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Mさんが立ち上げた劇団は
Mさんが息子と一緒に地元の方々を集めて
開催した市民劇メンバーを中心に
結成された

公演は全てMさんが脚本を担当
さらに演出、出演、主演も演じていた

追悼公演の演目は
その劇団にとっては初だが
Mさんが前に所属していた劇団で
公演した事のある演目だった

テーマが断捨離

当時Mさんは弟さんを不治の病で亡くされた

その時弟の遺品を整理しながら
その服や遺品にこもった弟との思い出
それらを整理する事で弟との思い出が
無くなるわけではない

むしろずっと自分の中で生きつづいている

断捨離をしながらも
事件性があるかもしれないと
疑いの質問をしてくる刑事や

ここぞとばかりに仏壇を売りつけにくる業者

実際に起きた事を面白おかしく
劇中にも登場させていた
その内容を青年に置き換え
亡くなった人物も妹に変えての舞台だった

これらセリフは全てMさんの死生観
まるで息子に語りかけるような内容だった




幕が上がると1人の青年が
山積みにされた衣服を整理している
しかし、一つ一つ手に持つたび
ためらい、捨て切れずにいた

そこに刑事が現れたり
仏壇屋さんが来たり
前のアパート住人がきたりでドタバタし

一向に片付かない

疲れて寝てしまったのか
その場に妹や姉が現れる

自分たちの思い出の品や服を見て
過去の思い出話に花を咲かせる

最後のシーンで
姉が主人公に語りかける

私たちはこの世にいないけど
あなたの思い出の中で生き続ける
形や物は壊れていずれなくなってしまうが
思いはなくならない
いつまでも生きた証として心に残る
それでいい

私たちは一つの細胞から分離して
新たな生命を宿した
だから命はつながっている
寂しくはない

主人公は妹の衣服を片付けるが
妹の大事にしていたぬいぐるみは
捨てずにそっとソファーに置いた

やがて勇気を出して押入れの扉をあける

すると
舞台の幕が上がり
数々の遺品が舞台いっぱいに飾られ
ライトアップされていた
（たぶん捨てた妹の思い出の遺品たち）

その様子を眺め
やがて晴れ晴れとした様子で
残りの衣類の断捨離をはじめる

それを微笑ましく見ているような
ぬいぐるみにスポットが当たり

幕