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2011年11月25日 イイね!

「東証+大証」が世界で勝つためにはどうするべきか?(ダイヤモンドイザ)

「東証+大証」が世界で勝つためにはどうするべきか?(ダイヤモンドイザ)東証と大証の経営統合がとうとう合意に至った。

日本の証券取引所のグローバルベースでの競争力が強化されることは日本企業および投資家にとって歓迎すべきことである。そこで今回は世界における日本の証券取引所の立ち位置や事業内容について確認しておく。

■世界の証券取引所の収入は右肩上がり

まず、世界の証券取引所全体の収入状況であるが、これは右肩上がりで推移してきている。特に取引による収入増が顕著である。証券取引所にとってはいかに取引量を増やすかが重要なのである。これが取引所間のM&Aを促す一つの要因だ。

2007年までは上場銘柄の時価総額が増えていたので、そこからの恩恵は大きかったと思われるが、それ以降はリーマンショックのおかげもあり上場銘柄の時価総額合計は減っている。

それにもかかわらず高い収入状況を維持できたのは、一つには売買回転率が高かったことにある。株価が下落すると投資家は損をするが、証券取引所はそれだけ売買量が増えるため、1人で潤うわけだ。

実際、証券取引所の利益率をみると、比較的利益率の高い産業といえるであろう。

このような収益右肩上がり、そして高い利益率の一つの要因としては、各証券取引所がそれぞれの地域や国においてほぼ独占企業であることが挙げられる。

しかし、PTS(私設取引システム)やECN(電子証券取引ネットワーク)などの電子私設市場が登場し、既存証券取引所のシェアは少しずつ奪われ始めている。

今後も同様に証券取引所が独占状態を維持できる保証はない。むしろ今後の経営環境は厳しくなるだろう。

また、証券取引所による上場企業および投資家の争奪戦も激しくなると思われる。従って、今後も勝ち組でありつづけるためにM&Aを模索するというのが一つの流れである。


■海外取引所の一部は現物株よりデリバティブで稼ぐ

では、世界の主要取引所の収益内訳はどうなっているのだろうか?

各取引所によって収益の細分化の仕方が異なるため、取引所間の収益内訳を完全に横比較できるわけではないが、たとえば、ドイツ証券取引所やシンガポール証券取引所は収入の大半をデリバティブとクリアリングで稼いでいる。

現物株のトレーディングによる収入は10%以下である。現物株よりもデリバティブのほうが証券取引所にとっては利益率は高いため、今後はよりデリバティブの重要性が高まると考えられる。

※たとえばNYSE EuronextやNasdaqではクリアリング収入はトレーディングやデリバティブに含まれており、クリアリングのみの収入が公開されていないため、データ上はゼロに見えるが実際はゼロではない。東証のデリバティブ(金融派生商品)や大証のクリアリング(金融商品の清算・決済)がゼロに見えるのも同様の事情であり、ゼロではない

その点、デリバティブに強い大証が、規模の大きい東証よりも、自身の価値を高く評価しようとしたのは理解ができるし、現物の東証とデリバティブの大証の組み合わせは経営安定化策には寄与すると思われる。


■勝ち残るのは「デリバティブの収益が多い証券取引所」

さて、今後はどういう証券取引所が勝ち残るのであろうか。

大証をはじめ、世界的に多くの証券取引所が上場をしているが、過去5年間の株価の動きを確認してみると、香港とシンガポールの株価パフォーマンスが比較的良いことが見て取れる。

ともに高い利益率を維持し、シンガポール証取は先ほど見たようにクリアリングとデリバティブで大半の売り上げを稼ぎ、香港証取は中国をはじめとする海外銘柄の取り込みで成功している。シンガポール証取でも上場企業のうち2割は中国企業が占め、中国以外の海外企業も2割存在する。

これからは先進国ではなく、経済成長著しい地域から上場企業を誘致し、そして、デリバティブによる収益の下支えが重要ということになるだろう。

その点、今回の東証と大証の経営統合はデリバティブ強化には手を付けたと言えるが、次はやはり海外市場をどう取り込むのかが重要な課題である。

国内の個人投資家にとっても魅力的な海外モノに投資しやすい環境となれば喜ばしい。今回の経営統合はあくまでも通過点であって、これからが本番というのが投資家や上場企業のホンネではなかろうか。
Posted at 2011/11/25 18:48:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 企業動向(企業再編) | 日記
2011年06月21日 イイね!

