鮎川雅樹のブログ一覧

マルボロ・ストラトスの頁の中に入った1枚の赤い車
勿論ワークスの車ではありません。
ボボという愛称で親しまれるロベルト・カンビアーギさん
ワークスからはパーツが供給されてい無い時代
不思議に思ったので以前聞いてみた事がありましたが
やはり彼等の車はストラダーレそのものだったそうです。
でも写真を見ていてふと疑問に思ったのが
サイドミラーがない。。。


1974 Rally Friuli Alpi Orientali
Roberto Cambiaghi / Gianpiero Bertocci
Result : 8th

必要なかったよと笑い飛ばすように返答がありましたが
足回りもノーマルで、攻めるとなれば大変だったでしょう
サンレモラリーに出場してみたいと思いラリーに出たものの
ラリーの序盤でリタイアになってしまったようですね。
途中で人を乗せて帰って来たようなのですが
どうやらベルトッキさんとロッシさんのようです。


1974 Sanremo Rally
Roberto Cambiaghi / Gianpiero Bertocci
Result : R

ただ、彼等がストラトスを使ったのは1年だけで
その後はフィアットのワークスドライバーとして活躍します。
ナビゲーターはエマニュエル・サンフロントさん
フィアット124アバルトスパイダー、131アバルトに乗り継ぎ
イタリアでも名の通ったドライバーとなります。


1975 4 Regioni
Roberto Cambiaghi / Emanuele Sanfront
Result : ?


+RALLY CARS Vol.01 LANCIA STRATOS HF
+RALLY CARS Vol.02 Toyota Celica Twincam Trubo
+RALLY CARS Vol.03 Peugeot 205T16

1973 Tour de France
Sandoro Munari / Mario Mannucci
Result : 1st

1973年のツール・ド・フランスでは、ストラトスが3勝目を挙げています。
自転車のレースでも同じ名前が存在するため、ツアー・オートとも呼ばれ
このレースには2台のストラトスが投入されました。
ゼッケン110番にアンドリュー、ゼッケン111番にムナーリ
アンドリューは燃料タンクの問題でリタイアとなっていますが、
ムナーリはリジェやポルシェを相手に優勝します。



グループ５が参加出来るこのレースでは、
フロントカウルにエアロパーツが取り入れられ、
フロントのエアダムはサイドの一部の繋がったものに置き換えられ
本来、サイドマーカーの辺りに段差があるところも
少し膨らんだ形状になっています。
恐らく初期に出たホモロゲーション・シートにあるパーツなのでしょう。
ただ、ルーフ・ウイングやリア・スポイラーの形状は
未だに試行錯誤している状態です。
それでも徐々にグループ４に近づきつつあるのが分かります。


1973 Tour de France
Sandoro Munari / Mario Mannucci
Result : 1st

ランチアはその後、ジロ・デ・イタリアという似たようなレースに参戦。
しかし2台ともリタイアに終わっています。

1972年のリタイアの原因を改善し、翌年の雪上ラリーに出場
この時からアンドリューとビシェのコンビを起用する事になります。
そして4月のファイアーストーンラリーにムナーリとアンドリューが出場し、
ようやくムナーリがストラトスで初優勝を成し遂げます。


1973 Firestone Rally
Sandro Munari / Mario Mannucci
Result : 1st

外観ではフロントカウル上部のエラジエターからの排熱様スリットが
黒いメッシュになっている事が分かります。
それ以外は基本的に同じようです。
先日はお伝えしませんでしたが、給油口が両サイドにありません。
これは雑誌をみて頂いた方が分かり易いのですが
この頃は給油口がキャブレターの両サイドに位置していました。
これも使い難い為に外側に移設されたのでしょう。


1973 Ronde Cevenole
Jean-Claude Andruet
Result : R

その後タルガ・フローリオやツアー・オート等に参加しますが
グループ５の時代はフランスのラリーに参加する事が多く、
Ronde Cevenoleもその中の一つとなります。
リアのトラクションを上げる為に、大きなリアウイングを付けていますが
これも空気抵抗が大きくなってしまうことから、
風洞実験を経て小さな物に変更されていく事になります。


