
Hyundai IONIQ 5の15日間モニターも残り2日間となりました。前回は主に走行性能について書いてみましたので、今回はオーディオや空調などの快適性と車両の取り回しについて少し書きたいと思います。
オーディオについては、搭載されているのはFM/AMラジオ、Bluetoothオーディオ、それに外部USB端子に接続したメディア(音楽/動画)の再生、android auto/Apple Carplay、あと「自然の音」という環境音?があります。TVチューナーは搭載されていません。サウンドシステムはスピーカーにBOSEのロゴが入っていてちょっと期待します。

ラジオを少し聞きましたが、うーん、普通、というか可もなく不可もなくという程度です。特に悪くはないのですが、少なくともプレミアムな音響ではないと思います?。そこで、いつも聴いている音楽で比べてみようと思いました。
私は普段はPassat GTEでは2枚のSDカードに保存したmp3、m4a、flacなどのフォーマットのデータで音楽を再生していますが、IONIQ 5はSDカードスロットを持っていませんので、最近聴いている音楽をいくつか手持ちのUSBメモリーに保存して試してみました。

USBスロットは前席はセンターコンソールの下にも2箇所と後席用にも2箇所ありますが、

オーディオシステムに連動しているのはこの前部の12Vアウトレットの横にある端子だけでした。ちなみにUSB端子は最近急速に増えつつあるタイプCではなく、一般的なタイプAです。私はこれで助かりました。

音楽ファイルが入ったUSBメモリを挿すと、メディアの選択から「USB音楽」を選べるようになり、画面のリストからアルバムや曲が選べるようになります。右上の「リスト」からサブフォルダへの移動も大丈夫です。
しかし、ここで問題が。確かに入れたはずのアルバムがリストに見当たりません。ありゃ入れ忘れたかとデータが入っている家のNASを覗いてみたら、ちゃんと入っています。そこでファイルを調べていて分かったこと。ファイルフォーマットの拡張子がm4aの曲はアルバムごと見えなくなっていて再生できないようです。mp3とflacは再生できましたし、アルバムアートも表示します。
それからUSB経由で動画も再生できますが、こちらは試していません。

また、ナビの画面であっても曲が変わるとサイドから数秒間アルバムアートと曲名がスライドして出てきます。便利ですが、これは邪魔に感じる場合があるかもしれません。おそらく出さなくすることもできると思います。

さて、肝心の音質ですが、USB経由での再生でもラジオと同じ印象で、可もなく不可もなくという感じです。むしろ、Passatで再生する時より歪みっぽく聞こえてあまり音量を上げる気にはなりませんでした。うーむ、音楽ファイルはmp3なら320kbpsと一応最高音質で作成したつもりなのですがねぇ。相性でしょうか。

さて、もう一つ試してみたいことがありました。Passat GTEで使っているCarplay Ai BoxのUX999Proを接続してみることです。

USBメモリを抜いて、同じ場所にUX999Proを接続してみたら、画面解像度が変わったので一度再起動が入りますが、こちらはとても安定して動作しました。解像度も高く、横に長い12.3インチのモニターなのでホーム画面は横長になって間延びしていますが、ウィジェットの大きさやアイコンの配置をやり直せば収まりもよくなると思います。

UX999ProにインストールしているYahoo!カーナビもフル画面で表示されて車両搭載のナビよりも見易いと思いました。車両側のGPS信号もしっかり受け取っているようで、位置情報のズレもありません。

今日は歯医者への通院日なので試しに案内させましたが、問題なし。横長の画面なのでむしろバランスいいです。

こちらでもandroid版の音楽プレーヤーでUX999Proに内蔵している音楽ファイルを再生してみましたが、音色に大差ありませんでした。オーディオの音質についてはPassat GTEの方が良いと思います。

また、このままCarplayを呼び出すとiPhoneとの無線接続も可能です。
さて、次は「自然の音」です。最初に試乗した時にパチパチという音が聞こえて、どっかからきしみ音が聞こえると思ったのがこの自然の音の「暖かい暖炉」でした。他にも、「清やかな森」「穏やかな波」「雨の日」「カフェテラス」などの環境音?が入ってます。

まあ、充電中や車内での休憩中に寝ながら聴くのにはいいかも知れませんが、私にはあまり使い道がなさそうです。それだけ防音性能や静粛性に自信があるということでしょうか。

休憩と言えば、運転席シートにもフットレスト(オットマン)があり、ボタンの長押しでワンタッチでリクライニングと同時に出てきます。これは車内での休憩は楽だと思います。

また、運転席にはイージーエントリー機能がありますが、Passat GTEに比べて移動量が大きく、ドライビングポジションが背中を立て気味でシートも比較的前に出す私にはありがたいです。

