
私の名前はプレオ+と言います。今日は入院している姉の代わりに、姉妹の集まりに参加しに来ました。
姉達はとても美人且つグラマーで、異母姉妹とはいえ、私にとっては自慢の姉達なんです。
それに比べて私は体型も貧相で、お世辞にも美人とは言えないのですが……
でも私には衝突軽減ブレーキ等、他の姉妹に無い先進装備を備えているのが自慢なんです。
今日は姉の代理とはいえ随分と場違いな所に来てしまい、居場所を見つけられずにいました。
私は会場の隅でぼんやりと外を眺めていました。
「来なければよかったかなぁ」
会場にいる男達は姉の旦那達で、お互いに自分の妻自慢を披露していました。
このホイールがどうとか、このマフラーはワンオフだとか。
中には治療費に幾らかかったとか自虐ネタで盛り上がる者まであらわれました。
ひとしきり話が進むと、今度は私を指差し何か話し出しました。
「さっきから気になっていたが、あそこにいる娘は誰だい?」
「キャッ⁉」
いきなりお尻を触られ、私は慌てて振り返りました。
「結構可愛い声じゃないか」
外を見ていて気付かなかったのですが、私の周りに男たちが集まっていました。
7~8人でしょうか、皆好奇な目で私を見ている様です。
「おいおい、妻の代わりに連れてきたんだから、変な事はしないでくれよ」
私を連れてきた男がそう言ってくれましたが、表情はにやけていました。
「何でもボンネットの塗料が内側に全然回っていないと聞いたが、本当か見せてくれよ」
禿げ上がった小太りの男が、私のボンネットを開けようと手を出してきました。
「嫌、やめて!」
「何だよ、手をどけてくれないと、開けられないじゃないか」
「なに? 嫌!」
男の手が強引に入ってきて、私のボンネットオープナーのレバーを引きました。
ボッという音と共にボンネットが浮き、その隙間に指を入れレバーを探しだしました。
「んっ……!」
本当はレバーの位置など分かっている筈なのに、わざとらしく撫で回されました。
私のあそこは恥ずかしさもあって、赤く充血してきました。
カチャ
ロックが外れ、ボンネットを開けられてしまいました。
「おー!」
歓声が上がる、と同時に早速男たちが手を伸ばしてきました。
「本当だ、裏側に塗料が回っていないぞ」
「でも、エッジ部分は塗料が付いているな」
「これもコストダウンの一環か?」
開いたボンネットをまじまじと観察する者、指で触る者、写真を撮る者など。
今まで誰にも見せたことの無い部位を執拗に弄られ、恥ずかしさと悔しさで目から涙が溢れ出ました。
「お願いです、もう許して下さい」
気力を振り絞り声を出しましたが、男たちの耳には届きませんでした。
その内に、エンジンルーム内の他の部分まで触り始めました。
「おいおい、もうそのくらいにしておけよ。恥ずかしがっているじゃないか」
そう声をかけてくれたのは、私を連れてきた男でした。
良かった、助かったわ。
ほっと胸を撫で下ろし、男に礼を言おうとしたその時、その男は続けてこう言いました。
「見た目はこんな小さいけど、中は結構快適だぜ!」
「!?」
「おお!」
「中に入れていいのかい?」
「お前みたいなデカイのが入ったら、壊れるだろう?」
「禿げオヤジに入られるよりはマシだろう」
「まあまて、俺が最初だ」
「お願いします、これ以上はお許し下さい」
私の願いも空しく、男の手が私のドアノブを掴んできました。
ドアノブの形状を確認するように指が動き、指がゆっくりと入ってきました。
スプリングのテンションを楽しむようにノブを何度も動かしています。
「こいつ、濡れているぞ!?感じているのか、いやらしいなあ」
濡れているのは興奮して汗ばんだ男の手の方だったのですが、そんなことを急に言われて慌ててしまい反論の機会を失ってしまいました。
カチャ。
ロックが解除され、扉を開けられてしまいました。
「くんくん」
乗り込む前に、男が匂いを嗅いできました。
「ふふふ、甘酸っぱい匂いがするぜ、お前も結構好き者だな?」
「嘘! そんなこと無い!」
デーラーの代車である私が、車内に芳香剤など入れてはいません。
「前の男の匂いか?」
いやらしい笑みを浮かべたまま、男の一人が私の中に入ってきました。
「へへっ、入り口はちょっと狭いな」
「せーので入れるぜ、せーのっ!!」
「キャッ! 痛っ!」
男のからだが乱暴に私の中に入ってきました。
そして、ハンドルや計器を弄り始めました。
「ダメ、触らないで。お願い……」
体の中に入られた私には為す術がなく、堪えることしかできませんでした。
からだの中を触られる屈辱と、今まで体験したことの無い感覚が、私体全体を支配し始めていました。
男は車の扱いに慣れているのでしょうか、その操作に迷いはなく、扱いも丁寧でした。
先程までの粗暴な発言とは全く別の男に思えました。
