
「あ゛ぁ゛!?」
閑静な住宅街に朝から怒鳴り声が聞こえる。職人の声出し稽古が始まった。
おがり職人の朝は早い。まだ空が暗い内から職人の1日は始まる。相手を見立てた電柱に次々と怒声を浴びせる姿はまさに無敵の人だ。
この声出し稽古はシャドウボクシングに近いものがあり、様々な相手へ臨機応変におがるためのシュミレーションも兼ねているという。
職人の怒鳴り声を聞いてぽつりぽつりと周囲の家に明かりがつき始めた。始めた当初は苦情も入ったが今では時報として親しまれている。
「わしね、14の時におがって飯食ってこうと思うたんですわ」
職人が初めておがりをしたのは中学生の頃だと言う。それから10年以上の修行を詰み、ようやくおがり1本で食べていけるようになったと話す。
おが-る[動詞]
〈大声で〉叫ぶ。呼ぶ。主に大阪南部で使用される。
今でこそあまり見かけなくなりましたが、まだ私が10代の頃はおがり職人のおっさんをよく観察出来ました。海人と書いてうみんちゅと呼ぶなら叫人と書いておがんちゅです。
昔はそんなおがんちゅな地元で最強みたいなクッソ怖い先輩がおりまして…
返事ははいかYESのみです。パチスロで勝った時は機嫌がよく吉野家へ拉致られ奢ってくれますが、負けて不機嫌な時は理不尽なおがりと愛の体罰が飛んできます。
LS430にオペラ2を履かせて直管のV8のオロオロサウンドが聞こえてくるとあの人だ!と関わらないように逃げていました。
もう15年以上前の話ですが未だにV8の直管が聞こえてくると周囲を警戒する軽いPTSDになっています。
なんでこんな昔話をしたかと言うといよいよGTウイングの土台とマフラーを作っていきます。IS-Fなのでエンジンは当然V8です。サイレンサーは入れるけどあの音になるのかなぁと懐かしさにスタジオヨゴレおもひでオロオロです。
そんなこんなでマフラーから作ろうとしましたがGTウイングの出代に出口を合わせたいので先にGTウイングから作ることにしました。
ちゃんとしたGTウイングはどえれぇ高いのでR32から外してきました。体は1つしかないので乗る時に片方から外してもう片方に付けるで運用します。
今後はトランクをカーボンにする予定なのでなるべくフレームからステーを伸ばしたいです。あーすればこーすればと考えた結果めんどくせぇのでバーチカルで作ることにしました。
今回はカーボンで作る予算がないのでアルミパイプで作ります。
土台はリアレインフォースメントがアルミで分厚いので目を付けていました。
試しに飛び乗ったりバールをかけたりしてもビクともしません。台座はここに決定です。
続いてどこの家庭にもある油圧パイプベンダーでもお手軽な入門サイズのこれです。
砂を詰めればφ50くらいまで曲げれます。
2本全く同じように曲げるのはそれなりに難しいです。まずは1本を測りながら曲げて形を作ってからコピーします。
レインフォースに当てては角度を見て大体同じものが出来たので土台へ固定する方法を考えます。
かかる力や振動なども考えるとかなり頑丈に作らなければなりません。
まずはいつもの型取りゲージでレインフォースの形を取ります。
そのままプラダンにけがいて形を決めます。
ゆやんから段ボールからプラダンへ成長してると褒められました。安くて濡れても大丈夫でテープが何度も付けれて燃えるゴミで捨てれるという便利さはいいですね。
プラダンで干渉などを確認して問題なかったのでアルミで切り出します。
レインフォースが5mm厚なので固定の板も5mm厚を用意します。
あとはこのアルミでパイプを挟めば固定できます。
試しに仮でGTウイングを乗せてみました。
思ってたより派手になったな…
翌日に明るいところで見るとタケヤリみたいになってました。
ベースが出来てしまえばあとはそれに合わせて増やして長さを整えてやればOKです。
ここからはサクサクと進みました。
あとはルーフのシャークアンテナを外してロッドを伸ばしますが部品が届かないのでのちのち付けます。
ウイングが完成したのでマフラーを作っていきますがなかなかいいサイズのサイレンサーがありません。
