高熱隧道
投稿日 : 2018年02月16日
1
吉村 昭・・・高熱隧道・・・
昭和11年・・・
あの黒部峡谷・・欅平・・仙人平・・
宇奈月から仙人谷までを3工区に・・
中でも第一工区、阿曾原谷側からと仙人谷の間
全長904mが地獄の高熱隧道
ここは人が踏み入ってはならない場所だった・・
トンネル内最高温度摂氏166度・・・
当時の地質学者も予想だにできない地球内部の
高熱帯・・・
それでも人夫たちは
黒部の未知なる地下の奥底で
水を放水、全身に浴びながらの掘削作業・・
天井から滴る高温水に当たり、全身火傷もあったろう・・
常に放水を浴びながら皮膚はふやけ、ズルズルに・・・
40℃を越えればダイナマイトの自然発火の脅威も・・
数メ-トルもしない地点での岩盤温度120℃超え・・・
火薬類取締法による使用制限など軽く突破・・
高温の中でいつ暴発するかわからない恐怖・・
破砕のガラにも発破で不発だった
ダイナマイトの火薬が埋もれている・・
そのガラをトロッコへスコップで拾い上げる作業そしてそれが暴発・・
トンネル内で身体はバラバラに吹き飛ぶ・・
またガラを乗せたトロッコが転覆・・下敷きに・・
潰れた身体、ちぎれた身体、・・・
それらの死体、肉片を、また、トロッコへ詰める・・
2
とにかく有数の豪雪地帯・・
安全と思われた場所に建設した
鉄筋コンクリ-トと木造の宿舎も
泡雪崩・・一般的な雪崩とは違う爆発力をもった雪崩により
人夫共々一山越えて吹き飛ばされる・・
爆破事故、雪崩事故、高熱による精神疾患・・
手足がもぎ取られ、内臓も飛び出す・・
炭化して原型が判別できない・・
誰だか判別のつかない
損傷激しい遺体を前に、遺族は困惑・・
それでも、保険が下りなければ
渋々承諾するしかない・・
豪雪時に吹き飛んだ遺体はすべて回収しきれておらず
雪崩で吹き飛んで豪雪地帯に埋もれていた死体が、
春の雪解けに出てきても
犠牲者の人数申告処理が終わった後では
混乱を防ぐため、密かに埋葬してしまう・・
300人からの事故犠牲者を生み出した建設事業
人の命の重さって、蟻んこのごとく軽いのか・・
建設費用には、予め犠牲者に支払う補償金まで
計上見積もってある・・・
これは犠牲者を想定しての事業だったのか・・
いやはや、凄まじい実話です。
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