NTTの「ドコモ吸収作戦」が大詰めに 三浦社長留任でグループ支配強化(選択)

東日本大震災の混乱のさなか、NTTグループ総帥である三浦惺持ち株会社社長の続投が静かに決まった。「東日本大震災への対応を優先する」というのが表向きの理由だ。一方で稼ぎ頭のNTTドコモを取り込み、グループの結束を高める動きも着実にスタートしている。

「震災前の時点まで、持ち株会社社長交代は八割方あると見ていた。山田隆持ドコモ社長が最有力だったはずだ」。NTTドコモのある幹部は残念そうに肩を落とす。

三浦社長は2007年に就任。今年六月末で就任丸4年を迎える。和田紀夫会長から二代事務系社長が続いたため、次は「技術系のドコモ山田」との期待がドコモ社内で高まっていたのだ。

グループ全体の約7割の利益を稼ぎ出しながらも、常に「外様」の地位に甘んじていたドコモにとって、山田グループ社長の実現はまさに悲願。「山田氏もやる気だったはず」(同幹部)。

ところが例年NTT社長人事が動き出す四月を前にして大震災が起きた。通信インフラの復旧記者会見を開いた三浦社長は、同日の会見で記者が社長交代の可能性を聞いてきたことに対し「こんなときに人事を聞いてくるやつがいるんだな」と高笑いした。そばにいた山田社長の顔はこわばっていたという。

いわば、この「ドコモ・山田封じ」こそ、今回の三浦留任人事の真相を語っている。

三浦氏の留任で、来年六月末には六十四歳になる山田氏の持ち株会社社長就任は事実上、消えた。創業社長の大星公二氏から四代目。ドコモから初の持ち株会社社長、というプロパーの期待は成就しなかった。

それどころかいま、NTT内ではドコモを取り込むグループ一体化の動きが水面下で急速に進んでいる。


ドコモを顧客基盤ごと取り込む

NTTグループのコンシューマー向け六サービスの料金徴収をすべて一本化する――。グループ内で「ワンビリング」と呼ばれるプロジェクトがひそかに進んでいる。

6サービスの対象となるのはドコモの携帯、NTT東西のフレッツ光と加入電話、NTTコミュニケーションズが運営するプロバイダー「OCN」と長距離・国際電話だ。

これまでは各社がばらばらに顧客に請求書を送り、料金を徴収していたが、これらを統合すると延べ顧客数は1億3千万件を超え、料金徴収の取扱高は年間8兆円弱と国内の事業会社としては最大規模となる。

たとえばドコモ携帯とフレッツの両方を契約しているユーザーは、これまで別々に送られてきた請求書がひとつになり、同じ銀行口座から引き落とせるわけだ。これ自体は便利なサービスには違いないが、
NTTにとってはもっと大きな意味を持つ。

携帯と固定の料金徴収一本化はすでにKDDIやソフトバンクも実施しているが、NTTが統合すれば、まずその規模が違う。将来的には、現在NTTに対しては規制されている固定と携帯間の定額、無料サービスなどを実現させる足がかりにもなる。

通信アナリストは、「NTTのグループ求心力強化の象徴的な動きだ」と解説する。前出のドコモ幹部は「ワンビリングは最も顧客基盤の大きいドコモが損をさせられる仕組みだ」と不満を隠さない。

料金徴収の仕組みは複雑だ。各通信会社は利用者に日常的にサービスを提供する一方で、月に一回の料金徴収までの間は、利用者に対して未払い債権を持つ。こうした債権は資産の一部であり、ソフトバンクのように携帯電話端末の割賦債権を流動化して市場で資金調達する例さえある。

回収周期が月一回の債権を担保に資金調達するのは現実的ではないが、それでも債権は資産の一部であることに変わりはない。

今回のNTTのスキームでは、ドコモを含め各事業会社が保有する債権はすべてグループ金融会社であるNTTファイナンスに譲渡しなければならない。一方、徴収システムは最も顧客基盤が大きいドコモのシステムを利用することになっており、システム改編費はドコモが負担する。

同幹部は「徳川家康が江戸城築城を各大名に命じ、巨大な資金拠出で各大名を弱体化させた。あれと同じ」と指摘する。「10年前のドコモだったらワンビリングなど拒否していただろう」(同幹部)。


ドコモへの落下傘人事も浮上

持ち株会社方式によるグループ再編が実施されたのが1999年。その後しばらくは持ち株にとってドコモはグループで最も収益を稼ぐ企業でありながら、同時にNTTグループの遠心力の象徴のような企業だった。

