の秋田犬の繁殖者のところへ黒人男性が訪れ、盲目の兄のために秋田犬を探しにきたとのこと。何でも、その兄が飼っていた秋田犬が死んでしまったそうで、次も是非秋田犬を、それも、アメリカン・アキタではなく、日本の秋田犬を、ということでわざわざ日本に探しに来たそうですが、その兄とは実はあのスティービー・ワンダーでした。ところが、無事に良い犬が見つかったものの、相談を受けた繁殖者がご年配のため、スティービー・ワンダーが誰か知らずに対応し、後にそれが偉大な歌手だと知ってびっくり仰天したそうです。話しが横にそれましたが、秋田犬は普通、腹や顔が白く、背中や頭が薄茶色の場合が多いですが、Aさんによるとハチ公は全身ほとんど白だったそうです。ただ、晩年になって、背中が若干茶色っぽくなったそうです。