あまりピンと来ない方も多いかと思いますが、私が必ず工具箱に
忍ばせてあるグリースの一つをご紹介します。
知っている人には当たり前。知らない人はこの機会にどうぞ!ってな商品です!
それは
アンチシーズ(ボルトの焼き付き防止)と言って、主にボルトのかじり防止に
使用するグリースです。
分かりやすく言うと、高温になる部品のボルトとネジは固着しやすい。
特に、同じ材質同士だとカジりやすいです。
具体的に言うとマフラーのボルトとナットが典型例です。
金属は同じ素材の場合、カジる(固着)しやすい。
すると外れないばかりか折れたりします。
そこで、若い頃CRC等の潤滑剤を塗りますが、それはあくまでその時だけ。
次回、外す時には間違いなく固着しています。
私も30代前半までボルトの事なんて考えもしなかったし、知りもしなかった。
きっかけは随分昔に偶然レース屋さんに行った時、メカさんが謎のグリースを
ホイールボルトや排気系に塗っていた。
聞くと、カジり防止で熱がかかるボルトには塗るのがレース屋の基本整備との事。
発端はどうも外車らしく、昔の外車やレース車両ではボルトがよく折れたらしいのです。
国産車ならまだしも、外車の場合は精度不良が多く、つまらないボルト折れで大惨事に
ならないよう、アンチシーズを塗るのが当たり前との事でした。
ポルシェなんて油冷だからかは分かりませんが、車体の全てのボルトに塗っていたとも。
国産ではWAKOSのスレッドコンパウンド(スレコン)が有名ですね。
これは銅粉を主成分とした微粉末金属粒子なので黄銅色をしています。
チューブだと\2,000ぐらいだったと記憶してます。
で、私が使用するのはこれ↓
世界のブランド ”PERMATEX”
工具箱に入れておきやすいチューブタイプなんて\800程度!
ご存じ無い方がほとんどだと思いますが、実はプロメカニック御用達のブランドで、
米国では誰もが知るボルト・ナット関連の有名ブランドです。
元はロックタイト社と共同で製品を開発していて、ネジロック剤が有名なのでご存じかと
思いますが、実はその製造や特許技術はPERMATEXが持っているという老舗ブランドなんです。
フォード・GM・クライスラーといった自動車メーカーのエンジンに使用されている
液体ガスケットは全てこのメーカーから供給されています。
ウンチクはこのぐらいにしておいて、WAKOSのスレコンは一つですが、
PERMATEXは適材適所によって色々あります。
プロメカさんのひそかな拘りとして部位によっても使い分けるとか♪
いずれも870℃~1,300℃まで保持する耐熱グリースなので、高温で
飛んでしまう事は無く、シール性にも優れているので長期間に渡って
ネジの締め付け軸力が一定となり、分解も容易です。
サーキット走行車は是非、ホイールボルトやキャリパーボルトに
塗る事をお勧めします。
ちょっとの手間ですが、度重なる脱着でも簡単には無くならず、
ボルトを回すと気持ちいい!!

トルクレンチで締める時も回り方というか、重さが一定で適正トルクが
かけられている事を感じれます。
塗布のコツはボルトにちょっと付けてやってナットを回すと全体に広がりますが、
付け過ぎが嫌な人は捨て歯ブラシでクルっと馴染ませてやれなグゥ~♪
※指でやらない方がいいです! もの凄く微小な粒子のグリースなので
指の指紋に入り込み、なかなか拭えません(笑)
例えば他にも、
スパークプラグ
ハブナット
排気系全般などなど・・・

マフラーや触媒やタコ足のボルト・ナットにも超お勧め♪
もちろん、グリスは用途に合わせて適材適所に使用するものです。
他にもこんな優れ物もあります!
軸力安定剤”Fcon”
私は熱のかからない足回りのアームボルトやカムボルト等に使用しています。
これについては、私の大先生である
PIKO殿に今度熱く語って頂きましょう(爆)
さて、ここで、余談に入ります(笑)
私は見えない所に拘り、気を使うのが本当のプロだと思っています。
以前ご紹介した
SKRさんはレース屋さんだからと言う訳ではないでしょうが、
頼んでもいないので普通に組み付け時にこのPERMATEXのアンチシーズを使って
おりました。
”何故?”って聞くと、
”そんなの当たり前じゃん”と返って来た(笑)
どう思います(@_@)!??
別にこの耐熱グリースだけに限った事では有りませんが、普段整備にお金を落としている
車屋さんやショップさんでこう言った事をやられているところってどのぐらいあるでしょう!?
言われるまでも無く、サラっとこういう事をやってくれるところにプロ意識を感じます。
工具も同じ事が言えるかと思います。
機械や整備に対して真摯に向かい、プライドを持っている人達はやはり工具を大事に
しています。そのブランドは何であれ、正に自分の手足となる工具にはそれなりの投資を
行い、これで俺は食っていくんだ!という気概まで見えてきます。
私はこれで食っていないので工具はかなり無頓着(爆)
皆さんも通われている所があったらどんな感じかを一度思い出したら見てみて下さい。
綺麗なショールームで一見良さそうな雰囲気を出していても、安い通販工具や雑然とした
統一感の無い工具で整備しているところもあれば、
その逆で汚いガレージながらも、一流工具が磨きこまれていて整然と並べられている所もあります。
明らかに前者はヤバイですね。後者は惜しい。
で、二つ揃っていると別の意味でヤバイですね。吸い寄せられてしまいます(笑)