ダムの風景　新池

入り組んだ住宅街の奥にある児童公園。しかしその実態は新池というダムの直下です。

右岸には古そうな祠があり、左岸天端にある碑には昭和8年建設の文字と吐水量や時間が記載され、さらに古池という文字も読めるので、かなり歴史がある溜め池のようです。

一方白い看板には四国中央市水道局や新宮配水管理所の文字もあります。

画像２の碑の向かいに別の碑があり「新池調整池　昭和50年竣工　愛媛県　銅山川工業用水道企業団」と記載され、この溜池はただモノではない変遷を秘めていそうです。

ダム湖は満水で画面奥と手前の二カ所に取水設備があります。

右岸側の取水からは轟轟と水が吸い込まれていますが、その先は地理院地図で見ると近くの金生川に放水されているようです。
グーグルストリートビューで見ると付近に放流注意サイレンの警告板も見えます

上流に川はありませんが、背後にそびえる法皇山脈の向こうに銅山川が流れ、直線5キロに新宮ダムがあります。
地図や前述の碑を参照すると、新宮ダムから発電所に導水された後、この新池に放流され、ここで一定量を工業用水として取水するようです。

下流には川はありません。ただ公園の先から小さな用水路が流れ出すのは、かつて灌漑池だった名残の水利権でしょうか。

調べてみないと何だかよく分からない、わずか堤高１７．８ｍの小さなダムですが、実態は様々な用途を持った実力派ダムでした。