日本は与党の軸がぶれぶれだから野党が迷走してしまう。ほほ〜なるほど。そして、彼曰く、くっついたり、離れたりするだらしない政治はもう見たくない… 同感です。
さて、「既得権益を打破する会」はどうなるんでしょうか?
みんなの党分裂に見る、日本の野党が育ちにくい特殊事情とは?
【2013年12月16日 田原総一朗ブログ】
江田憲司さんら議員15名が、「みんなの党」を離党した。もともと江田さんは、
「みんなの党」代表の渡辺喜美さんとうまくいっておらず、8月には幹事長を解
任されている。「みんなの党」の中に溜まっていたマグマが、特定秘密保護法案
への対応をきっかけに噴出した、ということだろう。もちろん、5名以上の国会
議員が所属する政党に交付される政党助成金の算出の基準が1月1日だという理
由も大きいだろう。
江田さんは「既得権益を打破する会」という、勉強会を立ち上げた。12月10
日の設立総会には52人の議員が集まった。民主党の細野豪志さん、日本維新の
会の松野頼久さんらも参加した。そのため、「野党再編」と見出しを打った新聞
もあった。
新党結成の可能性は、あるだろう。だが、細野さんが民主党を離れるとは考えが
たい。野党の大きな流れになるかは疑問だと僕は思う。何より「柱」がないのだ。
会の名前は「既得権益を打破」だが、具体的に何がしたいのかさっぱりわからない。
くっついたり、離れたりと、彼らはなぜこうもだらしないのか。その理由を考え
てみたとき、日本の野党というのはとても難しいものだ、ということに僕は気づ
いた。日本というのは、非常に珍しい国なのだ、と。それは、なぜなのか。
アメリカ、イギリス、フランスなどの先進国では、保守政党は小さな政府を目指
す。経済や社会に対する国家や政府の介入を最小限にして、市場原理に任せるの
だ。アメリカの共和党やイギリスの保守党がそれである。小さな政府では、経済
競争は活発になるが、格差が大きくなりやすいという欠点がある。
対してリベラル政党は、大きな政府を主張する。国家の役割を最大限発揮して、
社会保障を手厚くする。いわゆる「バラマキ」をするのだ。税金もたくさん使う
し、規制も多い。アメリカの民主党、イギリスの労働党である。オバマ大統領が
打ち出した「オバマケア」は国民皆保険を目指す医療保険改革だ。共和党から反
対されたこのケースは、典型的な例といえる。
一方、日本はどうか。戦後もっとも長く政権を担ってきたのは、自由民主党だ。
自民党は、あきらかに保守政党だろう。だが、保守政党でありながら、同時に大
きな政府に向かおうともする。バラマキをするし、規制も増やす。例えば、国民
皆保険は、日本ではとっくの昔に整備されている。
自民党は世界でも類を見ない、稀な政党なのだ。もちろん功罪がある。罪と言え
ば何よりも、1000兆円という、莫大な国の借金をつくったことだろう。
保守政党でありながら、大きな政府も目指す。これでは、野党は対立軸を打ち出
しにくい。野党が迷走するはずだ。
2009年、民主党は衆院選で、圧倒的多数の議席を獲得して政権交代を実現し
た。政権の座についた民主党は、はじめ、「自民党は無駄遣いをしてきた。予算
はもっと節約できる」と、大見得を切ってしまった。民主党はリベラルな政党だ。
だが、こう大見え切ってしまった手前、ケチケチ予算にならざるを得なくなって
しまったのだ。
日本は、風変わりな政治の国といえるのかもしれない。野党にとっては、とても
やりづらい国だろう。だが、そうであっても野党にはがんばってほしいと、僕は
思っている。
大黒柱のない家は、非常にもろい。だが、しっかりした大黒柱があれば、多少の
揺れでもびくともしない。政党を作るのであるならば、きちんとした太い「柱」
を、まず立てるべきだ。くっついたり、離れたりするだらしない政治はもう見た
くないのだ。
Posted at 2013/12/17 06:17:04 | |
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