こんにちは。晴天から一転、朝からき雨になりました。低気圧が接近して、大雨になるところもあるようなので、天気予報をチェックしてお気をつけくださいね。
さて、7日(木)、8日(金)の両日東京工業大学にて開催された「第3回革新的太陽光発電国際シンポジウム」も無事盛況のうちに終了しました。会場には、企業や大学で太陽電池開発に携わる方を中心に連日約300名にお越しいただきました。初日は開会30分前からすでに会場は満席に近い状況で、その熱気には驚きました。
国内外の第一線の太陽電池開発者による最先端の研究成果の報告で、主流のシリコン系から、化合物系、有機系、次世代型の量子ドット太陽電池まで幅広い内容でした。今の開発状況をしっかりチェックしたい!という方が多かったのでしょう。海外の研究機関の著名な専門家から直接話が聞けるというのも魅力ですね。
質疑応答も活発でしたが、改めて太陽電池の大きな可能性を感じさせられる2日間でした。総合司会をつとめさせていただき、第1回目から経緯を見られることにありがたく思います。次回の第4回目のシンポジウムは、来年2011年11月24日(木)、25日(金)に東京大学にて開催の予定です。
さて、せっかくなので、先月11日(土)にギャラリートークでお話くださった桐蔭横浜大学の村上拓郎先生の「え!こんな太陽電池もあったの?色素で電力を生み出す色々な話」についても書きますね。ちょっと長くなりますが、よかったらおつきあいください。
村上先生は、色素増感型太陽電池の生みの親であるスイス連邦工科大学(EPFL)のミハエル・グレッツェル教授に師事された経験をお持ちです。太陽電池のテーマに入る前に、まず「色素ってなんだろう?」というところから話をスタートされました。
植物や藻類、プランクトンなどから、葉緑体に含まれる色素の働きについて解説。たとえば、色のついた炭酸飲料やジュースの色について。これは、ジュースなどに入っている分子が光を吸収するため、紫、青、緑、黄、赤といろいろな色に見えるのだそうです。
光はエネルギー。つまり光を吸収した分子はエネルギーを吸収したことになるわけです。そして分子は吸収したエネルギーを何らかのエネルギーに変えなければなりません。獲得したエネルギーを光として放出する場合に、分子が光るのだそうです。 おもしろいことに、ホウレンソウをミキサーにかけた液体状にしたものは、ランプを当てると緑の色素が赤い色に見えます。これは、ホウレンソウの色素が光を吸収して発光する現象なのだそうです。
(光を当てると、ホウレンソウの緑の色素は赤色に見える)
他にも獲得したエネルギー(光)を電子として放出する現象があります。この現象を利用したものが、色素増感太陽電池です。色素増感太陽電池は、スイス連邦工科大学(EPFL)のミハエル・グレッツェル教授が、酸化チタンを利用することで大幅に変換効率が向上することを、1993年雑誌「ネイチャー」に発表したことで、世界的に注目されました。そのため色素増感太陽電池は、グレッツェル・セルとも呼ばれています。
(色素増感太陽電池セルを手にとって見せる村上先生)
キ―となるテクノロジーのひとつは酸化チタン。酸化チタンは化粧品や歯磨き粉を白く着色させるために使用される汎用的なものですが、ナノサイズの酸化チタンで作った電極で比表面積を1000倍以上に増やしています。小さな粒子を使うと、色素を多く吸着させることができ、また光を多く吸収することができるそうです。これで、見かけの1000倍の光を利用することが可能になりました。
ただ、色素は光に弱いという性質があります。たとえば、色あせたポスターは青っぽくなりますよね。これは赤い色素が光で分解してしまうためなんだそうです。そこで、ふたつ目のキーテクノロジーは、光に強い色素の開発!光に強く、変換効率の高い色素、ルテニウム錯体色素をガヤ・ナジルジン博士(グレッツェル研)が開発したそうです。
(セルを光に当ててみる)
色素増感太陽電池の作りかたは、酸化チタンのペーストを導電性ガラスに塗り、そのガラスを500度程度の温度で焼きます。焼いた酸化チタンを色素の溶液に入れて、色素を吸着させます。その後対極との間に電解液をはさみ込んで、簡単にできます。大がかりな製造装置も必要なく、コストを下げて汎用的な材料を使った太陽電池が可能になりました。
たとえば、ホウレンソウの緑色の色素であるクロロフィルでも発電することもできます。ランプを当てると、ホウレンソウの緑の色素は赤い色に見えますが、色素により太陽電池の色が変わり、また変換効率も変わってくるそうです。
(色素で太陽電池の色が変わる~村上先生の資料映像より)
太陽電池は大きく分けてシリコン系、化合物半導体系、有機系の3つの分類されますが、色素増感太陽電池は有機系に分類されます。単結晶シリコンの変換効率は21-22%で、化合物半導体系のCIGS型やGaAs型は16-19%、有機系の色素増感型が11%、有機薄膜型で7%くらい。村上先生は、変換効率だけでセルの評価はできない。太陽電池の製造に費やしたエネルギーも含んで、ライフサイクル全体で太陽電池を考えていくべきではないかとお話されました。
これから太陽電池を開発していく上でポイントとなるのは、低コストであること(作るエネルギーが少ない)、高耐久性(長く発電し続けて製造エネルギーをどれだけ上回れるか)、また高効率(高いエネルギー変換効率で実用範囲を広げる)ではないかとのこと。
これまでにソニーやアイシン精機などが試作品を発表し話題になっています。色素増感太陽電池の用途の可能性を広げていくためにも、「実用化に向けて研究開発の現場でもさらにがんばります!」と笑顔でお話をまとめられました。これからの未来の太陽電池の研究開発に期待が高まります。ぜひがんばってほしいです。
Posted at 2010/10/09 12:58:03 | |
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太陽電池 | 日記