初代の大星社長は人目をはばかることなくNTTからの独立を主張。事業でも人事面でも持ち株会社の介入を牽制し続けた。二代目の立川敬二社長もこの路線を引き継ぎ、爆発的に拡大する携帯電話市場を味方に独立路線を突っ走った。

ドコモだけではない。再編時に誕生したNTTコミュニケーションズも同様だ。6年間社長を務めた鈴木正誠初代社長は光回線事業や割安電話メニューでNTT東西地域会社とも競いあい、NTTグループ内では「鈴木商店」と呼ばれる独立王国を築いたのだ。

だが立川、鈴木両氏は皮肉にも、その後の海外投資の失敗で合計2兆円の損失を出し、当時の宮津純一郎NTT社長の後継レースからは脱落、代わりに登場したのが第三の男、和田紀夫氏だった。和田氏はNTTに逆に求心力を働かせるグループ経営に舵を切る。

2004年には立川ドコモ社長が後継として指名したプロパーの津田志郎副社長を覆し、NTT出身の中村維夫副社長を昇格させる。「角を矯めて牛を殺す」(ドコモ幹部)経営が始まったのである。

こうしてドコモ取り込みは最終章に入った。今回の留任を受けて、三浦社長は長期政権化するのではないか、との見方がある。前任の和田社長は在任5年だったが、その前は民営化第三代社長の児島仁氏も、第四代の宮津氏も6年間在任した。

三浦氏が長期政権に入り、その懐刀である鵜浦博夫副社長が次期ドコモ社長として送り込まれるとの見方もある。

鵜浦氏は冷徹な能吏タイプ。人事畑が長く、NTTの事務系社長を多く輩出してきた労務畑とは一線を画す「半傍流」。だがその後、頭角を現し、現在は三浦氏の右腕として対外活動からサービスまでほぼすべてを仕切っているという。

「ドコモを取り込んで、NTTグループの全サービスのフロントに」という戦略を練っているのも、ほかならぬ鵜浦氏だと言われる。

山田氏の持ち株会社社長就任でグループ内での存在感誇示を夢見たドコモが、逆に、落下傘人事で「ドコモ取り込み」の急先鋒を社長にいただく。ドコモにとってはこれ以上の悪夢はないが、NTT三浦長期政権の下での「吸収作戦」は、ドコモの外堀を着実に埋めつつある。
Posted at 2011/06/21 20:03:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 企業動向(企業再編) | 日記
2011年04月20日 イイね!

パルコ、平野社長退任を発表 森トラスト・イオンとの委任状争奪戦を回避(日本経済新聞)

専門店ビル大手のパルコは20日、牧山浩三取締役兼専務執行役が社長に昇格するなどの新しい経営体制を発表した。

平野秀一社長の退任で大株主の森トラストとイオンも譲歩。2月から始まった一連の対立はひとまず収束する。

今後、パルコはイオンとの業務提携の検討委員会を設置し、国内外の共同出店などの協議を進める。ただ、3社間で微妙な溝も残り、どこまで具体化できるかはなおハードルがある。

20日にパルコ、森トラスト、イオンの3社が5月末の株主総会に提案する人事案に合意した。10人の取締役のうち、森トラストからは2人、イオンは1人派遣する。

平野社長は専務執行役にとどまる。両株主が派遣する役員で取締役会の過半を占める案からは大幅に後退したが、平野社長の退任の実現で譲歩した。

パルコ株を45%強持つ森トラストとイオンの両株主は3月末からは経営陣の大幅刷新を求めてきた。

イオンは2月の出資に合わせて業務提携も提案した。パルコは反対を貫くも、委任状争奪戦では不利な情勢。都内で会見した平野社長は「自主独立を確保できる体制になった」と語り、早期決着を図ったことを示唆した。

