マカオGP2回目の挑戦から無事に帰ってきて1週間が経ちました~
たくさんの応援ありがとうございました!!

昨年のマカオ初挑戦したその日から1年、
スーパーGTの最終戦と同じ日ということで、どちらかをチョイスしなければならないということがありましたが、今年のメインイベントとして僕はマカオGPを選びました。
相変わらずアホな選択でしょ?笑
こんな刺激的なレース、他じゃ経験できないってことで、レーサーとしての血が騒ぐ方を選びました。
もう40過ぎてこんなアホなこと、できないよな~って(^_^;)
でも自分の純粋なレーシングドライバーとしての最後の挑戦!っていう意味で、子供のころから憧れていたマカオっていう舞台は最適だなって。
あ、ドライバーを引退するっていう意味じゃなくて、今の自分はドライバーだけで生活しているわけじゃなく、会社があったりチームがあったりエンジニアの仕事もあったりと、ドライバーだけのことをできる環境ではないから、っていう意味で。
こんなテンションの高いレースにいつも出てたら仕事放棄しちゃうからなんです(^_^;)
少なくても社長ならば、スタッフの生活を背負っているというのは自覚しなければならないし、チームを持っている以上若いドライバーの子たちにも走る環境を作っていかなきゃいけないという責任もあるしってことで。。。
だからこそ、このマカオという舞台を一つの区切りとして、レーサーとしての最後の舞台と思って挑戦することにしたんです。
これまでの自分のすべてを出し切るつもりで挑みました。
そんな舞台のGT CUPは年々ワークス勢の戦いが激しくなっていて、アウディ、メルセデス、BMWのワークスドライバーもみんな20代の若手バリバリの怖いもの知らずのドライバーばかり。
それもF3やWTCCなどでマカオで優勝やポールポジションを獲っている実績のあるやつばっかり。
40過ぎの、家庭持ちの、マカオ2回目の、実績なんてな~んにもない日本人のおじさんドライバーなんて誰も見向きもしないのが当たり前~
そんなところに飛び込んでいったというアホなおじさんのお話です(笑)
ワークスの中でも若手をチョイスするのはそれだけ危険だっていうことと、勢いがないと速く走れないのがこのマカオというコース。
ベテランは走った分だけ色んな技が増えるんだけど、その分経験からくる怖さもインプットされて思い切っていけなくなるということもあります。
だからプロになればなるほど、歳をとるとこういったリスクから離れる傾向があるんです。速く走れなかったら評価も落ちるし、クラッシュしたらかなり危険な場所だし・・・
逆に若手のドライバーとしては、マカオで速いドライバーは本当に速いっていう評価をもらえるから、自分の力を試すにはうってつけの舞台だと言えます。
でも今年のメンバーは名前を売ろうって奴だけじゃなく、本当に若手の精鋭が集まってしまいました。
アウディワークスはマカオで連勝中のモルタラと、ブランパンシリーズでチャンピオンを獲ったバンスール。
メルセデスワークスは、昨年ポールをとったエンゲと同じく引き続きバン デ ザルデ。
BMWからは今年のDTMチャンピオンのウィットマンと切れた走りのファルファス。
他にもポルシェスーパーカップのチャンピオンのバンバーや昨年2位のマクラーレンのワッツに、F3でポールポジションの実績があるカルロ バンダムなどなど・・・
ガチのGT3の世界選手権って感じ!!
本気のワークス戦争って感じのメンバーです(^_^;)
そして、そんな連中の中でやり切ってきました!!
フリープラクティスで6位。
予選1回目で8位。
予選2回目で7位、総合順位も7位というグリッドを得ました。
GT3といえどカスタマーカーとワークスカーとはちょっと違う。
そしてメルセデスワークスとは全く違うセットアップで挑み、ワークスカーの1台のコンマ2秒差まで詰め寄ることができ、AMGのスタッフからすごい賞賛をもらえました!!
おじさんでもやるでしょ!!
そしたらAMGのエンジニアが、「おまえはおじさんドライバーだけど、GOODエンジニアでもあるな!」って。
システマチックに行われている近代のレースシーンでは、ドライバー自ら走行終了後にアライメントを取って夜中までガレージで作業してるなんていう30年前のオールドスタイルは異常に見えてたと思います。実際、AMGのスタッフは予選1回目が終わるまでは全く相手にされず、ほとんど話もしてくれなかったから。
でもやっぱり速く走ると認めてくれて、予選1回目の後は急にすごく協力的になってくれて、ワークスとのロガー比較もチラっと見せてくれたし、セットアップのアドバイスもすごくしてもらえた!
