今日はRBエンジンについてです。RBといえばGT-RのRB26DETTやスカイラインターボなどに積まれるRB25DET、RB20DETなどのターボエンジンを思い浮かべると思うでしょう。今回はターボエンジンはもちろんNAエンジンも紹介します。
1)起源
RBエンジンは日産の直列6気筒エンジンです。またRBエンジンは日産最後の直6エンジンでもあります。 RBエンジンのルーツはS30ZやS130Zやハコスカ、ケンメリに積まれたL型エンジンです。スカイラインジャパン(C211)になるとターボのL20ETがありました。スカイラインターボの起源でもあります。
2)RBエンジン誕生
←RB20E
↑ C32ローレル メダリスト前期
C32ローレル前期に直6 SOHC 2000ccのRB20Eが搭載されました。このRB20Eエンジンは以後のRBエンジンの基礎をなすエンジンです。このエンジンはR31~R33スカイライン、C32~C34ローレル、C34ステージア前期Ⅰ型、クルーに搭載されていました。また2000年までと最近まで生産されていました。
↑R31スカイライン前期 ↑ RB20DET(R31)
R31スカイラインが登場し、当初はRB20EのターボのRB20ETもありました。またあのスカイラインGT-R(KPGC110)通称ケンメリGT-Rに積まれていた「S20」いらいの久々の直6ツインカムエンジンのRB20DEも登場し
そして登場から二ヶ月後に2000ccのツインカム24バルブ セラミックターボのRB20DETが登場しました。RB20DEとRB20DETは日本初のダイレクトイグニッションシステムが採用されました。 初期のRB20DETは 190馬力です。この型のRB20DETはC32ローレル、R31スカイライン、Z31フェアレディZ 200ZRに搭載されていました。
↑ スカイライン GTS-R(HR31) ↑ RB20DET-R
R31はグループAのホロモゲモデルで800台限定のGTS-Rには専用のタコ足が装着され、チューニングされたエンジンのRB20DET-Rが詰まれてました。馬力は210馬力です。
↑ RD28
また当時は排ガス規制も甘く、燃費が安く、税金も安くて人気があったディーゼルエンジンの乗用車がたくさんありました。サニー、バネットラルゴ、キャラバンコーチ、セドグロにもありました。
またセドグロ、ローレル、R31スカイラインにはRB20Eをベースに直6 SOHC 2800ccのディーゼルエンジンのRD28がありました。2000年辺りまで生産されていたエンジンです。
タクシーベースのセドリックセダン、グロリアセダン、クルーにも設定されていました。
Y31~Y33前期セドリック、グロリア、R31スカイライン、C32~C35ローレル前期などに搭載されていました。またサファリにはRD28のターボエンジンが搭載されていました。
2)RBエンジンの進化
↑ A31 セフィーロ前期 ↑ C33ローレル後期 メダリスト
RBエンジンは1988年にA31セフィーロやC33ローレルが発表されました。それによりRBエンジンもより熟成されました。前期型のA31とC33のエンジンラインナップはA31はRB20EとRB20DET、RB20DEでした。C33はさらにディーゼルのRD28と直4 1800cc電子キャブレターのCA18iもありました。
A31とC33のRB20DETは205馬力へと進化しました。
そしてRBエンジンを語る上でなくてはならない車が1989年に
登場したR32スカイラインです。
↑ スカイラインGTStタイプM(HCR32前期)
←RB20DET(Ⅱ型)
先代のR31はハイソカー人気に影響され、高級路線を走りましたがR32は再びスカイラインらしいスポーツ路線へ回帰しました。R32スカイラインはGT-Rが登場するまではトップグレードのGTStタイプMは素性のよいFRシャーシとマルチリンクサスペンションとフロント4ポッドブレーキキャリパー、HICASなどの走りのシステムが装備されました。タイプMのエンジンは215馬力のRB20DETです。
↑ 上: スカイライン GT-R (BNR32) 下: RB26DETTエンジン
そしてR32 GT-Rが後に登場しました。ケンメリGT-R 生産中止から16年の月日が経ち復活。
R32 GT-RはアテーサE-TSの4WDシステムと280馬力の直6 ツインカム24バルブ ツインターボのRB26DETTエンジンが装備されました。R32GT-Rはレースに勝つために生まれたスーパーウエポンで、史上最強のスペックを誇り、グループAではGT-RのライバルはGT-Rといわれるほど速く、ハコスカGT-R以来の無敗神話を引き継ぎました。GT-Rが参戦以来グループA終了まで無敗の金字塔を立てました。 またグループAのホロモゲモデルのGTーR ニスモが560台限定発売されました。またその後 BBS17インチアルミとブレンボ製ブレーキキャリパーが装備されたV-specとV-specⅡが登場しました。 以後のR33やR34より軽く、今でも中古車市場では人気車種といえます。