運転席周りはこんな感じ、2連になった12.3インチのディスプレイが目を引きますが、エアコンやナビの呼び出しなどよく使う機能は物理スイッチで切り替えることができます。液晶画面からメニューの階層を選んで機能を選ぶより快適で、運転中でも視線が動く時間も短くて良いと思います。

また、なるほどと思ったのがグローブボックスです。下に開くのではなく、引き出し式になっていて使いやすいし、中のものを確認するのに便利だと思います。
このように機能的にとても使いやすく出来ているポイントが多く、とても良いと思います。
一方で内装にクロムメッキされたトリムやピアノブラックのパネルなど、高級感を感じるような意匠はあまり感じられません。IONIQ 5は高級感ではなく近未来感や機能性を追求した車であることを改めて感じます。

とは言え、ドライブモードによって色が変わるアンビエントライトなど、お?と思わせるポイントもあり、なかなか楽しめます。

また、特筆すべきはビルトインされたドライブレコーダーです。昨今の煽り運転対策など、ドライブレコーダーはそろそろ標準装備でも良いのではないかと思っていましたので、これも良い装備だと思います。

前後カメラが標準装備になったことでルームミラー周りもスッキリするし、

インフォティメントシステムの画面で動画を確認したり、必要であればUSBメモリに動画を取り出したりできます。

リアカメラはアラウンドビューモニターと組み合わせて走行中にも確認でき、狭い道での取り回しの手助けになってくれると思います。

また、駐車中の録画も自動/手動ででき、

手動の録画開始はこのルームランプ横のスイッチでもコントロールできます。
空調についても気に入ったポイントがあります。これは私のGTEにも言えることですが、PHEV車やBEV車の多くが冬場の暖房にエンジンの熱は使えないのでヒーターやヒートポンプ方式のエアコンになっています。そのせいかGTEは寒い朝にスタートした時には暖房の効き始めが遅く、しかも走行用バッテリーをかなり消費してしまい、電費を悪化させます。IONIQ 5も暖房を使うとかなり電力を消費するのは変わりありませんが、かなり早めに暖かくなるので効率も良さそうです。
また、前席だけでなく後席にもシートヒーターがあり、またステアリングヒーターも装備されているので寒い朝も快適でした。これらを有効に活用することで冬場の電費悪化を少なくすることも出来そうです。

また、今回は試しませんでしが後席用のエアコン吹き出し口が定番のセンターアームレスト後方ではなく、両側のBピラーにあるのも高さが確保できて良いと思います。
しかし、気になる点もいくつか。

まず、標準装備されている充電ケーブルがAC100Vタイプだったこと。我が家はGTE用にAC200Vの充電設備をカーポートに設置していますが、それでも普通充電では一晩かかってもIONIQ 5には30%から40%しか充電できません。AC100Vの普通充電ではさらに少なくなり、あまり実用的ではないでしょう。結局このケーブルは使いませんでしたが、これはぜひAC200Vタイプにしてもらいたい所です。実際、同じHYUNDAIで後発のKONAはAC200Vタイプのケーブルが標準装備ということで、改善していただきたいところです。

また、この3000mmものホイールベースのせいで最小回転半径が5.9mと小回りが効かず、いつもは一度で出せるカーポートからの出庫を始め、切り返しが必要な場面がよくありました。ちなみにPassat GTEは5.4mで、この差は意外と大きく感じる場面が多いです。

また、全幅も1890mmとPassat より60mm大きく、狭い道では気を使います。その分前後左右のアラウンドビューモニターのお世話になる場面が多かったです。

また、このウインカーと連動するサイドミラー後方カメラも狭い道で後輪の動きをモニターするのに活用しました。

今回はIONIQ 5では行きませんでしたが、カミさんの実家へ入る道路もかなり狭いので相当気を使いそうです。カミさんは「私にはこの大きさは無理かな」と言っていました。
ちょうどモニターの期間中の休日、カミさんの友人がランチへお出かけとために日産アリアで迎えに来てくれたので、ちょっと2ショット。

同じBEVでボディーサイズも近い日韓ライバル車です。

グレードなど詳しいことは聞きませんでしたが、今度試乗させていただけるということで、IONIQ 5との比較が楽しみです。カミさんは帰ってから「アリアの方が乗り心地が良かった」とは言っていましたが…。
外観デザインだけなら私は断然IONIQ 5ですね。あと、比較的近いバッテリー容量やモーターの出力同士で比べても、IONIQ 5の方が安いと思います。
さて、この15日間のモニターも残り2日間となり、土曜日にはまたHYUNDAI Citystore福岡へ返却に行きます。気になる点もいくつかありますが、総じてよく考えられた設計と丁寧な仕上がりの素晴らしいBEV車だと思います。
Tesla Model 3も試乗したことがありますが、もし私が現時点でBEV車を購入するならば、IONIQ 5が第一候補となるでしょう。