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整備手帳に記載したW211E350のバランスシャフトトラブルについて多くのお問い合わせをいただいていますので改めて報告します。
ベンツのM272エンジンのバランスシャフト磨耗によるトラブルが頻発しているようです。
リリースから１０年が経過して、相応の距離を走った車が多くなってきたために症状が出る車が目立っているのだと思います。
2004年にSLKに搭載されてデビューしたM272エンジンは、吸排気とも可変バルブタイミングシステムを採用したDOHCエンジンで、Eクラスをはじめ、CクラスやSクラスなど幅広い車種に搭載されました。
排気量は、3.5L,3L,2.5Lの三種類で、3.5LのM272M35は、E350・S350・SL350・SLK350・CLS350・ML350・R350に搭載されています。
問題は、シャフトをタイミングチェーンで駆動するスプロケット（歯車）の材質にあります。


上の写真。左側が磨耗したシャフト。右側が新品です。私の車の場合は、さほど磨耗が進んだ状態ではありませんでしたが、新旧部品の違いは見た目にも明らかです。メルセデスでもこの問題は承知し、ある時期に改良部品に変わっているものと思いますが、どの年式までの車に問題があるのかは不明です。
削れた金属粉や破片はエンジンオイルに混入し、オイルパンにたまります。


バランスシャフトスプロケットの磨耗が進むと、タイミングチェーンに遊びが発生して、バルブタイミングが狂います。高速走行で急加速やシフトダウンによる減速をした時に、メーター内のエンジンチェックランプが点灯します。診断コンンピュータでエラーを参照すると、「右バンク排気カムシャフト常に進角方向に調整」といったエラーが表示されます。
バランスシャフトのスプロケットの状態を目視するためには、エンジンを降ろして分解する必要がありますが、カムシャフト部分のフロントカバーを外して吸排カムシャフトのプレート位置を確認することで、バランスシャフト磨耗状況の診断をすることができるようです。また、オイルパンを外して金属片や金属粉の堆積を確認することでも大凡見当がつけられるようです。


このトラブルは、メーカーでも当然把握しています。このため、バランスシャフト交換に必要な基本部品がセットで供給されており、部品代は単品を集めて購入するよりかなり安く設定されているようです。