でもセットアップは自分たちで考えた、今年の1年のデーターを軸に東條さんにアドバイスをもらいながら作った自分たち独自のセットで最後まで勝負しました!
実際ワークスからアドバイスされると「そうなのかなぁ~」って悩んだりもしたけど、チームのみんなが、「自分たちのやってきたことを信じていこう!」っていう風に言ってくれて、最後まで自分たちを信じ切っていくことができた。
だからこそマカオでしっかり戦うことができたんだと、終わってみてそう思います(*^_^*)
そして決勝は結果から言うと、最終ラップで6位のポルシェのバンバーを抜きに行って、奴が曲がり切れない感じで道を塞いだために、バックしてコースに復帰する間に抜かれて14位という順位でしたが、まぁ、所詮6位なのでいっかと思ってます。
ちょうど写真があるので、こんな感じで↓



こいつ、曲がる気ないやん(^_^;)
ずいぶん前からステアリング逆にきってるし・・・
ま、日本のおじさんに抜かれるくらいなら止まった方がましだって思ったんでしょう(笑)
でも考えたら前は全部ワークスドライバーで、カスタマーカーは同じチームのBMWワークスのファルファスだけ。
その後ろで走っていたってことだけでもみんなを驚かすことができたみたいです。
でも決勝は内圧の設定をミスって3周でタイヤがタレてペースが上がらなかったし、ブレーキパッドを新しいのに変えていかなかったので、パフォーマンスが中盤落ちて危うく壁に当たりそうなことが何回もあったしで、はっきり言って決勝は勝負できませんでした。
考えてみたら去年はスタートでぶつかって終わってたから、決勝は走ったことないんだったって・・・(^_^;)
まだまだ足んないことだらけですな~
すべて実力通り。それがマカオGP!
こんな感じで僕の2回目のマカオGP挑戦が終わりましたが、本当に自分の今の全力を出すことができたと思います。
これは何よりチームのみんなが、僕の最後の挑戦を全力で後押ししてくれたからに他ありません。
BMWとメルセデスを2台づつエントリーさせているうちのチームは、まずBMWチームとメルセデスチームとの間に、完全な壁を作らされました。
ま、これは当然として、でもそれだけじゃなく、
僕とバンダムのメルセデス同士の間にも壁を作られました。
これは僕からBMW側に情報が漏れてしまうことを考えた上での処置だったのですが、バンダム号だけをAMGのエンジニアとメカニックが見るという話になり、4台チームのエントリーだったのに完全仲間外れの1台にさせられた。
まぁ、はっきりいってレースしに来ているから誰かの助けなんかに頼ってたらこのマカオでは戦えないって思ってたので、そんなに意に介さずだったんですが、チームのみんなが憤慨してくれて、文句言ってくれたり、、、
そんな雰囲気にも僕は勇気をもらえて、より集中することができました(*^_^*)
本当に感謝しています。
みんなが僕のためにやってくれたこと、僕に想いを預けてくれたことに。。。
そしてその期待に応えることができたと思っています。
これまでたくさんの失敗を経験してきて、ようやくレーシングドライバーとしてみんなの期待に応えることができるようになれたと。
ほんと、遅すぎですね・・・
最後って決めたレースで、ようやく完成した感じかな(笑)
そんな素晴らしい経験をさせてくれたチームと、支援してくださったスポンサーさんには本当に感謝の気持ちしかありません。
本当にありがとうございました!!
そしてそして、、、
最後って決めたこのマカオですが、、、
チームからも、スポンサーさんからも、現地に来ていた日本人のみんなからも、AMGのスタッフからも、本当にたくさんの人たちから「来年もチャレンジしろ!」って言われたので、、、
1年後にどういう気持ちでいるか、それまで考えます!!
正直言って、こんな素晴らしい舞台は、できればなるべく若い子に経験してもらいたいっていうのが本音なので、もう終わり近いおじさんドライバーは乗るべきじゃないなって思ってるんです。
マカオは本当に何十レース分もの価値があるレースだと思います。
間違いなく、ここは世界が舞台です。
そして純粋なレーシングがここにはあります。
もし僕が来年乗ることがあるとすれば、マカオに出る準備ができている若い子がいない時かなって思います。
できれば次代のドライバーに乗ってほしいです。
そして僕の経験をできるだけ若い子に伝えていけたらなって思っています。
準備は嘘つかない!!
マカオを制する日本人ドライバーが現れることを夢見ていきたいですね~!!
ではまた!
