もともと日本の報道は米よりで偏っているのはしょうが無いとして,なんで鳩山さんがクリミアを訪れたのかイマイチわからないのが,宇宙人的で興味深いです。ちょっと斜から見れば政府,マスコミが言うような理由で行くわけ無いような…,本当はこういう理由で…ってのがあるんでしょうね。面白い記事があったのでコピペしときます。
鳩山由紀夫元首相は、宇宙人か馬鹿か天才か
【2015年3月16日 週刊東洋経済】
クリミア半島での「無謀な行動」を分析する
「人の不幸は蜜の味」と言う。今回、鳩山由紀夫元首相がウクライナ南部のクリ
ミアを訪れたことで、激しいバッシングを受けている一件だ。前回好評だったコ
ラム「ロシアでレクサスが『バカ売れ』するワケ」でも触れた通り、最近筆者は
同国を訪問したことでロシア関係のコラムを書いているわけだが、今回は急遽こ
の話題について、国際ビジネスマンの立場から迫ってみたいと思う。
●鳩山由紀夫氏の「正論」とは?
それにしても、マスコミは、寄ってたかって鳩山由紀夫氏を「悪の主人公」に
仕立て上げている。もちろん、その背景はわかる。ロシアは昨年3月、ウクライ
ナ南部のクリミアを一方的に編入。米国をはじめとする西側諸国や日本は「編入
は国際法違反」という立場をとるのに対し、由紀夫氏は「編入のプロセスは合法」
との見解を示したからだ。
とにかく、どのニュースでも、コメンテーターが鳩山氏の行動を一斉に非難し
ている。だが、大の大人が、一見軽率にみえる行動を、鬼の首をとったかのよう
な表現で責め立てるのは何とも大人げない気がするのだ。
知ってのとおり、由紀夫氏は人一倍の理想主義者だ。沖縄県の普天間基地の移
設問題での発言は、完全にそれが災いとなった。だが、今回のクリミア訪問は決
して思い付きではないと思う。あえて言えば、「確信犯」である可能性が高い。
ロシア側の意見や見方が、日本のマスコミには伝わらないから、日本人が信じて
いる「一方的な情報」にあえて「一石を投じた」という見方もできなくはないのだ。
セバストポリで、由紀夫氏はおおまかにいって、以下の意見を述べている。ま
ず一番目は「クリミア半島が元々はロシア固有の領土であること」、二番目には
「クリミアに住む国民が選挙で圧倒的多数でロシアに帰属させるべきだと投票を
した事実を評価」、三番目には「ロシアとウクライナは兄弟のような関係だから、
他国の干渉を受けず、双方で平和的な解決を模索するべきだ」との意見だ。
現在のウクライナの立場を無視しているように見えるが、由紀夫氏は、民主党
代表時代、日露協会の会長だった。だからロシア問題の専門家である。筆者に言
わせれば、必ずしも大きく外れたことは言ってはおらず、理路整然とした意見を
言っているように見える。
●西側とまったく異なる、ロシアの世論
ところが、その意見にはあまり触れずにマスコミは「由紀夫氏は日本の国益を
犯している」とか「元首相の身でありながら軽率である」とか「政界を引退した
からには余計なことはするな」と、言いたい放題だ。
実弟の鳩山邦夫氏などは「兄貴は宇宙人だが、せめて人間に戻って欲しい」と
か「(邦夫氏の日露協会会長の立場から言えば)兄貴は邪魔で迷惑だ」とか「最
近は誰にも相手にされないから、マスコミの注目を受けるためにやっているので
はないか」とまでいっていた。
しかも、クリミアの検事総長に就任した美人のナタリア・ポクロンスカヤ女史
が登場することで、ワイドショーでは、格好の下ネタ風のニュースに仕立てるこ
とができる。
事の真偽は不明だが、由紀夫氏の面談に、わざわざ検事総長がお出ましになっ
たとのおまけつきニュースもあった。
もっとも由紀夫氏もどこかで面識があるらしく、「僕は彼女のファンです」と、
まあ「サービス精神」にあふれている。ただ欧米でもこの美人のニュースは取り
上げられており、日本のマスコミは米国のニュースの「二番煎じ」で、残念なが
ら新鮮さに欠ける。
それはそうと、筆者は、前回のコラムでも触れた通り、2月の下旬にモスクワで
資源会議があり、多くのロシア人の旧友と面談する機会があった。去年から続いて
いるウクライナ紛争や欧米からの制裁問題について、ロシア人の立場過多の意見
を聞く機会に恵まれた。
モスクワにおける、ロシア人の世論といえば次の通りだ。つまり、「ウクライ
ナのポロシェンコ政権とは、米国が無理やりクーデターを起こさせて、裏で操っ
ている傀儡政権である」。これがロシア人の一般的意見なのだ。
由紀夫氏は、素直で物事をあまり疑ったりする人でない。だから、他人によく
利用されやすい。一方、結構図太い部分や無神経なところもあるので、他人から
揶揄されても気にしないところもあるという。
したがって党首として首相としてあれだけ大変な経験をされたが、「意外に苦
労をしたという感覚は少ないのでは」との意見を良く聞く。だからこそ「いじら