↑ スカイライン GTStタイプM (HCR32後期)
↑ RB20DET(Ⅲ型)
R32スカイラインの偉大さがわかりましたでしょう。
R32スカイラインは2ドアクーペと4ドアハードトップのラインナップです。
エンジンはGXiが直4 SOHC 1800電子キャブレターのCA18i、GTEが直6 SOHC 2000のRB20E、GTSは直6 DOHC24バルブのRB20DE、GTStタイプM、四駆のGTS4、前期のみに設定されていた 15インチアルミにフロント4ポッドキャリパーが付かない廉価のターボグレードのGTStは直6 DOHC 24バルブ ツインカムターボのRB20DETが詰まれていました。 R32スカイライン後期型には直6 DOHC 24バルブ 2500ccのRB25DEが搭載されたGTS25が追加されました。RB25DEのAT車には5速ATが採用されていました。A31もC33も後期型にも2500ccが設定されました。
↑ スカイライン GTS25 (ECR32)
↑ RB25DE(Ⅰ型) NVCS無し
また後期型R32 GTS4の4ドアをベースにしたオーテックバージョンもありました。RB26DETTをベースにターボ機能を外したNAの220馬力の2600ccエンジンのRB26DEを搭載したGT-Bもありました。 トランスミッションは4速ATのみでMT車が無いのが残念でした。このエンジンはRB26DETTと同じ6連スロットルが装着されているところはさすがRB26といえます。またバンパーの助手席側のSSマークは彫ではなく、塗装で彫のように見えるそうです。
←R32スカイライン オーテック
↑ RB26DE
←C34ローレル前期 メダリスト25V(GC34)
↑ RB25DE(Ⅱ型)
1993年にC34ローレルが発売されました。C34は当初はターボの設定がなく、RB25DE、RB20E、RD28、RB20DEの4機種のラインナップでした。RB25DEでは日産可変バルブタイミングシステムのNVCSが採用されました。
93年6月にC32ローレルや910ブルーバードのタクシーや教習車仕様の後継モデルとしてクルーが登場しました。 シャーシは、耐久性や信頼性で実績のあるC33ローレルのシャーシ(フロント)の耐久性・整備性向上型と、Y31セドリックセダンのシャーシ(キャビン・リア)を使用している。左側後部ドアを5cm大きく取っており小型タクシー専用設計です。エンジンはRB20E、RD28ディーゼルです。94年には乗用仕様のクルーサルーンも登場しました。
← クルー(K30)
↑R33前期スカイラインGTS25tタイプM 4ドアセダン(ECR33)
1993年の秋にR33スカイラインが登場しました。R33はGTS25tタイプMは直6ツインカムターボ2500の250馬力のRB25DET、GTS25、GTS4は直6ツインカム2500のRB25DE GTSは直6 SOHC 2000ccのRB20Eです。R32 GTSはツインカムの2000なのにも関わらず R33のGTSはシングルカムのRB20Eなのです。R33ではRB20のツインカムエンジンは廃止されました。
この理由は謎です。
またRB25DETにも日産可変バルブタイミングシステムのNVCSが装着され、RBエンジン独特の低速トルクの無さを解決することができました。
←RB25DET
1994年にセフィーロがFFでVQエンジンを搭載したA32セフィーロへとフルモデルチェンジを行なったため。A31型が生産終了したためC34ローレルのRB20DEは廃止になったと同時にターボのRB25DET搭載車が追加されました。
RB20DET、NVCS無しのRB25DEは生産終了になりました。
↑ スカイラインGT-R V-spec 96年モデル(BCNR33)
そしてスカイラインGT-Rは95年にBCNR33型に進化しました。 R33はベース車が3ナンバー車となり大きくなりました。また全車ブレンボ製ブレーキキャリパーが装備されました。
↑ニスモ 400R
またニスモ大森ファクトリーがR33GT-Rをベースにチューニングしたニスモ400Rもありました。99台生産され、1200万円で販売されていました。この車は名前の通り400馬力にチューニングされ、排気量も2700ccにボアアップされたエンジンのRB-X GT2です。他にもR33GT-Rの4ドアもオーテックバージョンでありました。
↑ RB-X GT2
← R33GT-R 4ドア
↑ ステージア RS-FOUR V (WGNC34前期)
↑ ローレル 25メダリスト (GC35前期)
← RB20DE(NEO6)
← RB25DE(NEO6)
