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イイね!
2012年06月03日

NHK BS『カーライフに英国魂あり』感想記

 実は気になっていたことがある。

 《ロータス・エリーゼ》はイギリスでなければ生まれ得なかったのか、なぜイギリスから誕生したのか、そういう理由が知りたかった。

 我々は他でもない英国車に乗っているのである!日本でもアメリカでもイタリアでもドイツでもフランスでもない、イギリスのロータスなのだ。従ってこれはイギリスという国の文化なり、気質なりが気になって仕方なかった。英国気質こそが《ロータス・エリーゼ》を生んだ、となれば納得がいくというものだ。

 NHK BSで一昨晩『カーライフに英国魂あり』という番組の放送があった。一昨夜は渋谷で《エリーゼやエキシージ》をこよなく愛するエンスージャスト(または単なる変わり者?)による集会があって、また例によって大いに盛り上がった。果つることなきクルマへの各種愛情を交歓した後、撮りためた放映を見たという具合である。



 番組冒頭から英国の底深さをまざまざと見せてくれる。ドラマ『ダウントンアビー』で見た通りの貴族の大邸宅。競馬場にゴルフ場、自然公園から飛行場まであるらしい。そして齢80歳というクラシックカーが登場。日本や中国で大金持ちが沢山いると言っても、練馬区ほどの敷地を所有して、何百年の歴史を持つだろうお城に住んで、という人はそうそういないだろう。なんでもロールス・ロイスの工場も敷地内にあるらしい。主である伯爵はいう、「英国人にとって車は文化である」と。

 「グッドウッド・リバイバル」は、3日間で延べ50万人が訪れるイギリス最大規模のクラシックカーの祭典で、開催場所は伯爵の敷地の中である。私設のサーキットでレースが行われる。レースに参戦できるのは伯爵から招待を受けた者に限られ、それは大変な名誉なのだという。伝説のドライバー、スターリング・モスのほか、国内のみならず、デンマークからはヨアキム王子夫妻が来英。同じくデンマークの、ルマン24時間耐久レースで八度の優勝を誇るトム・クリステンセンの言葉が奮っている。
 「元々、カーレースはイギリスで始まり、世界に広がった。英国の自動車メーカーの情熱が世界の車文化を発展させた」
 
 主催者である伯爵が続ける。
 「英国の人にとって車は魂そのもの。もうDNAに組み込まれている。車と運転が大好きで、いつも心のどこかを占めている」

 日本で英国の車に乗るエンスージャスト(あるいは単なる変わり者)もまったくその通りですよ、とついテレビ画面に呟いてしまった。

 イギリスの自動車産業は王室と貴族が牽引した。ロールス・ロイスの「シルバー・ゴースト」はその優美さと高級感で世界を席巻し、その後英国メーカーの快進撃が続いた。もちろんロータスも含まれる、「スポーツカーの代名詞」の称号を引っ提げて。個性豊かな車が次々に登場した。



 「文化としての英国車」のお題目で雅楽師の東儀秀樹氏とレーシングドライバー中嶋悟氏が番組中、対談。

中嶋氏
 「お上(国)が文化財として指定しなくても、個人がそれを守っていくような雰囲気がある」

 「自分がイギリスに行った時に日本よりも進んだ“先進国”といったイメージを持っていたが、家にしても、外から見えるものに関しては、一言でいうと『古い』。こんな国で何でこんな突拍子もないフォーミュラカーが出来るんだろうと不思議に思った。そこはギャップに感じた。そして、ただただ速い車を作るということでもなくて、機械が作るのではなく人間が作り、ゆえに『生活の知恵』のようなものが車に限らず宿っているような気がする」

 中嶋さんの指摘は慧眼だ。個人を尊び、個人の信条に何より重きを置くお国柄。旧きものと伝統にこだわる頑固さと現実主義。さすがに六年間住んでいたことだけのことはある説得力があった。



 番組は続く。究極の手作り「伝統編」として、イギリス資本でイギリス産の車を作る唯一のメーカー、モーガン。創業百年の伝統を誇る。三代目社長のチャールズ・モーガン。

 「他の英国メーカーは皆、海外の大企業の傘下に入ってしまったが、モーガンは独立経営で100年以上スポーツカーを作り続けている」
全て手作りで、一台一台微妙に仕上がりが違う。木材の軽さと柔らかさを生かした独特のクルマ作り。社員は180人。一台を20人、10日間かけて作る。良質な「手作り」を守るために、クルマを作る方法は変えるつもりがない。

 一方、「最先端編」ではマクラーレンが取り上げられる。2011年に発表された《MP-4》は最高速度330km/h、600馬力。工場には250人のスタッフがいて、これも手作りでスポーツカーが組まれる。生産台数は一日9台という。マクラーレンが手作りにこだわる理由は、F1の最先端技術をすぐにこの《MP-4》に反映させるためで、機械よりもスタッフの専門性が頼りという。

 「手作りへのこだわり」が英国気質。英国魂の心髄。



 番組の締め括り。自邸内にロールス・ロイスの工場を誘致し稼働させている伯爵の言葉。
「自動車が好きだから、自分達にしか作れないクルマを作る」これこそジョンブル魂、英国魂だと。細部にこだわる英国魂の手作り。

「英国人にとって車は文化であり、生活の一部だ。グッドウッドは長年、車の歴史に関わって来た。私には車の文化を守り続ける責任がある」



 何となく、ではあるが、ロータスが個性を尊ぶイギリスで生まれ、手作りにこだわる英国バックヤードビルダーの血脈のなかから《エリーゼ》が誕生した、その土壌のようなものは改めて感じ取れた。そういう意味では趣向よき番組で、二度も見通してしまった。



