鮎川雅樹のブログ一覧

これも15年位前に売りに出てた車ですね
元は1991年のコルスでルーベが乗った車で
その年は12月に開催されたモンツァラリーに出ている車。
コルスでは6位の成績ですから、まずまずの順位です。



1992年になるとカラーリングもマルティニから白となり
デイラとピエランジェロのコンビでチョッコで2位に
その後はチッタ・ディ・トリノやマルカに
コンビを変えながら参戦し、
チョケットで3位というリザルトがある位です。



きっとまだ他に戦歴はあるとは思いますが
これだけだとちょっと寂しいなと思うのです。
これが知っている人が乗っていたりすると
気持ちも随分変わります。
故にオーナーもワークス・カラーへと戻したのでしょう。

デルタが欲しいという人には良いのでしょうけど
購入する時はやはり自分が納得できる車にしたいものです。
この車は元々マルティニカラーの車でしたが
往々にして全然違う車がワークスカラーにされたりして
書類が無いと出所不明の良く分からない車になる。
車の価値としては大きなラリーでの優勝等で決まりますが
惚れ込めない車だと、ただ買っただけで終わってしまい
ドライバーやナビ探しもしないまま終わってしまう。
だからこうした車は、それを理解できる人が買うべきだ
と個人的に思います。

価値観は人それぞれですが
そうした信念がないと
その素材が活かしきれない。
それでは駄目だと思うのです。

勿論買ってから調べて好きになるという事もあるし
それはそれで良いと思うのです
それが出来る人ならば

スペイン選手権で成果を収めたホルヘ・デ・バグレーション
彼はロスマンズのストラトスを駆っていました。
ロスマンズのストラトスには「TV 360185」と「MO 394177」
というレジストレーションの車があり
「MO 394177」はスペイン選手権でタイトルを獲得
その時のナビゲーターはビクトル・サバテールさんです。



「MO 394177」はその後、イギリスに渡ります。
デビット・サットン博物館にある時は
アリタリアカラーに塗り替えられて飾られていました。
飾っている車の中には売り物もあったので
ストラトスは売らないのかと聞いたら
まだ売らないとの事でしたが、数年後に売却されます。



イタリアでは有名なストラトスのファクトリーに入り
この時に本来のカラーであるロスマンズカラーに戻されます。
ビクターさんに完成したねと聞き
アリタリアカラーより、こっちの方が良いねと聞くと
そうだね、元々アリタリアの車でも無かったしねっと。。。



自分達が闘ってきた車を復元したという事は
彼らの戦いを真摯に受け止め、認めてくれたという事
もし、アリタリアのままだったら
２台の車を葬っていたのだろうなと思います。
復元する事は、当時の関係者を喜ばせ
結果的に彼らとの絆を深める事に繋がります。
レストア費用で元を取るのは無理な事ですが
お金では代えられない他の物を手にすることが出来ます。
その為にはヒストリーを正しく理解し
ちゃんとしたところで行わないと
出来上がった車を見ると、なんだか厚ぼったい感じがしてしまう。
このロスマンズは赤シャルドネ同様、シャープな仕上がりで
本当に綺麗なラインを出してきました。
どっちも同じところでレストアされましたが
本当にいい仕事をしてくれました。

オーナーさんも長い年月大変だったと思いますが
当時の姿に戻してくれて、本当に嬉しい次第です。

ここ数年みんからをずっとお休みしておりましたが
とにかく忙しくてどうしようもなかった状態が続き
ようやく普通の人並の忙しさに戻れそうです。
もう誰も訪れていないだろうとアクセス解析を見ましたが
意外と誰かが見に来てくれていた事が分かり
ここで改めて「ありがとうございます」の一言は書いておこうかと

