2011年05月26日
究極のブーストアップ その⑤~馬力とは?トルクとは?~
その④の続きです。
写真は・・・イメージです。。。
本当は,パワーチェックの結果を元に,「究極のブーストアップ」前後でエンジン特性がどう変わったのか考察するつもりだったのですが,
「馬力」と「トルク」の違いについて先に述べておく必要があると思い,以下の説明を記述しました。
私自身,よくわかっていなかったもので・・・。(^o^;;
「究極のブーストアップ」からは話がそれてしまっていますし,
完全に教科書みたいな書き方になってしまいました。
「んなこと,もう知ってるよ!!(ー_ーメ)」
って人は読んで頂かなくて結構です。。。(-.-;)
【馬力とトルクの関係】
今更ですが,「馬力」と「トルク」って何でしょう?
馬力とトルクは以下の関係式で表されます。
馬力[PS] = トルク[kg・m] × 回転数[rpm] ÷ 716.6
上の式は,馬力はエンジントルクとエンジン回転数に比例することを表しています。
すなわち,
(1) トルクが大きいほど,回転数が高いほど馬力が出る。
(2) 同じ回転数であれば,トルクが大きいほど馬力が出る。
(3) 同じトルクであれば,回転数が高いほど馬力が出る。
ということになります。
(言い方を変えているだけで,(1)~(3)全て同じことを言っています。)
まず,「馬力」ですが,近年のカタログには,従来単位の[PS]とSI単位の[kW]の両方が表記されています。
ご存知のように,[PS]と[kW]の表しているものは「最高出力」という同じものです。
(長さを表すフィートとメートル,重さを表すポンドとキログラムのようなものです。)
ここでは,説明のしやすい,[kW](キロワット)で説明します。
[kW]は電気製品等ではおなじみの単位です。
キロは1000倍を表します。(kmと一緒です。)
ワットは,W = J/s (= J÷s) と表すことができます。
Jはジュールと読み,「物理学での仕事」を表します。
Sは秒(seconds)を表しています。
つまり,[kW]は,「1秒間あたりに,どれだけ(物理学における)仕事をしたか」を表します。
ここで,「物理学での仕事」というものが厄介です。
私は,「車を運転する上では,直接感じ取ることができないもの」であると思います。
(馬力を直接感じることができる人は教えてください・・・(汗))
なぜならば,物理学での仕事は,
Q = F×x (仕事=力×移動距離)
で表されるからです。
エンジンに置き換えると,力=トルク,移動距離=回転数となります。
何が言いたいかと言えば,
「大きな力で少しだけ動かしたこと」と,「小さな力でたくさん動かしたこと」が
「物理学での仕事においては同じ」とされるのです。
エンジンに置き換えて言えば,
「低回転域での大トルク」と,「高回転域の小トルク」が
「馬力においては同じ」とされるのです。
私たちが,車が「速い」と感じられるのはどんなときでしょう?
チューニングカーの場合,
「アクセルを踏んだときに,その加速が大きかったとき」ではないでしょうか?
(加速が大きかったとき=シートに押しつけられる と言うこともできますかね。)
物体を加速させるには,運動方程式に示されるように,
F =m×a(力=質量×加速度)
「力」が必要です。
今回の場合,力=トルク,質量=車両重量です。
(逆に言えば,「力(=トルク)」を加えなければ,車は加速しません。)
エンジンの「力(=トルク)」が大きければ大きいほど,
車の加速がよくなり,「速い」と体感できるのです。
繰返しになりますが,
車を加速させるエンジンの「力」とは,「馬力」ではありません!
エンジンのように,回転運動をするものの場合,「力」に相当するものは「トルク」です。
【ドリフトに必要なのは「馬力」か?「トルク」か?】
次に,ドリフトに必要なエンジン特性を考えてみます。
ドリフトは(進入時など,慣性を使ったスライド状態を除いて,)ホイルスピンを持続する運転の仕方です。
ホイルスピンを持続あるいは開始する場合,
タイヤと路面の摩擦力を超える駆動力を与える必要があります。
摩擦力という「力」に打ち勝つ駆動力とは,「馬力」ではなく,「トルク」です。
すなわち,
ドリフトにおいて,パワーチェックで評価すべきものは,
「馬力」という回転数の掛けられた間接的なものではなく,
パワースライドを持続させる「力」である「トルク」
を評価すべきと考えます。
別の言い方をすれば,
「パワースライドを維持しにくい,トルクの小さいエンジンであっても,
高回転まで回すことができるエンジンであれば,馬力は出てしまう」
「馬力の大きなエンジンであっても,トルクが大きいとは限らない」
「トルク」はそのエンジンにとっての得意な回転数を表す。と言ってもよいのではないでしょうか。
【なぜ馬力で評価するのか】
ここまで読んで,
「トルクが大事って言うなら,なんで馬力で性能評価するの?」
と思われた方もいるかもしれません。
私なりの理解では,
「他のものとの比較や変換が容易であるから」
と考えます。
これを利用した1つが,「シャシーダイナモ」という馬力を測定する機械です。
・・・長々と説明してしまいましたが,
ようやく次回は「究極のブーストアップ」前後でのエンジン特性がどう変わったのか,考察してみようと思います。(^o^;
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究極のブーストアップ | 日記
Posted at
2011/05/26 00:30:12
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