
今日の書き込みは車では無いので興味無い人は読み飛ばして下さい
マイガレージの装備品、日立の扇風機。
首振りの範囲がアナログ設定出来る、超大事なレトロ扇風機。
レトロな扇風機が欲しかったのではなく、新品で買ったまま親子二代で使っていたらいつの間にか時代がレトロ調にしてしまったのである。
最近の扇風機などは人がいる範囲外までバカみたいに首を振り、風は強く、耳障りな音。
それに比べ、日立さわ風は任意の首振り角度を調整できるのだ!
そしてなぜか風が柔らかい。これは言葉では表現できない。
けっして風が弱い訳ではないのだ。現代の扇風機では出せない風が出るのだ。
つまり、新品で買う扇風機では全く及ばない機能があり、絶対に手放すことは出来ないのだ。
超お気に入りではあったが、かといって大事にはしていなく、夏は回し、冬はそのままホコリを被っていた。そのまま何年もこの状態を繰り返していた。回ってない時は雑巾を乗せて干す場所くらいにしか考えていなかった。
実家から持ち出して以来、ずーっと使っていたが、最近どうも回転が遅い。
これはアレだな、軸受けのボールベアリングかなんかだなと深く考えないで分解。
なんとビックリ、両軸オイルフローのメタルベアリングだった。
スゲエ仕組み。しかもオイルポットが有り、注油するとフェルトに染み込んだオイルが重力と時間により滴下し、ベアリングメタルを長期に渡って潤滑する!
アナログで首振り角度調整も分解するまでは仕組み意味不明だったが、分解して理解した。ワイヤー作動の可変クランク!スゲエ凝ってる。
感動のあまりピッカに磨き、グリースを充填し直し元通り組み立て。完成の喜び!
ところが今回の話はこれで終わらないのである。
通電させ、スイッチオン、アレ?やっぱり回転が遅い。あちこちカチカチ切り替えてたらいきなりボンッて下部から火が出た。と言うより爆発した。側にあったティシュ、こいつから拭き取ったグリースがたっぷり染み込んだティシュの山に引火して燃え上がった。
ここはガレージの中。フロアは木製。ヤベェええええ!
叩いて叩いて叩いて消火した。冷や汗出た。
せっかく綺麗にしてやったのにこのやろ!
ガレージの外に放り出した。雨のお陰でこれ以上くすぶることもない、ひとまず安心。
さよなら扇風機。
しかし、この扇風機、何とも幸運なのである。
その時たまたま実家から親が来た。
放り出した扇風機を見て母親が笑った。火が出たから捨てるというと、
まだこんなの持ってたの?よく使ってたね、
この扇風機は結婚した時に買ったんだよ、もうイイから新しいの買いな。
母親にはバラバラの扇風機は燃えないゴミに見えるようでその言葉からは未練は感じられない。
しかし、雨に濡れる扇風機を見る自分は、先程とは違う感情になっていた。
調べると昭和44年製造。今から47年前か。
コンデンサはとうに寿命を2周以上して居る。秋葉原でMFコンデンサを買いお疲れコンデンサと交換した。
絶縁し、ホットボンドでコンデンサを筐体に固定。ヒビは接着し直し、ロスしたビスは入れ直した。接点やスイッチも綺麗にし、メッキは新品の輝きの様に磨き上げた。
錆びた羽ガードはスチールウールで磨き、曲がっていた部分は調律した。
火は出たものの、下部のほとんどが鉄で出来ているおかげで爆発による本体ダメージは無かった。
そして今度こそ完全に治った。
分解すると色々な事が見える。
この扇風機、羽とモーターカバーとスイッチパネル以外は全て金属。台座やポスト、ネックなどは全て金属なのである。単純な回路と高度な仕組み。要求を超える各部作り。
高級感のある多くのメッキ部品。
当時の設計者は何を考えていたのだろう。
製造者はどんな想いで組み立ていたのか。
良いものを永く使ってもらいたいという、ジャパンブランドの礎となる理念。
扇風機は5年で買い換えて下さいとアナウンスする今のメーカーに当時の想いは感じられない。
コスト重視でオールプラスチック、コンデンサの寿命が来る前に樹脂製のネックにヒビが入り、うなだれて戻らない現代の扇風機。
裏返すとメイドイン China。
例え壊れなくても3年位で黄ばんでみすぼらしくなり、買い換えたくなる愛着の無い機械。
設計者は何を想う?コスト?
デザイナーは?成型色やデカールでお茶濁してない?
安売りだから次々と新しいのに買い換えてください?
古いから好きなんじゃない、良いものが古いのしか無いから。
直せる機械、直したくなる機械。使い捨てでは無い機械。
貧しい時代に新たな門出と共に我が家にやって来た日立扇風機、「 さわ風 」。
思い出せば、子供の頃、夏が終ると親はちゃんと綺麗に掃除して分解し、買った時の発泡スチロールと梱包に仕舞ってたな。
今時の使い捨てられる扇風機と違って家電が大事にされていた時代だった。
買い換える方が楽で、買った瞬間のワクワクは有る。でも、何か味気ない。使い捨て家電に想い出はない。
昭和の時代に製造されてほぼ半世紀、自分の生まれてから今までを全部知って居るかのような扇風機。
今度母親が来たら見せよう。生まれ変わった扇風機を見て何て言うだろうか。
新しい扇風機を買わなくても、今の方が幸せだ。
きっとこの扇風機は3代目に受け継がれ、いつ迄もヒマワリの様に家族を見守り続けてくれることだろう。
優しい風を送りながら。
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Posted at
2016/10/02 19:42:20