さて、昨日は
より多くの燃料を噴かせるため、
空気の量を増やす方法を羅列しましたが
増やせば増やすほど、どんどん吸われるため、
燃やしたガスはさっさとどっかに行ってもらいたいところ。
出口がもたつくと入口にも影響します。
排気に関しては、、量は変化させることができないので
吸気よりシンプルですが
いじる部分が少ないという意味で難しいです。
では、出力向上のための排気改善とは。
①排気効率を上げる
マフラー交換・エキマニ・触媒ストレートですね。
マフラーは消音のため、流速を落としてるので
音をうるさくすることで効率が上がります。
エキマニは、生産上、材質や形状が
効率重視にはなっていないので
等長タイプや、集合方法を変えることで理想的になります。
触媒ストレートは付ける予定はないので割愛。
②排気温度を逃がさない
吸気の話で、「気体は温度が上がると膨張する」
と話しましたが、今度はせっかく上がった温度を逃がしません。
燃焼室から出た膨張しまくってるガスは
一目散に出口へ向かおうとしますが
ここで温度が逃げると排気速度が下がり、
次のガスよりも流速が落ちます。
次のガスは前がつっかえて出ていけず、
負のスパイラルに陥ることになります。
エキマニにサーモバンテージを巻くのは
エンジンルームの温度を
上げないようにするためでもありますが
それ以上に熱を逃がさないためです。
ですがこの2つをやりすぎるとやはり
低回転での慣性力が落ちてトルク落ちの原因に。
吸気も排気も考え方は一緒ですが、
『じゃあ入口出口で剥き出しにすれば効率いいじゃん』
ってなるかもしれませんがこれは必ずしも正しいとは言えません。
昨日も少し触れましたが、
エンジンが負圧で吸う量が決まっているNAでは
『慣性加給』がモノを言います。
難しい話なので、下手くそな絵で表現しましょう。笑
エンジンは、連続で燃焼しているとはいえ、
事象事象を細かく分解すると、
空気の流れが止まってしまう時間のほうが長くなります。
4ストロークエンジンではクランクシャフトが720°回転する間に
吸気→圧縮→膨張→排気
を繰り返します。

吸気バルブにクローズアップしてみると、
720°の間にバルブが開いている間はわずか。
仮に1サイクルで割って180°とすると、3000rpmで毎秒50回転。
1行程2回転あたり0.04秒。180°は1/2回転なので0.01秒。
それ以外の0.03秒間では閉じたバルブに塞がれて空気が渋滞します。
でも、後ろからはさらに空気が進入しようとしてきます。
自身が持っていた速度と、後ろからの圧力によって、
バルブ直前の空気は押しつぶされ、圧力が上がります。
そして、バルブが開いた瞬間、押しつぶされてた力が解放され、
シリンダーに空気が一気に流れ込みます。
これが吸気慣性効果です。
この絵ではインマニの空気の流れを表現しましたが、
これはどこでも適用されます。
エアクリボックスでも、エキマニでも。
低回転で空気に速度がない中でパワーを出すには
これが最も重要です。
大事なのは
『空気は質量を持った物質』ということです。
質量を持っていれば
『慣性の法則』を適用できます。
また、正圧でなく負圧で考えると、『脈動効果』ともいいます。
心臓や灯油のポンプを想像してもらうと
わかりやすいですが、
流体が出ていった空間には負圧が発生します。
出て行った空気が次の空気を吸わせるわけです。
固体では無理ですが、液体や気体は「連続体」
であるので、連続して運動を続けるエンジンは
これをおいしく利用することで、100%の性能を発揮できます。
つまり、エンジン前後の吸排気管を取っ払えば、
『ピストンのストロークで発生する正圧・負圧で吸排気』することになり
エンジン単体での性能が出ますが、
吸排気管を効果的につけることによって、それ以上の性能が出せます。
長くなりましたが、最後。
『じゃあ吸排気管を超長くすれば慣性加給の効果も
あがるからパワーもあがるんじゃないの?』
『違います』
さっき言ったように、『空気は質量を持った物質』です。
つまり、流管を長くすればするほど、重くなります。
それを動かすきっかけは結局ピストンのストロークなので
重くなった空気が吸気でもたつく、排気でもたつく、
結果、エンジンのふけ上がりが悪くなる=レスポンスが悪くなります。
レスポンスと低速トルク。
どちらを優先するのかがNAの醍醐味でしょうw
ぼくはどっちも優先しますww
次回はこの机上の空論からのプランをば。
Posted at 2012/10/24 00:23:55 | |
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出力向上計画 | 日記