米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ(2013年6月19日) — 新車購入後90日以内に顧客が経験する不具合の大多数は、製造上の欠陥ではなく設計に起因している。本日デトロイト・アスレチック・クラブで行われた自動車記者協会の昼食会において発表されたJ.D. パワー2013年米国自動車初期品質調査SM (IQS) によると、これら設計上の不具合は、欠陥とは異なり、ディーラーレベルで解決される可能性は非常に低い。
J.D. パワーの初期品質調査は、新車の品質を調べる業界のベンチマークの役割を果たしているが、2013年には調査設計の変更が行われ、今日の車両の品質をより良く測定できるよう、特に新テクノロジー・機能面での強化が行われた。それに加え、27年目となった本調査から、新車の所有者からより詳しい内容のフィードバックが得られるように変更を行った。
新車購入後90日以内に顧客が経験した不具合の3分の2は、正常に機能が作動しないという不具合ではなく、車両の設計に関するものであった。部品自体は設計されたとおりに作動しているが、操作の方法が分かりにくい、あるいは操作が困難である場合には、顧客はそれを不具合と見なすということである。
設計上の不具合は、故障が原因ではないため、新車購入後90日以内では、これらの問題を経験した顧客のわずか9%しかディーラーに修理を依頼しておらず、そのうち不具合が解決したのは13%に過ぎない。それに対し、製造不具合や故障を経験した顧客の場合、28%が車をディーラーに持っていき、そのうちの42%は修理がなされている。
「自動車メーカーは何十億ドルも投資して、設計や車両の製造を行い消費者が望むテクノロジーを加えているが、時には車両の設計や搭載されているテクノロジーが、顧客のニーズとマッチしないリスクもある。」とJ.D. パワーのグローバル・オートモーティブ部門バイス・プレジデントのデヴィッド・サージェントは述べ、「留意していただきたいのは、自動車メーカーは、様々なタイプの消費者にアピールする車を設計しようとしているが、大多数にとって役立つものでも、全ての人に役立つとは限らないということだ。成功しているのは、顧客が欲するテクノロジーを、全ての顧客が使いやすいと感じられるに十分な直観的方法で提供する手立てを見つけ出した自動車メーカーである。」と指摘している。
業界全体の初期品質としては、100台当たりの不具合指摘件数 (PP100)の平均は113であった。 顧客が経験する不具合の多くは、音声認識、ハンズフリー技術、携帯電話に対応させたブルートゥース、ナビゲーションシステムなどドライバー用インターフェースに関するものであることが、本調査で明らかになった。
サージェントは「購入時にセールス担当者がテクノロジーの使用方法を説明することにより軽減される問題もあるだろうし、ソフトウェアの変更により修理できる場合もある。しかしながら、顧客にとって操作が困難、理解しにくい、または不便な場所に取り付けられているような機能は、その車に乗り続ける限り問題として残るだろう。」と述べている。
「新車をさらに充実させること、特にテクノロジー関連の機能の搭載を顧客は望み、自動車メーカー側はそれに応えようと努めている。大部分の顧客は不具合を経験することはないが、経験した顧客の場合は不満が募る。何か問題があれば短期間で買い替えのできるスマートフォンに比べれば、自動車の場合は往々にして新車に5年以上乗り続ける。このことを考えれば、それは無理もないことだ。」とサージェントは述べている。
2013年ランキングのハイライト
ポルシェは、平均不具合指摘件数が80PP100で、この調査のランキング対象となった全ブランド中、第1位となった。第2位はGMC (90 PP100) で、第3位はLexus(94 PP100)である。インフィニティ (95 PP100) とシボレー (97 PP100) がそれに続く。
26に上るセグメント別モデルランキングでは、シボレーが5つのセグメントでアワードを受賞、ホンダ、起亜、マツダ、ポルシェは、それぞれ2つのセグメントでの受賞となった。セグメント別で受賞したシボレーのモデルは、アバランチ (同率1位)、カマロ (同率1位)、インパラ、シルバラード HD、タホである。ホンダで受賞したモデルは、シビックとCRV、起亜ではソウルとスポルテージ (同率1位)、マツダではMAZDA2とMX-5 ミアータ、そしてポルシェではボクスターと911であった。
ラージ・プレミアムのセグメントでトップをとなったレクサス LSは、本調査に含まれる全てのモデルの中で、平均不具合指摘件数が59 PP100と、最も少なかった。
その他に、アキュラ TL、 ビュイック アンコール (同率1位)、キャデラック エスカレード、クライスラー タウン & カントリー、フォード マスタング(同率1位)、GMC シエラ LD(同率1位)、ヒュンダイ ジェネシス セダン、インフィニティ FX、メルセデス・ベンツ GLKクラス、日産ムラーノ、スマート フォーツー、トヨタ カムリが、セグメント別アワードを受賞している。
プラントアワード
トヨタ カムリを製造する米国インディアナ州のトヨタのラファイエット B プラント (SIA) が、不具合指摘件数が最も少ないモデルを生産してプラチナ賞を受賞した。プラントアワードには、設計不具合は含まれず、製造不具合の平均値のみに基づいて判断される。
アジア太平洋地域では、レクサス LXおよびトヨタ ランドクルーザーを製造する、トヨタの吉原 (TABC) 工場がプラントアワードのゴールド賞を受賞した。
欧州/アフリカ地域では、アウディ A4、A5、A6、A7、 A8を製造するアウディ AGのネッカーズルム(ドイツ)プラントが、プラントアワードのゴールド賞を受賞している。
2013年の米国自動車初期品質調査は、2013年型の自家用車、ライトトラック、マルチアクティビティ車を購入もしくはリース契約した83,000人以上の対象者に、購入(またはリース)後90日を経てから調査した回答を基にしている。本調査は、233の質問から構成され、自動車メーカーに不具合の特定を促し、車の改善に役立つ情報を提供することを目的とし、2013年2月から5月にかけて実施された。
調査の結果は、世界中のメーカーがその生産の品質向上、そして消費者が自動車を購入する際、より良好な購入の判断材料として、幅広く活用されている。初期品質は長年、消費者の購入決定に直接影響する長期的耐久性の良き予測判断材料となることが示されている。
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