「入り口は狭いが、中はまあまあだな」
無理矢理彼女の中に入った俺だが、中の居住性は思ったよりも良かった事に驚いた。
手を伸ばせば、各種操作レバーが手の届く範囲にあった。
ハンドル、ウインカー、ワイパー、ラジオ。彼女の体を隅々まで弄ってみた。
「ダメ、触らないで。お願い……」
こちらの操作に赤面しながら反応する彼女を見るのが面白くて、つい余計な操作を繰り返した。
ただ、作りが華奢な感じがしたので、壊さないよう、そっと優しい操作を繰り返した。
彼女の息遣いから暖気が済んだようだったので、今度は少し手荒く扱ってみた。
「ここからが本番だぜ」
男の目付きが変わりました。
エアコンの風量調整のツマミを乱暴につまみ、最大風量へ激しく回す。と同時に吹き出し口調整のツマミをデフロスターに回し、熱い風を私に要求してきました。
一瞬何が起きたか分からなかったのですが、それまでの男の操作で暖気の終了していた私は男の命じるままに熱風を車内に吹き出しました。
「なかなか良い感度をしているな。だが、コレはどうかな?」
今度はエアコンの設定温度を一番下げ、冷気を要求してきました。
「っ!」
私の中にあるコンプレッサーのスイッチに火が点きました。
コンプレッサーを回転させるために、エンジンの回転も上がりました。
「何でエンジンがこんなに回るの?こんなこと初めてだわ」
冬に新車登録された私には、クーラーとしてエアコンを使用するのは初めての体験でした。
男は車に乗り込む前に車検の有効期限シールを事前に確認していた様でした。
「ふふふ、こっちの経験はあまり無いようだな。まあ、冬に冷房をかける奴もいないだろうがな」
「経験は少ない様だが遠慮はしないぜ。今度は俺の形に調教してやる」
何を言っているのか、意味がよく分からなかった。
「調教?どういう意味だろうか?」
私は慣れないエアコン作動の為に余裕はありませんでしたが、意識だけは無くすまいと必死にエンジンを動かしていました。
いっそのこと気を失った方が楽になれるのでは? と考えましたが、エンストなどした日には、きつい折檻が待っていました。
「これ以上怖い思いをするのは辛いけれど、折檻だけは絶対に嫌だわ」
私はその頃には、折檻に耐える苦痛より羞恥に耐える方がマシであると考え始めていました。
「……っ! 何!?」
いきなり男が自分が座っているシートを前後に動かし始めました。シートレールにはグリスが付いていましたが、男のこの動作に対しての潤滑は十分ではありませんでした。
「まだ、少しきついな」
そう言いつつ、男はシートを自分のポジションに合わせるためにゆっくりと動かし続けました。
自分でも信じられなかったが、グリスがシートレールに馴染んできて、スムーズに動くようになってきました。
「良い感じになってきたぜ」
今度は男の手がステアリング取り付け回りをまさぐり始めました。
「チルト機構は無いのか。ちょっとキツいけど我慢しろよ」
そう言うが早いか、右足でブレーキペダルを乱暴に踏み込みました。
「痛い!」
それまでのゆっくりとした操作から急に激しい操作に変わり、私は思わず仰け反ってしまいました。
「大切なところを弄られるのは、どんな気持ちだい?」
男はブレーキを踏み続け、その刺激はブレーキのマスターシリンダーに伝わってくる。
「お願い・・・、もう・・・、止めて・・・」
今までの行為で、既に私の意識は虚ろになっていました。
「ダメ、これ以上は・・・」
男の操作が激しさを増す。
「あ・・嫌、ダメ、ダメ、ダメ、いちゃう!・・・」
最後にブレーキを強く踏み込んだ。
「あぁっ・・・・!」
マスターシリンダーから溢れたブレーキフルードが全身のキャリパーに伝わり、ローターを強く掴んだ。
ブレーキランプが真っ赤に染まり、後方を照らす。
男の動きが止まり、まるで時間が止まったかの様に、辺りが静かになりました。
男がそっとブレーキから足を離す。
それまでの緊張が一気に緩み、体が小刻みに震えだしました。
アイドル回転が上がっているからか、息遣いが荒くなっていました。
男は満足げな顔で私の中から降りてきました。
「ふふふ、中々具合が良かったぜ」
「俺のポジションに合わせたからな、他の奴が乗っても満足できない体にしちまったぜ」
「ああ、やっと悪夢から解放される」
恐怖と緊張、そして未知の感覚による支配からの解放に、私は胸を撫で下ろしました。
ぐったりとしてまだ息も荒いですが、意識がだんだんとハッキリしてきた時、私は信じられない言葉を聞きました。
「どれ、今度は後ろを試させてもらおうか」
「・・・えっ? 後ろ? ・・・嘘・・・でしょ?・・・」
男は後部座席のドアを開け、中を除き込みました。
「ここは全然使っていないようだな、新品みたいだぜ。どれ!」
「っ!!!!」
時刻はまだ正午。
私の悪夢は始まったばかりだった・・・・・・・。