このため対立劇はパルコがイオンと業務提携の交渉に入るなど、一転して収束に向かいつつある。

5月28日に開く株主総会後に検討委を設置。イオンが求めていた中国の共同出店や国内の郊外出店などを検討する。

イオンは「従業員に理解を求めて着実に進める」(豊島正明専務執行役)。森トラストは「前向きに進展することを望む」(幹部)と期待感を示した。

とはいえ、パルコ側には依然として警戒感も残る。

牧山専務は「イオンの全体像がつかみきれていない。冷静に中身を精査したうえで是々非々で対応する」と慎重な姿勢を崩さなかった。

パルコの労働組合や管理職など会社一丸で拒否の姿勢を鮮明にしてからわずかな時間での妥協に、経営陣の判断が社員に受け入れられるまで時間もかかりそうだ。

こうした中で、パルコは買収防衛策の撤廃も表明した。

イオンはこれまでの提案の中で子会社化を視野に出資比率拡大を求めてきており、今後はイオンが従来求めてきた内容の実現を目指してどこまで踏み込んでくるか、展開次第では再び対立関係に戻る可能性もある。
Posted at 2011/04/20 23:14:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 企業動向(企業再編) | 日記
2011年04月20日 イイね!

パルコ、対抗策に有効打なし 総会で対決を回避(日本経済新聞)

専門店ビル大手のパルコが19日、平野秀一社長らが退任する人事を固めた。

大株主の森トラスト・イオン連合が求める経営陣の刷新提案を受け入れ、株主総会での全面対決を回避する。

パルコ経営陣は森トラスト・イオン連合の要求を拒否する姿勢を見せてきたが、新たな支援企業の確保などが難航。有効な対抗策を打ち出せなかった。

イオンがパルコ株12.3%を取得して森トラストに次ぐ大株主に躍り出た2月下旬。

パルコ内部には、イオンの「提携案の内容に期待する」(幹部)空気もあった。当初、イオンはパルコとの友好的な連携を強調。昨年から続く森トラストとの対立を打開する契機にする可能性を見いだしていたためだ。

だがその期待が危機感に変わるのに時間はかからなかった。イオンは3月中旬、取締役派遣や自社の専門店ビルのパルコへの移管などを打診。

パルコが敬遠する姿勢をみせると、森トラストと共同歩調をとり始め、社長退任や会長兼最高経営責任者を含め、両社から計5人の役員派遣を求めた。さらに株主総会では取締役の選任議案について両社共同で議決権を行使すると発表した。

「イオンは短期間で経営を支配しようとしている」。平野社長は、株式取得から間がないイオンが経営の根幹に関わる要求をするのは受け入れがたいと主張。

全面的に争う姿勢を打ち出し、「自ら退く意志はない」と強調してきたが、情勢は当初から不利だった。森トラスト・イオン連合の保有株式はあわせて45%強。5月末の株主総会での委任状争奪戦に勝つのは難しい状況だった。

このため水面下では資本業務提携している日本政策投資銀行を通じて新たな支援企業探しにも取り組んだ。だが「ホワイトナイト」を呼び込んだ会社提案をまとめあげるには時間がなさ過ぎた。

一時は候補として複数の大手流通企業の名前が浮上したが、東日本大震災もあり、「あえて火中のクリを拾う必要はない」(大手小売幹部)。パルコ経営陣が主導権を持ち続けられる選択肢はほぼなくなった。

パルコは13日、アジア最大級の商業施設運営会社キャピタモールズ・アジア(CMA)との業務提携を発表。独力での成長戦略にこだわりを見せた。

だが最終的には社外取締役らで構成する指名委員会が平野社長らの退任を含む人事案をまとめ、決着した。

委員会設置会社のパルコの人事案は指名委の決定事項。大株主との対立が長期化し、総会での混乱につながれば企業価値を損ねる――。そんな判断が指名委を動かしたようだ。

今後はイオンが強く求めている業務提携の具体化が焦点となる。

イオンは中国での共同出店のほか、出資比率の引き上げや買収防衛策の撤廃を要求。全面的にこれを受け入れた提携まで発展すると、老舗専門店ビルの将来の姿も大きく変わることになりそうだ。
Posted at 2011/04/20 23:08:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | 企業動向(企業再編) | 日記
2011年04月18日 イイね!

