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2011年02月15日

林原という「根拠なき熱狂」(日経ビジネス)

林原という「根拠なき熱狂」(日経ビジネス) 「バイオ企業の雄」「岡山の大地主」として全国に名を馳せた林原。架空の決算書で銀行を信用させ、約1300億円もの借入残高を抱えるまでに。バブル経済崩壊後の不良債権処理の教訓は生かされなかった。


「だまされた」「何でADR(裁判以外の紛争解決)を断念するのか」

2月2日、東京都内。バイオ企業の林原グループ(岡山市)が、事業再生ADRによる再建を目指して金融機関向けの債権者集会を午後2時から開催した。ADRは、債務の減免などを調整する私的整理の1つ。法的な手続きを踏まない分、再建を早く進められる。

参加者によると、午後3時頃に突然、林原側が会社更生法の申請に切り替えたことを伝えると会場は騒然となる。同社の債権を保有する28行のうち、知らされていたのは一部のみ。債権者集会の開催中、一方的に金融機関にファクスを流したのだ。同法を適用すると、債権放棄などによる損失が拡大する可能性もあり、債権額の小さい銀行がメーンバンクに「切り捨てるのか」と悲痛に叫ぶ場面すらあった。

会場の外には、多くの報道関係者が詰めかけた。非上場の林原に関心が集まるのは、様々な“伝説”があるからだ。

林原健氏(69歳)は弱冠19歳で4代目社長に就任。独自の開発手法で食品の甘味料に欠かせない「トレハロース」や抗ガン剤「インターフェロン」の量産化に成功した。取引先は数千社に上り、「バイオ企業の雄」との名声を世界的に高めた。健氏は自らの尿を飲む健康法を実践しているとも言われる。

対する大手金融機関の対応はまさに“熱狂”と形容するにふさわしい。

内部資料によると、2009年10月期の林原単体の売上高は281億円、当期利益はわずか1億円。その企業に対して、銀行の債権総額は約1300億円。非上場の中堅企業が28もの金融機関と取引するのは異例だ。

だが、同社の経営は火の車そのものだった。30年にわたり279億円ほどの架空売り上げを計上。約500億円の債務超過に陥り、原材料を調達できないほど資金繰りに窮していた。

ADRの申請には全債権者の同意が必要だが、金融機関の足並みは揃わず。同日付で社長を辞任した健氏は、債権者集会で「すべての責任が私にある」と深々と頭を下げた。

集中砲火を浴びたのは林原経営陣だけではない。銀行同士が抵当権の登記を巡って激しく対立した。


「駆け込み登記」との批判

1883年に創業した同社は、健氏の実父の一郎氏が拡大した水飴事業で得た資産を元手に、戦後まもなくJR岡山駅に隣接するNECの工場跡地を買い占めた。東京ドームの広さに匹敵する4万5000㎡もの土地で、これが岡山の大地主という伝説を作り上げた。

メーンバンクである中国銀行と準メーンの住友信託銀行は、不正経理が発覚した昨年11月以降に、これらの土地の抵当権を立て続けに登記した。中国銀行の永島旭頭取は、「引き続き林原に融資するために、登記留保分を登記しただけ」と釈明する。

しかし、他行にはこれが「駆け込み登記」と映った。関係者によると、債権の保全率は両行が50%を超えるのに対して、他行はほとんど保全できていなかった。


銀行と大株主の馴れ合い

メーンバンクに対する不信感は、「長年にわたってなぜ不正を見抜けなかったのか」という疑問に帰着する。

不正発覚は、昨年11月中旬。林原に追加融資を求められた両行が互いの貸出残高を確認し合ったところ、それぞれが説明を受けた金額が異なることに気がつき、林原に問い詰める。翌日には健氏が中国銀行の泉史博副頭取の元を訪れ、不正を認めたという。

林原が不正経理に手を染めていたのは30年前から。内容の異なる決算書を金融機関ごとに使い分けていたという。「ファミリービジネスだから情報開示が少ない」(永島頭取)という理由で不正を見逃してきた。

そもそも林原グループは中国銀行株の約10%を保有する大株主。中国銀行は否定するが、両社が長年、馴れ合いの関係にあったのは明らかだ。地元では融資に慎重な金融機関として知られる中国銀行が、実は林原の財務内容をほとんど知らなかったというから、林原との関係の異様さが際立つ。

金融庁監督局地域銀行調整官の杉原茂彦氏は、「一般論だが、銀行経営に対して大きな影響を及ぼしかねない大口債務者に対して、注意義務を十分果たしていたかが重要だ」と語る。

右往左往する金融業界とは対照的に、地元の反応は冷静だ。林原に地元出身の社員は多いが、岡山での取引は少ないのがその理由である。

林原一族は岡山経済界との交流も少なく、地元では浮いた存在だったという。2000年代前半にJR岡山駅前を再開発し、自然科学博物館を中核とする「ザハヤシバラシティ」の構想が浮上し、頓挫した。岡山経済界の関係者は「投資額が大きすぎて誰も信じていなかった」と振り返る。「トレハロースの次がない。売れる製品を作らないとお金は続かない」と、岡山のタクシー運転手が地元の評判を聞かせてくれた。

林原の借入金が積み上がったのは、不動産や研究開発、メセナ事業などに多額の資金を投じたからだ。その中には、チンパンジーの飼育や恐竜の化石発掘なども含まれる。銀行が財務内容を的確に把握していたのであれば、無謀な不動産投資や研究開発投資に歯止めをかけることもできたはずだ。

林原一族は会社法違反などの罪に問われる可能性がある。その不正を見抜けなかった者も不明を恥じるほかない。
ブログ一覧 | 林原関係 | 日記
Posted at 2011/02/15 20:56:21

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