
10月中旬に現在乗っているV35の車検が切れた。
もう13年物の車だし、そろそろ乗り換えを考えていたので、数ヶ月前から購入を検討していた。しかし、特にアクションを取っていた訳ではないので、今から急いで買わなくてはならない。
購入する車は決まっている。V37のターボである。久しぶりに戻ってきたスカイラインのターボ車である。昔に比べてお上品なターボになっているのは、1年前に試乗をしたので知っているが、とにかくスカイラインにはターボがなくてはいけないという固定観念を持っている。よって車選びはしなくてもいいのである。
無策でディーラーに行くのもよろしくないので、神奈川県ではあるが、知り合いが懇意にしているディーラーを紹介してもらい、対抗となる見積もりは出ている。200GT-t Type-Pの見積もりで、フロアカーペットだけをつけて16万円の値引きがついているものである。1年前に埼玉のディーラーで見積もりを依頼したときには、買うという匂いをさせていなかったために値引きは0であった。これに比較すると16万円引きならいいかなという感覚だったが、最後にもうひとがんばりすることにした。ちなみにいろんな雑誌に値引き目標額というものが掲載されているが、10万と書いてあるものもあれば、20万となっているものもあった。しかもいずれもハイブリッドの話ばかりを取り上げているので、ターボを買う者としては、どこまで参考にしていいかわからない。
神奈川のディーラーに見積もりをもらい、車両に対し約11万、その他にカーペット分の5万引きの、計16万円の値引きとなっている見積もりを手にした私は「きっともう場所は遠いけど神奈川と契約するんだろうな」と信じていた。神奈川の見積もりは433万円。今後の付き合いも考えると、本当は埼玉の近所のディーラーで買いたいのだが。 さて、最初に商談を始めた埼玉のディーラーとは、最後にどのような交渉をしようか。
この先は埼玉のディーラーの営業とのやりとりである。計画的に人の心理をつけばミラクルは起こせる!
さて、どういう手で行こうか。この日、勤務時間中に、仕事をうっちゃらかして30分間真剣に考えた。
昼ごろに、1年前の試乗以来、何の連絡もしていなかった埼玉のディーラーに電話をかける。でも担当営業は不在。なんでもイベントがあり、外で営業しているらしい。「すぐに連絡つけんかったら高級車一台売れんようになるよ」と伝言を残したら2分で電話がかかってきた。すごい伝達網。
先方はイベント中(ショッピングモールで車を数台だけ展示して紹介するイベント)なので、手元に資料もなく、当然名前だけ言われても、私が思い出せない。何せ前回に会ったのが1年以上前である。「すぐに思い出されへんのはわかってる。1年以上会ってないからな。まあ説明するから思い出して。買う気になったので、電話しました」。
(しばらくの会話の後)「ああ、思い出しました」
「じゃあ、書くもの用意して。昔もらったの見積もり番号を言うから。今からいう条件でもう一回、今日にでも見積もりを頼みたいんやけど。」(もうすぐにでも買う気があると匂わせる)
「細かく言ってるのは、他の会社の見積もりと条件合わせたいからですねん。」(競合がいることをなんとなく知らせる)
「会社に戻って見積もり出せるの何時ごろですか?」
「イベントが終わるのが7時頃になりますので、8時頃になります。」
「じゃあ、できたら連絡して。今日行ければ行くから。今の車は車検切れたしな。」(もうすぐにでも買う気があるとさらに匂わせる)
「時間かけずに後腐れないように決着つけたいんで、正直に言っときますけど、日産の知り合いの助けも借りて、その人が知っているディーラーには最大限の努力してもろてますねん。せやからそっちにとっては不利やと思うけど、最初にいろいろ教えてもろたし、声かけましたんや。」(可能性は薄いけど仁義だけは切っとくという認識にさせ、どれだけの値引きかを疑心暗鬼にさせる)
「あと、こっちもディーラー名は隠すけど、お互い紙を同時に出し合って、一発で決着つけるからね。もう、入札やと思ってね」(へたな金額から攻めようとしたら一発で負けという恐怖心をさりげなく与える)
(夕方)
「見積もりできました。」
連絡があったのが7時前。予定よりもずいぶんと早い。ちょうど帰宅中でディーラーのある駅まで15分くらいだったので、迎えを頼めるかと聞くと問題ないとのこと。
(15分後)
駅前で落ち合い、日産ノートに乗って5分ほどの距離にあるディーラーへ。車の中では敢えて契約自体には触れない。世間話程度。
「予定のイベント7時までじゃなかったん?」
「車売ろうと思って、早くに現場をあがりました。」
「本気価格が出るように聞こえるけど、期待してええんかな?」
「がんばりました。」
(5分後)
ディーラーで机に座り、少し世間話をしたところで。
「さあ、勝負しようか。」
「はい、わかりました。」
妙な緊張感。でも楽しい!。ポーカーのオープンみたいでギャンブルやってるって感じ!!! 双方手元に紙を出し、金額を提示。当方の見積もりのディーラー名は切り取って伏せてある。
結果、先方の値引額は31万円。30万じゃなく、31万だったのは、コチラが30万円引きと予測したのか。いやいや、税金は変わらないだろうが、ディーラーによってそれぞれの手数料は異なるからそんな細かい予測はできないだろうし...
えっ? 31万円引き? 冷静に振舞っていたつもりだったが、たぶんこのときばかりは目が見開いたと思う。思わず本音。
「すごい金額出たね。こら勝負ありやな。」
「もう利益なしで売るだけになっちゃいました。」
何はともあれ31万円引きは昼から心理作戦で脅した甲斐があったというもの。加えてそこから純粋にほぼ価値のなくなったV35を5万円で下取りをし、かつスピーカーなど、必要な内装パーツはディーラーで外してくれるとのこと。これがオークション価格で3万円分くらいになると予想される。
まあ、神奈川には下取りの話はしていないが、5万円という引取り金額は廃車査定もしたけど、相場と思われる。今回は必要な部品をディーラーで外してくれるとまで言ってくれているのでメリットが大きい。
一部買ってくれという2万円程度の点検サービスは、頼まれたので、31万円も値引きしてくれた営業君に免じて入ってあげた。端数を切り捨てて結果423万円。下取りとオークションの儲けの8万円を加味すると、実質415万円。
実質415万円で、車体本体だけでも420万円のType-Pが手に入る。上等だ。ちょっと頭を使った甲斐があった。
答え合わせをした後の会話。
「ちょっとがんばり過ぎたやろ?」
「はい、ちょっとやり過ぎたと思っています。でも、一発勝負と聞いていたので絶対売れるようにがんばりました。」
「これで買った店ということで、大手を振ってここに点検に来れるから、今後ともよろしく。」
(平和に笑顔で契約となった)
Posted at 2015/12/06 00:29:54 | |
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