
自研センターという,日本の自動車保険会社が作る調査団体があります。そのニュース誌のバックナンバーの中に,「リサーチザスケルトンズ」という,車のボディ構造を分解調査する超マニアックなコーナーがありました。2004年版に,ちょうど発売当初のスバルR2と,モデルチェンジ直後のスズキワゴンRが連続で掲載されていましたので,比較してみた写真です。ご覧のとおり,全然違います。
フロントサイドフレーム
・R2
流れるような曲線で,キャビンに近づくほど大断面で高強度になっています。先端部分は鋼板を八角形プレスとして,限られた変形量でエネルギー吸収量を増しています。さらに,吸収しきれなかったエネルギーの行き場として,床下のフレーム,Aピラー,そしてドアのサイドインパクトビームへの経路が形成されています。普通乗用車と同等の,三方向に衝撃を分散させる構造です。
・ワゴンR
基本的にはまっすぐな形状ですが,エンジンや補機類を避ける窪みが多数あり,先端から効率よく潰れる設計にはなっていません。これでは,キャビン付近から上向きに折れ曲がってしまうと思います。しかも,水平に入力された力の逃げ場が,床下のフレームしかありません。さらに,フレームへの接続部の断面積がR2の半分程度です。
リアフロアフレーム
・R2
フロントと同様の大断面フレームが,まっすぐ入っています。特にフロアからの接続部が固められており,見るからに強度がありそうです。ストラットタワー付近も補強されています。
・ワゴンR
フレームの入れ方はR2同様ですが,・・・これはいったい何の冗談でしょうか?リジッドフレームに乗せるボディならまだしも,これはれっきとしたモノコックボディのはずです。断面積はR2の1/4以下といったところで,比較する価値もありません。
このワゴンRは,R2よりも数10kg重い車です。重くて,衝突時のエネルギーも大きいのに,この安い構造・・・これは車の形をしたブリキ細工ですね(内装は非常に豪華ですが)。 衝突安全評価の★二つ分の違いは当然の結果でした。
スバル・・・最高だよ!
Posted at 2012/07/23 21:48:05 | |
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