来年度税制改正に向け、経済産業省がまとめた自動車税の引き下げ要望が18日、明らかになった。
基準を軽自動車税の負担水準と同等の排気量1cc当たり16円に設定。排気量が1500cc超2000cc以下の自動車税は、年間3万2000円で、現行より7500円減額される。
要望は、年末に行われる与党の税制調査会での議論のたたき台となる。ただ、代替財源の確保が課題となっており、実現するかは不透明だ。
経産省は、国内の雇用を支える自動車産業を守るため、自動車保有に関する税負担の軽減を求めている。来年10月の消費税率10%への引き上げを表明した安倍晋三首相も「来年10月1日以降に購入する自動車の保有にかかる税負担の軽減について検討を行う」との方針を示している。
自動車関連税に政治が手を付けられない事情
「日本の自動車ユーザーが世界一高いレベルの税金を負担しているという事実を踏まえたうえで、今年こそ、抜本的な税制改正に取り組んでまいりたい」。トヨタ自動車の豊田章男社長はこう決意を示した。
豊田社長は自動車メーカーで作る日本自動車工業会(自工会)の会長を務める。9月20日に、自工会会長として記者会見した際、自動車にまつわる税負担の軽減を訴えたのだ。
ではなぜ今なのか。その引き金は、2019年10月に予定されている、消費税率の引き上げだ。
■消費増税時に起こる車の新たな税負担
自動車は金額の大きな耐久消費財である。消費税率が上がると、自動車購入者に大きな金額の消費税を支払ってもらうことになるため、購入意欲をそぐとの見方が根強い。消費税率を現行の8%から10%に引き上げる代わりに、「自動車取得税」は廃止されることになっている。しかし、単に廃止されるだけでは済まず、「自動車税」と「軽自動車税」に、”環境性能割”という新たな税負担を課すことも決まっている。
別の言い方をすると、消費税率が10%に引き上げられないと、自動車取得税は廃止できない。現に引き上げを2度先送りした際には、自動車取得税の廃止も先送りされていた。だから2019年10月という機を捉えて、豊田社長は自動車税制の抜本改正を訴えている。
ここで、自動車にまつわる税がいくつか出てきたので、整理をしておこう。自動車には、取得時や保有時、利用時、走行時に、多くの税が課されている。ガソリン車には取得するときに「消費税」と「自動車取得税」(道府県税)がかかる。車を保有するだけで「自動車税」(道府県税)、車を利用するため新規登録や車検をすると「自動車重量税」(国税)がかかる。そして、走行するためにガソリンを使うと、「揮発油税」(国税)と地方自治体に譲与する分の「地方揮発油税」(国税)と消費税もかかる。このようにガソリン車には6種類の税が課されている。
またディーゼル車にも、取得時や保有時、利用時に、同様に「消費税」「自動車取得税」「自動車税」「自動車重量税」がかかり、走行時には(軽油を使用するから)「軽油引取税」(道府県税)と消費税がかかっている。
さらに軽自動車には、取得時に「消費税」と「自動車取得税」がかかり、保有時には「軽自動車税」(市町村税)がかかる。そして、利用時には「自動車重量税」、走行時には「揮発油税」と「地方揮発油税」と消費税がかかっているのである。
ここで挙げた自動車にまつわる税は、計8種類にも及ぶ。加えて、LPG(プロパンガス)で走る車なら、走行時には「石油ガス税」(国税)と「消費税」がかかるから、これまで合わせると9種類になる。
どうしてこれほど多くの税が自動車にはかかっているのか。
それはわが国の税制を形作っていく経緯の中で、創設当時にそれぞれの考え方が反映されてきたからだ。もともと自動車は裕福な人しか持っていなかった。その当時の発想から、自動車という財産を持てるほどの人は、税金を支払えるだけの経済力のある人だから、財産税的に「自動車税」をかけることにした。その後、自動車税は、登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車に対して、重課することにした。自動車が環境に対して一定の負荷を与えていることから、環境損傷負担金のような性格も併せ持つことになった。
さらには高度成長期に道路建設の必要性が高まり、自動車を買う人に建設財源の一部を負担してもらおうということで、1968年に「自動車取得税」が創設された。これは1989年に消費税が導入される前のことだ。先に自動車取得税があったが、消費税導入後も自動車取得税は残り、購入時に2つの税が同時に課されることになった。
■税創設時の意義はもはや薄れてしまった
「自動車重量税」は、車検を受けることによって初めて自動車の運行が可能になるという、法的地位に着目して課される”権利創設税”とされている。重量に応じて段階的に税率を設定している点で、道路損傷負担金のような性格が強いと言える。
また「揮発油税」は、ガソリンを使って道路を走ることから、やはり道路損傷負担金のような性格がある。
確かにこのような課税根拠を持ちながら、自動車に対しては多くの税金をかけている。しかし、創設当時にはそうした発想で課税を始めたのだが、果たして今日的な意義はあるのだろうか。
自動車取得税は、取得時の課税として消費税をかけているわけだから、二重に課税する意義はない。結局、消費税率を10%に引き上げるとともに、廃止される予定だ。
そもそも今や自動車は、富裕層だけのものではない。特に公共交通機関の少ない地方では、自動車は欠かせない足となっており、富裕層でなくとも財産税的に保有時に自動車税や軽自動車税を課すことについて、意義があるとは思えない。
こうした問題意識から、冒頭の豊田社長の発言が出てきたといえよう。自工会は2019年の税制改正に向けて、消費税引き上げによる自動車ユーザーのさらなる税負担増を回避することをうたい、「自動車税」を軽自動車税並みに減税すること、「自動車重量税」の税率引き下げ、「エコカー減税」などの延長を要望している。
この要望はすんなり受け入れられそうなのかと言えば、実は容易に受け入れられない現状がある。
それは自動車減税によって税収が減るからだ。特に前掲の自動車関連税には、都道府県や市町村の税収が多い。だから自動車減税には地方自治体が強く反対している。
霞が関では、自動車業界を所管する経済産業省が自工会の要望を反映させるよう働きかけているが、国税を所管する財務省と地方税を所管する総務省が税収減を強く警戒する、という構図になっている。
自動車減税に向けた最大の難関は、財務省というより総務省だ。都道府県に入る自動車税の税収は年1兆5000億円ほどある。それを自工会の要望通り軽自動車税並みに税率を下げると、1000億円単位で税収が減る。まさに、“too big to fail”(税収が大きすぎてつぶせない)状態だ。
■電気自動車が普及すれば大前提が変わる
その減収を補塡するとなると、他から財源を見つけてこなければならないが、自工会は代替財源を自動車ユーザーには求めないように要望している。だが自動車の減税を、自動車とまったく関係ないところから負担増や支出削減で財源を得るとなると、政治的に説得が難しい。
だからといって、自動車関連税制を現行のまま温存していてよいわけではない。ここで説明した自動車関連税とは、自動車がガソリンなどの化石燃料で動くことを大前提にしたものであるが、今後は電気自動車(EV)など化石燃料を使わない車が出てくる。それなのに、将来、現行税制のままで対応できるのだろうか。
自動車関連税制については、変わりゆく自動車の新しい姿を意識しながら改革すべく、今般の税制改正の解決策を見つけるとよいだろう。
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