GOLD CARトップとモーターファン別冊を基にして、3ドアミラージュのデザインができるまで…をまとめてみました。Yahooブログにも載せた記事なのですが、折角なのでこちらにも公開します。
新ミラージュをきっかけにして、昔のミラージュにも興味を持つ方がさらに増えればいいなぁと思い、こういうのを作ってみました。
4ドアについても書きたいところなのですが、いかんせん情報量が膨大になりすぎますので、今回は3ドアのみで勘弁してください汗
そして、「オタッキー」な文面ですが、その辺も勘弁してください

画像は95年10月時点でのサイボーグZR(CJ4AMNGH) 色はピレネーブラック
市販された3ドア車のデザインはこの通り。画像は最初期モデルのサイボーグZRで、当時の新車情報雑誌における広報車も同色(ピレネーブラック)のサイボーグZRが多かったような気がします。ベストモータリングのVHSに登場したサイボーグZRにはOPのヘリカルLSDが装着されていたり、ホイールがOPの15インチOZだったりしました。
前の代(CA/CC)と比較すると随分締まっているというか、小ぶりになったように感じます。
事実、3ドアは「ダウンサイジング」が図られているのです。先代と比較しても全長で、フロントオーバーハングが-20mm、ホイールベースが-25mm、リヤオーバーハングが-35mm、計-80㎜。全高、全幅はそのままでした。前後オーバーハングの徹底的な切り詰めが功を奏し、車体サイズの縮小に対して、室内スペースは先代と同等レベルのものが確保されました。

デザインに入る前に、やはり議論されるのが「ミラージュらしさ」だったようです。
4代目のデザイン段階でもそれは議論されているようなのですが、ポイントとなるのはやはり「初代」でありました。1978年、それまでに国産車にはまるでなかったクリーンな形を持ってデビューし、鮮烈なインパクトを与えた初代…その鮮烈なイメージを再来させることを目標にデザインが進められました。
4代目においては、スポーツ一辺倒のイメージからの脱却が図られました。先行して行われていた空力研究を参考に各シリーズの形が模索されて行きました。空力研究に際しては、3代目をベースにcd=0.25まで切り詰められたそうです(もちろん室内空間は無視で)。そこで得られた形をベースにHB、セダン、それぞれの形状が作られていったのです。
基本的な考えは「シンプル」であること。結果、楕円を基にした柔らかく伸びやかな雰囲気のボディに仕上がりました。
一方、5代目には、4代目における基本的な考えであった「シンプル」よりも、さらに「アクティブ」なイメージを大切にしたと言います。アクティブなイメージを盛り込むためには…と様々な模索が進められた結果、3代目の「角」でもなく、4代目の「丸」でもなく、基本を丸としながらラインでシャープネスを取り入れていくという方向性が序所に出来上がったようです。さらにそれに続く「アクティブなイメージ」の追及は日本、アメリカ、ヨーロッパの各拠点によるコンペ態勢で進められました。
最上段:4分の1スケールモデルの各案です。
左:岡崎案は実直かつ道具的なスタイルを狙ったもので、曰く「ミラージュらしさ」については置いておいたもので、とにかく「ベーシック」であることがテーマであったと言います。
左から2:外部デザイナーの提案によると言う左から2番目の案は小さなノッチがついたものでありましたが、「ミラージュらしさ」という点では納得のいくものではなかったようです。
右から2:サイプレス案はミラージュらしさを押さえながらも、「新しさ」を各所に散りばめたその姿が好評となっていたようです。サイドウィンドウのイメージは実車にかなりいような感じがします。岡崎チームはこの後、MRDE案と岡崎案のいい所を取りつつデザインを進めていきます。
右:、ドイツを拠点とするMRDE案は丸みを帯びたボディの中に、鮮烈なイメージを与える「キャラクターライン」を大胆に採用するというものでした。
第2段:
原寸モデルの段階で描かれた、サイプレスによるスケッチです。これがミラージュの基本イメージとして決まり、それをベースに原寸モデルが造られていきました。
第3段
左:岡崎案はスポーティさを押し出しシャープな形に
中:サイプレスによる柔らかな面構成とシャープなラインを特徴とするもの。リヤのイメージはこの案の影響が大きかったとされています。
右:MRDE案は少し硬質に・・・そしてやはり鮮烈なキャラクターラインを魅せるような構成としたもの。
第4段:
その後、さらに絞られて、サイプレスのリファイン案と岡崎案・MRDE案の合体案の2案となりました。テール周りのイメージを始めとする全体の佇まいが、かなり市販車に近づいている事が感じられます。
そして、最終的に選ばれたのは「サイプレス案」でした。
これをベースに岡崎チームにより煮詰められ、さらにシャープネスが与えられた最終案が形作られていくのでありました。
丸めなボディにシュッと通るラインが印象的ですが、このライン1本引くにもかなりの時間が費やされたそうです。特に太いCピラーを魅せつけるような面構成との絡みが難しく、加えてこれを線図におこし、データ化していく段階ではかなり苦心されたそうです。
また、前期の顔で印象的な細いグリル…もともとはグリルはなくす予定だったそうですが、冷却面など現実的なところが影響し、空力やデザイン面を意識しつつも、小さなグリルが与えられることになりました。
CJミラージュはこのようにしてデザインされて行きました!
いかがだったでしょうか??
街ゆくミラージュを見かけた時、いつもとは少し違った目線で見ることができたりして…?
にしても、時間かかった-・・・orz
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ミラージュあれこれ | 日記
Posted at
2011/12/01 22:19:28