ラリーはF1やGPに比べると趣味人口が少ない
そうなると雑誌の販売部数も少なくなると思うのですが
今でもラリーに興味を持って下さる方がいるお陰で
こうしてラリーカーズ（Rally Cars）を続ける事が出来
彼らの偉業を残し続ける事が出来たんだなと思います。
（今はVol.27の記事を書いています。）
自分達ん趣味は自分達で守らないと
本当に消えてしまいます。

残念な事に走るライターこと、マーティン・ホームズ氏が他界し
彼の記事が今後無くなってしまうのは大きな損失です。
これは日本だけでなく、世界的に言える事です。
彼は走っていたし、メカも強く、シャシーも追えた
その他に二村さんや、ビショップ等も他界
写真については資産を受け継ぐ写真家がいたりと
何とか引き継いでくれる人がいるものの
それを探せる人となると、頭に記憶が残る人でないと厳しい
また記事を書ける人も少なくなっているし
我々は今できる事をしていくしかありません。
寂しい状況ではありますが
それを享受できる時代に我々はいます。
それでも年を追うごとに亡くなる人もいて悲しい思いをします。
Tre Gazzelleのボスのジョルジョ・レオネッティーさんが
１週間程前に亡くなってしまいました。
残念ですが、我々は前に進むしかないのです。
彼らの偉業を称え、語り継ぐものとして

もう今から10年以上前の事ですが
70年代にフルビア、ポルシェ、ストラトスと駆った
アッツォラーリさんが乗った037が売りに出されていました。
カラーリングはマルティニカラーになっていましたが
レジストリーも当時のままでした。
ノバラコルセの車として走っていたこの車は
優勝の回数こそ多くはありませんが
比較的上位に入賞しておりました。



イタリアでは地域別にゾーンがあり
この車はZona1、Zona4やZona5で走っていました。
1984年にはEvo2にアップデートされ
1985年には青基調のラインも赤と黄色に変わり
チーム・コロンビの元で走る事になり
1988年まで活躍を続けました。



そして数年前に当時のカウルの一部が見つかります。
Evo1からEvo2に変わった時に使われなくなったパーツです。
この他にも幾つか出てきましたが
Evo1の当時の状態のパーツは貴重なので
塗り替えされる事を防ぐため、
今はイタリアのとある場所に眠っています。

真実を追い求める
それが自分自身のヒストリーの探求となっているのですが
友人の車探しの手伝いをしている最中
残念な事ですが偽物の車や怪しい車にも遭遇しました。
普通の車をラリー風に仕立てて楽しむのはいいのですが、、、

偽りのヒストリーを名乗ったり、
その車自体がレプリカ（Fake Car）であったり
そうした車についてはやはり認められないなと思います。
異論はあると思いますが
実際にそれで騙されて買った人もいれば
シャーシ番号を打ち直した車もそんざいし
本来それは行動を走ってはならないのですが
海外だけでなく日本でも存在はするのです。

車屋さんも決して本物のラリーカーに詳しい訳でもなく
余り意味のない書類や謳い文句などで売り込みますが
数千万もする車にどうして、ちゃんと調べないのかな？
と日々思ったり致します。

ただ、ランチアではストラトスはアリタリアに
037だとマルティニにカラーリングされてしまい
037だとFRPのオリジナルの外装を捨て
軽いカーボンやカーボンケプラに変更された車も多く
本来の価値が失われていった車も多いのが現状で
最後にプライベーターの姿として残っていた車の方が
本来の車の価値が高いなと思います。

海外のコレクターも途中で気が付き
オリジナルのままで保存するようになったり
変え過ぎてしまった車を手放したり
プライベーターであっても本来の姿に戻すようになり
今では当時の雰囲気を楽しめるような時代になりました。


ストラトスや037を当時の仕様に戻し
当時乗っていた人に伝えた時
彼らは喜んでくれました。
やはり自分達の走った車を、戦績を
正しく理解してくれる人達がいる事を分かって貰いましたが
違うカラーリングにしてしまうのは
彼らを否定する事でしかなかったのだと思います。
それには少なくともヒストリーを正しく理解する事が
大切なのだと思います。