「大義なきM&A」疑問 パルコ問題、堤清二氏語る(日本経済新聞)

「大義なきM&A」疑問 パルコ問題、堤清二氏語る(日本経済新聞)生活総合産業を大手流通業の中で一足早く標榜したセゾングループ。往時は西武百貨店、西友、良品計画など200社を束ねる日本を代表する流通集団だった。

バブルの崩壊で経営の一線を退いた創業者の堤清二氏にとって今の資本市場と消費社会はどう映るのか。イオンによるパルコへの資本参加、震災による消費の変質などについて聞いた。


■テナントの集積、相互に啓発

――1970~80年代にセゾンの成長と洗練されたイメージ発信で重要な役割を果たしたパルコの価値とは何でしたか。

「パルコは、単なる小売業の集積ではないんだというのが私がつくった時の考え方です。小売業に新しい風を吹かせました。テナントが集まって相互に啓発する。そして単独出店では採算が合わない店でも、集まって商圏を広くすれば、そういう店が欲しいという顧客が来ます」

「例えば海外のファッション関連書籍を集めた個性的な書店でもパルコに入れば経営が成り立ちます。各地の商店街は今、シャッター通りになり、そういう個性的な店は閉めざるを得ないが、パルコは昔の商店街の役割を補完できます」

「重要なのは単独の名店がどういう価値をもっているかを見つけ出す目を持つこと。そしてパルコ自体が消費者に対する発信力を鍛えることで、パルコを支持する店が増える。普通の大型店にはないきめ細かなノウハウがあります。資本の論理で乗っ取られると、それがなくなってしまいます。日本の消費文化にも影響することです」

――イオンが森トラストに次ぐ、第2位株主に躍り出ました。

「イオンは2月にパルコの了承なく、ファンドから株を買ったばかりです。そのイオンと(33%のパルコ株を保有する)森トラストが組んで経営革新とか役員の大幅刷新とか、まるで自分の会社のように言っているのは失礼じゃないですか」

「両社とも『名門』といっていい会社なのに。理念なく両社が結びついているようです。流通業界に関係していたものとして憤りを感じます。パルコの幹部にも『何やっているんだ』と言いました」

――イオンのパルコ株の取得は法にのっとって進めていますが。

「それでも倫理や良識を欠いている。ことに小売業というのは、倫理観みたいなものがベースになって、お客さんとの信頼感に基づいて成り立っているんですよ」

「製造業の場合は技術が優秀であれば、お客さんの顔が見えなくてもそれは適正な取引になりますわね。小売業の場合は消費者との信頼感に基づいて成り立っているわけですから、それはまずいですよね」

「私はかねて小売業というのは資本の論理と消費者の論理の境界に立っている『マージナル産業』という仮説を立てて、がんばってきました。しかし今の流通業界からは大義名分がなくなってきているように感じます。私としては一言いわなきゃいかんなと思っています」

――パルコもかつてのような輝きが薄れていませんか。

「やっぱり、マンネリになったのかなあ。このあいだ中期計画を持ってきました。これは何だと思って、満足できませんでしたね。計画には新しさがなく、普通の小売業が言っていること以外出てなかった。今だったら、被災地の仙台店で無料でテナントを出せるということをなぜやらないんだと思います。テナントあってのパルコですから」

――昨年パルコが森トラストの了解なく、政策投資銀行と資本業務提携したことが対立の引き金でした。

「パルコ側にも手落ちがあったかもしれません。事前に話して了解を得られたかどうかは分かりませんが。でも経営者としては言いにくいことは先にいわなきゃだめです」

――パルコが政策投資銀と提携したことは、資本の力で森トラストによる買収を防ぐ意味があったのではないですか。

「政府系の政策投資銀行は中立的ですからね。(企業への出資などで)ある業種を助けることで通常の銀行と違う役割を果たせるのもいいことだと思います。私にも責任があるかもしれません。(この提携の件でパルコから)相談を受けたとき、いいんじゃないかと答えましたから」


■高まる自治意識、日本再興のカギ

――90年代以降、セゾングループの主要各社は解体されてきました。それでもセゾンのつくった価値は社会に残ると思いますか。

「それは私の内部での戦いになります。片っぽうでは『祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり』というのがありますが、そうであってはいかんぞ、目の黒いうちはやれることはやれという思いの両方です。パルコの問題が出てきて現実に刺激を与えられています」

――東日本大震災の後、日本の経済や流通業はどう変わるでしょう。

「エネルギーの供給不足もあって、経済が2割くらい縮んでしまうかもしれない。日本を再建するには、いろいろな面を変えないといけません。これから国民の地方自治への意識が高まりそうですが、道州制を改めて議論し直す必要があるでしょう」

「小売業もこれまでの地域密着主義を、市町村のような今までの狭い単位ではなくて、もっと広い単位でつくりなおすような構想が求められると思っています。一方でこれから怖いのは、再編や寡占化が進んで産業界の多様性がなくなること。それと統制経済で自由が失われることだと思います」
Posted at 2011/04/20 23:04:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 企業動向(企業再編) | 日記

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