 放送は貼り付けられませんので、ロータスのCMでも。






 ただしかし、こういう風に頭でっかちになって車について分かったような気分になっていても、シン隊長から「クルマは乗んなきゃダメよ」と諭された一昨夜の声が蘇って来るようではある。今日も寝坊して袖ヶ浦の応援に行けませんでしたこと、最後の後の(笑)お台場オフにも行けなかったこと、伏してお詫びします、、
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Posted at 2012/06/03 18:08:28

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この記事へのコメント

2012年6月3日 18:39
この番組みようとおもってて
すっかり忘れてました
中身が垣間見えて
助かりましたぁ~
コメントへの返答
2012年6月3日 19:23
現状、再放送の予定が出てないので、視聴見逃してしまった方のためにも、結構詳しめに書いてしまいました。。
2012年6月3日 18:55
この番組見て、富の偏重っていうのもアリだたなぁ、とつくづく思った次第。

富って偏重して初めて「無駄遣い」が可能になって、そして無駄遣いこそが「文化」へとつながるじゃない?ってね。もっとも偏重した富の行先である貴族さんが、ノブレス・オブリージュの意識をもってくれていないとダメなんですけど。

私は先週から仕事の偏重でイヤになりそうですけど(笑)。


コメントへの返答
2012年6月3日 19:27
イギリスを語る時に貴族とか階級社会というのは外せないテーマっぽいですね。ひどく単純に言ってしまって、トップエンドの貴族が遊び(スポーツ)を暇だから開発して、徐々にその下の層へも広がっていく、その担い手としての貴族ですね。普段不労の貴族も戦争の時はノブレス・オブリュージュで先頭立って戦地に赴かないとならない、ということで大変さはありますけど、いつもは全然働かないということでは大変憧れの存在です(笑)
2012年6月3日 19:39
英国魂に「品質」を追加して欲しいと思うんですけど、その辺は何か言ってませんでした?

できれば整備性もなんとかして欲しいです。(^^;)
コメントへの返答
2012年6月3日 21:41
ノーコメンツでした(笑)
番組では触れてませんが、手作りゆえの、ある意味での精度の低さみたいなものを寛容するのも英国魂というか、不便を受け入れる、楽しむ大英帝国魂あると思いますね。便利になり過ぎするのを嫌う国民性は日本とだいぶ違うような気がします。基本、へそ曲がりみたいなところはあるような気がします、イギリス。
2012年6月4日 0:32
つまるところ、クルマもサッカーも背景(歴史)にあるものを知ってる(学ぶ)のと、知らない(学ばない)のとでは、「クルマは乗ってなんぼ」の楽しみ方も全部ひっくるめて、ちょっと違ってくるかもしれません。

珍歩
コメントへの返答
2012年6月4日 10:05
これは珍歩博士、先日はお疲れ様でございました!シン隊長にも宜しくお伝え下さい(?)

お寄せ頂きましたコメント、深いですね~。ワタクシのようにちょろっとロータス本で歴史知るくらいでは、いかんかもしんないですね。なにせエリーゼの機構、全然分かってないですからね。至って文系的アプローチになってしまうのが悪い習性です(汗)
2012年6月4日 0:38
騎士道と武士道…手作りへのこだわりと職人魂。
何か通ずるところがある気かしますよね。
現代日本の物作りを担う一人として、すごく惹かれるものがあります(^_^)

しかし、最後の部分…
シン隊長の台詞をすぐ隣で聞いていた者としては、すごく笑えました(^^;)
はい、乗らなきゃダメです。
なぜなら彼らは、走るために生まれてきたのだから!(^_^)
コメントへの返答
2012年6月4日 10:10
なにせ、かつては日英同盟で仲良かったくらいですからね~…って違うか。同じ島国という共通項はあるんでしょうね。イギリス行ったことないのですが、ヨーロッパではあるけど、ヨーロッパでない独特さ、あると訊きますし(車種のヨーロッパではないです、紛らわしいですね)。これからもフラットスポット作って、しくしく泣きながら走りたいと思います!
2012年6月4日 7:52
正しく、グレート・ブリテン・・大英帝国ですね。
質実剛健・・文化を感じました。。関係ないかとも思いますが、この文化の中から、ポール・スミスが産まれてきたところに感動を覚えました。
殆どのメーカーが外資に取り込まれながらも、根底に揺るがないプライドが覗きます。身は売っても心は売らない。。日本が無くしかけているものではないでしょうか。。

エリーゼは、イギリス製基本コンポーネンツに多国籍デザインが乗っかった気がします。

コメントへの返答
2012年6月4日 10:30
質実剛健、というのはTHIS IS イギリス(英語+カタカナ!)のように思います、そういうイメージ持っています。ところが相反するようにお洒落だったり風雅だったりが共存するのもイギリスらしさのようにも思えます。多面的でなかなか捉えづらいというか表現しづらい懐の深さがありますね。
体は売っても心は売らない、したたかな根性は日本が見習うべき点かもしれないですね。。
うろ覚えなのですが、フェーズ1のデザイナーって、タイの高貴な血を引く人とロータス本に書いてあったような気がします。

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「車検通しましたので、これであと最低二年は乗り続けます!いや十年乗ることになるかもしんないなぁ(^^)」
何シテル?   11/16 15:53
イツニレ(itsunire)です。 2010年8月、ロータス・エリーゼtype72を所有するのを機にみんカラを始めました。 エリーゼ自体が限定車のよ...
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