また96年にC34ステージアが登場し RB20E、RB25DE、RB25DETのラインナップになりました。97年にローレルがフルモデルチェンジし、C35になりました。これによりローレルはディーゼルを除きガソリン車は全車ツインカム化されました。またC35の登場でターボ以外はNVCSのさらに進化させたNEOストレート6になりました。それと同時にC34ステージアもターボ以外のエンジンはNEOストレート6になりました。
しかしR33スカイライン後期ではNEOストレート6化は見送られました。
C35ローレルのガソリン車とC34ステージアは共通のラインナップになりました。エンジンはRB25DET、RB25DE(NEO 6)、RB20DE(NEO 6)になりました。ローレルのディーゼルは相変わらずRD28です。
元々ガソリンエンジンはV6のVQエンジンしかなかったY33型セドリック、グロリア、レパードに97年に後期型になり4WDにRB25DET搭載車を追加されました。またセドグロにはY31、Y32、Y33にディーゼルのRD28もありました。
←Y33後期セドリック ブロアム
←JY33レパード
97年にはステージアのRS-FOUR VをベースにあのGT-RのRB26DETTを搭載したオーテックバージョンの260RSが搭載されました。エンジンはR33 GT-Rと同じエンジンで、前期型の場合はMTは無いので、ステージアで唯一のMTでした。後期型になっても設定はありました。エンジンとミッションはR33のままでC34ステージア生産終了までありました。
↑ ステージア 260RS 後期
↑ ER34前期スカイライン 25GTターボ
↑ ステージア RS-FOUR V(WGNC34後期)
スカイラインはR34へとフルモデルチェンジしました。ターボのRB25DETもNEOストレート6になりました。またRB20DEはリーンバーンになりました。またようやくスカイラインも全車ツインカムエンジンを搭載されました。 エンジンラインナップはR34スカイラインと同時期にマイナーチェンジしたC34ステージア、C35ローレルガソリン車はRB25DET(NEO6)、RB25DE(NEO6)、RB20DE(NEO6 リーンバーン)です。RB25DETは280馬力になりました。
←デュアルマチック
↑ RB25DET NEO6
また スカイライン、ステージア、ローレルのRB25を搭載したFR車のAT車はマニュアルモードつきオートマチックになりました。またステアリングシフトも同時につきました。
レパードはモデル廃止となり、セドリックとグロリアがY34へとモデルチェンジとなりました。2WDはV6のVQエンジンですが、4WDはY33後期と同じRB25DETが搭載されました。
馬力は260馬力になっています。
←Y34セドリック前期
↓ スカイライン GT-R V-specⅡ (BNR34後期)
↑ RB26DETT(R34)
1999年にスカイラインGT-RはBNR34へとモデルチェンジしました。ヘッドが黒色から赤色に変わり、ファッショナブル性がアップしました。 また6速ミッションが搭載されました。
↑ ローレル 25メダリスト(GC35後期)
また2000年にローレルの後期型へマイナーチェンジに伴い、ローレルのディーゼルRD28搭載車は廃止されました。
←RB25DET NEO6 (Ⅱ型)
← RB25DE NEO6 (Ⅱ型)
エンジンも改良されました。ターボは高レスポンスタービンになりました。またNEO6のエンジンカバーのNEO6の文字とが赤色から無色になりました。ステージアもR34もセドグロも同じです。
2000年8月でR34スカイラインは後期型にマイナーチェンジしました。
↑ スカイライン 25GTターボ (ER34後期)
↑ ローレル クラブS 25t (GC35後期)
3)RBエンジンの終焉
RBエンジンはスカイライン、ローレルといったミドルクラスの車のエンジンとして中核をなしました。しかし、1990年代後半に日産は経営不振に陥りました。1999年に日産はルノーの傘下に入り、カルロス・ゴーンによる経営再建計画の日産リバイバルプランでプラットフォームの整理により直6のRBエンジンとそのプラットフォームも整理の対象になりました。
↑ スカイライン 350GT (V35後期)
2001年6月にスカイラインはV35とモデルチェンジしました。これによりスカイラインの伝統である丸目四灯のテールランプと直列6気筒エンジンも廃止されました。
← VQ35DEエンジン
これによりV6のVQエンジンが搭載され、前期型では歴代初の全車AT車と足踏み式パーキングブレーキが採用されました。ターボ車の設定もなくスポーツ性は低下しました。2001年秋にステージアがM35へとモデルチェンジし、この車も直6のRBからV6のVQエンジンに変更されました。
← M35ステージア