1973 Ronde Cevenole
Jean-Claude Andruet
Result : R

Ronde Cevenoleですが、アンドリューがドライブし
アクシデントを起こしてリタイアとなっています。
前からの写真では、ブレーキローターを冷やす為にダクトも無く
エンジンルームの排熱を助ける為に、カウル後ろに6個の穴がありました。



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+三栄書房

1972 Tour de Corse
Sandro Munari / Mario Mannucci
Result : R

1972年のツール・ド・コルスに出場したストラトス
マルボロの意向もあり熟成前の参戦となり、
リアサスペンションのトラブルによりリタイアしています。
その後、スペインのコスタ・デル・ソルにも出場しましたが、
やはり同じトラブルでリタイアとなりました。

Vol.01のストラトスでは、写真のキャプションも書かせて頂きました。
写真のキャプションは余り目を通されないとは思われますが、
その写真がどんなものかを説明出来る大切な文章でもあります。
勿論、好きな人は仕様の違い等を探されているでしょうし、
そうした貴重な写真でもあります。

ただ、限られた字数制限の中で何を伝えようかと考えると、
写真の時代背景や秘められたヒストリーを紹介した方がいい。
そうなると仕様の違い等の小さな話は省く事になりますので
補足説明等はブログにて個人的に紹介する事にしました。


1972 Costa del Sol
Sandro Munari / Mario Mannucci
Result : R

マルボロの写真の紹介では、
巻頭で私の文章を編集して下さった平松さんと
コスタ・デル・ソルの写真が欲しいねと話していました。
初期のストラトスではエンジン上部にシュノーケルがあり
コルスではインテーク部分が横長となっていました。
このシュノーケルにも形状の違いがあり、
コスタ・デル・ソルでは縦長に変更されています。
依頼した写真屋の中からはこの時の写真が見つからず無念


1972 Costa del Sol
Sandro Munari / Mario Mannucci
Result : R

この頃は仕様にも色々な違いが見られるのですが
良く見てみるとリアのカウルキャッチ周辺が違います。
カウルキャッチ付近が凹んでいて凝った作りで、
ストラダーレでも極初期の1台にこの仕様がありますが、
実戦では使い難かったでしょうね。

1975 Safari Rally
Sandro Munari / Lofty Drews
Result : 2nd

サファリラリーで優勝を逃したムナーリ
ランチア・ランチでWRC Plusのムナーリのインタビューを行った際、
ムナーリがフィオリオが来なかったという言葉を最後に
どうしても中途半端になっていた箇所があり
中山副編集長と、どうしてなんだろうね？
この続きは是非知りたい。


1975 Safari Rally
Bjorn Waldegard / Hans Thorszelius
Result : 2nd

それがフィオリオのインタビューでようやく分かる事になります。
1975年のサファリラリーでゴールまで僅か70km
有視界飛行に頼るヘリコプターの場合、飛行時間は日没まで
フィオリオは限界までムナーリを見守るものの
日が暮れる限界まで飛行して、仕方なく帰還
そんな時にムナーリは3回目のパンクをしてしまう。
既にフロントセクションとルーフに積み込まれたホイールは
2回のパンクで使い果たしていた為、サービスバンを待つ事に
ここで順位が入れ替わり、２位となってしまう。

なんとも残念な話しですが、これもラリーです。
最後まで何があるかわかりません。
ただフィオリオはチームの利益を考えて指揮していた事は
P33からも良く分かりますよね。


1975 Safari Rally
Sandro Munari / Lofty Drews
Result : 2nd

その後75年のサファリに出たストラトスはケニヤに残され
とある民家の庭に放置される事になります。
30年以上放置され、ボロボロになってしまいましたが
アニマルガードや破損したカウル等は一応残っていました。
でも、この車を管理するオーナーは安々とは手放さず
2000年代になって結構な金額で取引されたようです。
レストアは何時終わるのでしょうかね？



+RALLY CARS Vol.01 LANCIA STRATOS HF
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