汎用で安く売っているタイコはφ30~70くらいまでです。欲しいのはφ76ですがないので出口用のφ80を買いました。
出口はφ115ですが容赦なく切られ再溶接されてしまいます。
今回は中間タイコを抱かせてリアはストレート、出口に街乗り用と深夜用とインナーサイレンサーで音量を調整します。
エキマニのフランジ部でφ60となっており当初はφ60→φ70→φ80(集合)→出口までにする予定でした。しかし薄材のSUSがφ60とφ76しかなかったのでφ60→φ76→φ76(集合)→出口にします。
φ60をプレスで広げてすぐにφ76へ拡大しました。
Y字も作って伸ばしていきます。
今回は音より重量重視で厚みが1.5mmです。普段なら1.8~2mmを選んでいます。あまり薄いとバリバリブリブリとおっさんが駆け込んだあとのトイレみたいな音がするので人のを作る時はまず選びません。
今回は性能と軽さ重視で薄いですが0.5mm違うだけで溶接しにくいです…
あとペラペラで輪切りを叩いたら簡単に変形します。
ちまちまと溶接して伸ばしている途中で…
暗くなりタイムアップです。
今回は助っ人でゆやんが来ているので晩飯に出掛けました。
メンバーはヨゴレ・ゆやん・思想の偏ったちょっと変な高専卒後輩こともけ君です。前回レクサスを切っている時にエアソーは資本主義からの脱却と言っていたもけですが、このおっさん達つるんでておもしれぇ…!って理由で数ヵ月前に転職し大阪に引っ越してきました。
もけにはヨゴレの素質があったのかすでに大阪に溶け込んでいます。
そんな3人で行ったのは安い美味い多いの三拍子が揃ったU.K.カフェです。
大盛りにすると1kgくらい出てきます。普通盛りかライトサイズもあるのでぜひ行ってみてください。
ここで大盛りを食べきれたら大食いと言われるくらい多いです。
大盛りと普通盛りを同時に食べれるかやってみました。
たぶん米4合くらいですがギリギリ食べきれました。
大阪にお越しの際はぜひぜひ行ってみてください。
翌日、たらふく食べた結果無駄に元気なヨゴレはマフラー作りを再開しました。
潜っては仮付けしを繰り返しとにかくフロアに近づけて伸ばしていきます。
あとはリアエンドのフランジですがここでいつもの悪い癖が出てしまいました。
どこ向いとんねん。
突然ラジエーターに向かって高々と上り始めました。向上心の塊みたいなマフラーです。
これは後ろからジャッキを差し込んだ時にデフが見えにくいので一旦上げて逃がしています。
ようやくフロント&中間パイプが完成しました。
マフラーを自作する理由は最低地上高の確保が一番大きいです。
ここまでフロアに沿わせて作ればフラットボトムも作りやすいです。
あとはリアエンドを作ってやれば完成です。
セダンなのにどうして…って感じがいいですね。
試しにエンジンをかけてみると裏に住んでいるおじいちゃんが他界しそうな音が出たので急いで切りました。
もっと怖い先輩のセルシオ(LS430)のV8みたいな音と思ったら全然違いました。
しかしあまりのも凶悪な音量に5Lの洗礼を受けた気分です。とりあえずインナーサイレンサーを入れてみましたが8人のおっさんにおがられてるのが6人になった程度しか変化がありません。
そこでパンチングを巻いて溶接して700mmインナーサイレンサーを作りました。
グラスウールも巻いてRBならプリウスくらい静かになるやつです。
しかし5LのNAのアイドルアップは容赦なく、おがんちゅが3人になっただけで相変わらずおじいちゃんは危篤になりそうな音量です。
こんなので深夜にエンジンをかければ近隣住民に焼き討ちされかねないので更に加工します。
アルミテープで塞ぎ小さな穴を開けます。
先端にはウエスを巻いて少しでも排圧を下げます。
あまりにも排圧が高すぎて消音する前に全部出ちゃった感があるので無理矢理にでも減速させてみました。
エンジンをかけてみるとひゅるひゅると窒息寸前みたいな音で夜中でもかけれる音になりました。ATはクリープで移動できるのが便利ですね。
無事わが家が本能寺になることを回避し一安心です。
お次はリアディフューザーを作ってからアップしようと思います。