2001年 Y34セドリック、グロリアがマイナーチェンジし新生日産のルックスになりましたが4WDのエンジンは依然直6のRB25DET NEOストレート6でアテーサの4WDシステムのままです。
↑ R34 GT-R V-specⅡ Nur
2002年1月にR34GT-Rが排ガス規制にクリア出来ないため、R34GT-RのファイナルバージョンのV-specⅡ Nurを500台限定で発売するが即完売し、その後 M-spec Nurも500台限定で発売するが即完売する。
NurはR32からR34 GT-Rの聖地でもあるニュルブルクリンクサーキットのことを指す。Nurの特徴はレースベースのV-spec N1に搭載されていたN1エンジンを乗用グレードのV-specⅡとM-specに搭載された車です。このエンジンは金色のエンジンヘッドであることが最大の特徴です。
← RB26DETT(ニュル専用エンジン)
今でもニュルの中古車相場は600万円するほど人気です。またGT-Rとしての有終の美を飾ったモデルでもあります。
2002年8月に排ガス規制にクリア出来なかったS15シルビアとC35ローレルと同時にR34GT-Rが生産終了。
2002年9月にY34後期型のセドリックとグロリアの4WDに積まれるエンジンはRB25DETのままで馬力は排ガス規制クリアのために250馬力へとパワーダウンしました。
ここで謎な理由はY34の4WDはRB25DETのままで踏襲したのにも関わらず、同じRBのローレルは廃止にしたのは謎です。
2004年秋 日産全店舗全車種発売のためにセドリック、グロリアは統廃合されフーガになりました。それによりRBエンジンの生産は終了しました。
← Y50 フーガ
← R34 GT-R Z-tune
2005年にニスモからR34GT-RのスペシャルモデルのZ-tuneを発売。1770万という高額なGT-Rでした。ベース車は生産終了されていたため良質な中古車ベースでした。しかし良質な中古車の入手が困難なため20台生産され販売終了されました。
Z-tuneはRB26のスペシャルモデルで、史上最強RB26でもあります。
以上でRBエンジンは日産の新車から姿を消しましたがしかし直6エンジンは今でも製造されています。 日本では2006年までに生産されていたサファリです。日本ではサファリは無くなりましたが、海外ではパトロールという名前で直6エンジンを搭載し販売され続けています。今でも海外では人気のSUVです。
← サファリ
4)RBエンジンの海外モデル
RBエンジンの海外モデルは基本的にRB20DETやRB25DETなどのツインカムエンジンを搭載した車は輸出されませんでした。
中東や東南アジアに輸出されていた初代のA31セフィーロはRB20系ではなく直6 SOHC 2400cc 電子キャブレターのRB24Sが搭載されました。
← RB24S
またオーストラリアではホールデン VLには豪州日産製の直6 SOHC 3000ccのRB30EとターボのRB30ETが搭載されていました。
RB30はオーストラリア市場専用でした。
← ホールデン VL
← RB30ET
スカイラインGTS系に搭載されるRB20やRB25エンジン搭載車は海外では正式には輸出されませんでした。
しかしイギリスでは R33GT-R、R34GT-Rはそれぞれ100台限定で販売されました。
5)質問コーナー
RB25DEのNVCS有り無しの見分け方を教えてください。
NVCS有り無しの見分け方は写真を見るとエンジンの一番前の部分を見ると銀色の出っ張りがありますそれがクランク角センサーでそのよこにあるのがNVCSです。RB25DET、RB25DE(Ⅱ型)、NEOストレート6エンジン搭載車は必ずあります。
ちなみにGT-RのRB26にはNVCSは最後まで搭載されませんでした。
RB20ツインカムの見分け方を教えてください。
R31やC32に搭載されるⅠ型はエンジンのヘッドが赤と黒になっています。
R32前期やA31前期、C33に搭載される Ⅱ型のヘッドの色は黒とシャンパンゴールドです。
R32後期やA31後期に搭載されるⅢ型はⅡ型と同じ色ですが、前のタイミングベルトカバーの大きくかかれたRB20という刻印がⅡまでありましたがそれがなくなりました。91年以降のRB26を除くRB25、RB20ツインカムは刻印が廃止されました。
RBのNAのツインカムとターボの見分け方について教えてください。
RB20もRB25も共通するのですがエンジンの上にあるパイプ(インテークパイプ)がNAは黒でターボが鉄色です。
NEOストレート6はインテークパイプの色はターボもNAも同じですが、パイプの形状が違います。 NAのパイプは二本になっており、ターボは一本です。NEOストレート6の場合はカバーでわかりにくいですが…
↑ RB25DET NEO6のカバーを外すとこんな風になります。
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