れやすい」のである。ところがやはり生まれ育ちが良いから、由紀夫氏はみんな
に好かれる。現在は政界を引退しているが、由紀夫氏が民主党の領袖になったの
は偶然ではない。
●物事を掘り下げない、日本の大多数のマスコミ
さて、今回このコラムで、私が一番言いたいことは、由紀夫氏の人物像に迫る
ことではない。今回の由紀夫氏の一件でもわかるように、ロシア=ウクライナ問
題のような重要案件については、マスコミたるもの「きちんと掘り下げて、表面
的ではなくフェアな立場で事実を報道すべきだ」ということだ。
そもそも、ウクライナ問題を語れる評論家は少ない。現場の一次情報はほとん
ど日本に入ってきていない。主に「欧米のフィルター」がかかったニュースが、
お茶の間に報道されているのである。
それゆえ、あたかも欧米のニュースが国際世論であるかのように見える。だが
注意深く観察すると、実際には米国の息のかかった、偏った一方的意見であると
の見方もある。
なぜなら、NATO加盟国以外の世論は、といえば、実は中立の立場でウクライ
ナ問題を扱っているからだ。米国の「内政干渉」によるウクライナの混乱に対し
て、NATO加盟国以外の世界の世論は、中立の立場である。
中立の立場とは「米国の意見も聞くし、ロシアの意見も聞く」という、子供で
もわかる理屈である。一見狂ったように見える由紀夫氏の考え方は「ロシアの意
見も聞く」という当たり前の意見を言っているにすぎない。私に言わせれば、由
紀夫氏のホンネはわからないが、「ロシアの固有の領土であるクリミアは、日本
固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉、と同じ位置づけである」との理屈が
成り立つのである。
由紀夫氏の祖父である・鳩山一郎元首相は、日ソ友好条約に腐心した人物だっ
た。由紀夫氏の父の鳩山威一郎氏も、日露関係の改善に努力した外務大臣であっ
た。由紀夫氏本人も日本国首相として、日露友好協会会長として北方領土問題の
解決に努力してきたことも事実である。
私などは、由紀夫氏があと50年遅れて生まれてきていたら、ノーベル平和賞を
受けるに値する偉大な政治家になったと思っているくらいだ。真の理想と哲学の
持ち主だと最大の賛辞を与えたい気になっている。なぜなら、自分の理想を行動
で表しながら、ロシアに対して、日本人としての一つの意見を表明しているからだ。
もっとも、ロシア側も、由紀夫氏の扱いには困っていることも予想される。日
露関係というガラス細工のような繊細で壊れやすい宝物を、どこに飾れば良いの
かを模索している時に、由紀夫氏という確信犯がセバストポリに乗り込んできた
からである。
ただ、専門家はお見通しだが、プーチン大統領は日露平和友好条約の締結とサ
ハリンの天然ガスの共同開発とシベリア開発を心から推進したいと考えている。
これまでも何度となく日本政府にラブコールを投げかけているのに、私から言わ
せれば、日本の「洗脳されたロシア性悪説論者」が邪魔をしているのだ。
早い話が今回の由紀夫氏を貶めようとしている面々とも言える。「ロシア性悪
説」論者には悪気もなければ自覚もない。ひとことでいえば、問題を掘り下げて
考えようとしない、単純で怠惰な評論家たちである。
●外交は、そう単純ではない
私の専門は政治ではなく商人である。しかもレアメタルという、極めて狭い分
野の専門家である。従って政治問題を評論する気は全くないが、鳩山由紀夫氏と
いう宇宙的な発想をする人物には興味がある。
政界を引退したといえども、今回のように、日露問題においては「レアメタル
的な貴重な存在感」を放っているからだ。このような希少性のある発想がなけれ
ば、北方領土問題の解決は不可能である。
誤解のないようにいっておくが、私は米国が好きだ。だが、一方で、対米一辺
倒型で万事うまくいくほど、外交は簡単ではない。米国一辺倒では得られるもの
は極めて少ないのもまた事実なのである。新興国を中心にレアメタルビジネスを
展開している筆者だからこそ、声を大にして訴えたいのだ。
「クリミアはロシア固有の領土であり、北方領土は日本固有の領土である」。
由紀夫氏がクリミアに対して表明した正論は、実は北方領土問題にそのままあて
はまるロジックであることを、日本国民の大半は気づいていない。
おそらく、冒頭の由紀夫氏の発言を踏まえ、彼が本当に言いたいことは次の
3点だ。まず「北方領土が元々は日本固有の領土であること」、二番目は「元
来北方領土に住む国民が選挙をしていたなら、圧倒的多数で日本に帰属させる
べきだと投票していたはずだ」、三番目は「北方領土におけるロシア人と日本
人は兄弟のような関係だから、他国の干渉を受けず、双方で平和的な解決を模
索するべきだ」との意見である。
本当に孤立した時に助けてくれる人を尊重するのがロシア人気質であること
を熟知しているのが、鳩山由紀夫氏である。