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  • ☆ジェット オン ドリーム ~夢幻飛行~  第2部
    elyming♂ 2006/11/23 22:35:55



        【 ジェット オン ドリーム 】

          ~ 夢幻飛行 第2部 ~  

            <第15幕>



  • elyming♂ 2006/11/28 23:30:48




           <第17幕につづく>


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  • elyming♂ 2006/12/06 19:13:31


       【 ジェット オン ドリーム 】

         ~ 夢幻飛行 第2部 ~
      
           <第17幕>

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  • elyming♂ 2006/12/06 20:42:09



      ~ JANA 第1機体整備部 格納庫 ~


         夕刻の羽田整備場 ――――

    JANAの文字も ま新しいボーイング747-400D型 国内線仕様のジャンボ機が
    エンジンや車軸の検査を受けている。機体全体が支えられて、車軸の格納や降着の動作
    など入念なチャックが行われている。

    JANAではJAL、ANA双方の機材で運航を行っている。したがって、それぞれの
    機体整備は、運航母体会社が受け持っている。

    となりの作業地区では、JALのボーイング777-300型機が C整備、D整備の
    入念な点検を受けている。主翼からエンジンが下ろされたり、つばさの動翼 エルロンや
    フラップ、スポイラー、ラダー、エレベーターなど重要な操縦翼面の作動具合のチェック
    が行われている。飛行中の胴体与圧を受けとめる圧力隔壁検査が行われている機体もある。


    鉄道や自動車と同様、旅客機は、規定の飛行時間によって、運航前点検、Aチェック
    Bチェック、Cチェック、Dチェックと呼ばれる機体各部の定期メンテナンスを受ける。
    また、使用機種において何らかの不具合が起きた場合は、耐空改善命令によって臨時の
    改善整備も行われる。このような、さまざまなメンテナンスがあるからこそ、航空機は
    安全に空を飛ぶことができる。整備場は、一般には表からは見えない縁の下の力持ち的
    部門でもある。‘空の安全’を維持するには、多大なコストがかかるのものである。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 20:47:15











       ~ JANA 第1機体整備部 格納庫 ~



    機体整備のためのメンテナンスカードは何十枚とあり、それぞれの作業項目ごとに
    色々なサンプリングレイトが適用される。

    「G2インスペクション」「ライト」「T-9スプレー」


    圧力隔壁を点検する作業員が、手順を確認する声。別の場所では、部品ナンバーや
    機体の作業通算ナンバーを読み上げる声がハンガー(整備格納庫)内に響く。
    JANAの文字が入った安全ヘルメット、つなぎの作業着を身にまとい
    テキパキと動く整備部員らが、慣熟した確実な作業をこなしている。


    「お~い! 記入漏れに注意しろ!」「C-11 申し送り、確認よし!」

    「チーフ、D-05 確認済み、作業に入ります」「よ~し、OK」


    見習いの整備員が、先輩からの叱咤を受けながらも
    その熟練の技と知識を吸収するのに余念がない。


    各整備区の進捗状況をチェックしているのは、登雷 星三(とらい ほしぞう)である。
    彼は、JANAの運航整備本部長でもある。かつて、3発機 代表機種の一つでもあった
    ロッキード トライスターや、4発機 ジャンボなどの大型機体の整備に長年かかわって
    きた経験の豊富なことは、JANA社内の右に出る者はいなかった。

    整備ハンガーの一角、第2機体整備部では、規定運航時間に達したB747ジャンボ機の
    ジェットエンジン本体が機体から下ろされて、精密な検査が行われようとしていた。


    0

  • 2006/12/06 20:50:38

    <この発言は削除されました>

  • elyming♂ 2006/12/06 20:53:03










       ~ 安全への進化 ~


    福岡空港を離陸した日本航空 DC-10がエンジントラブルを起こし、同空港に引き返す
    という事故が発生していた。夜間の離陸だった為、上昇中の機体から一瞬上った爆発的な
    オレンジ色の炎がハッキリ判るほどであった。また、飛行コース周辺の地上には破損した
    エンジン部品の一部が落下した。大きな被害が出なかったことは不幸中の幸いであった。

    この事故原因は、エンジン燃焼回転の心臓部ともいうべき‘タービンブレード’の破断
    であった。エンジンメーカーの標準的点検間隔では、破断する可能性があることが判明。
    日航では、すでにDC-10型機の退役計画があったが、この事故をうけて、JANA
    においても同型機の退役スケジュールは確定的になっていた。

    また、同じ形式のエンジン搭載機種及び、同メーカー製のエンジンは
    点検間隔の短縮と改良型ブレードへの全面交換を行い万全を期した。
    安全のためのコスト負担は非常に大きいものになったのだった。


    かつて、全日空が導入していた3発機 ローキード L-1011型機 愛称トライスター。
    名門ロールスロイス RB型エンジンを搭載していた。マスターチップ・ディテクター
    オイルシーリングの不良など、潤滑油系統に関わるエンジントラブルも経験していた。
    エンジントラブルが多発したことで、一時期、定期便の運航停止という異常事態にまで
    なったほどであった。


    航空機(旅客機)は、製造初期型に何らかの欠陥があれば、それを改善しつつ
    より安全なシステムの集合体として、安全進化を続けていく。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 20:54:55









       ~ タービン ブレード ~



    ボーイング 777 など最近の大型ジェットエンジンは‘高バイパスエンジン’が
    主流になっている。大きな推力と低騒音化には好都合だからである。

    このタイプの ターボファン ジェットエンジン は、最前面にある大口径のファンブレードが
    いわば‘プロペラの役割’を果たし、巨大な非燃焼流(副流=バイパス流)を発生させている。

    高バイパス型のジェットエンジンは、最前面の大口径ファンブレードが回転することで得られる
    非燃焼副流(バイパス流)が推力の多くを占め、今やエンジンパワーの約7割近くを受け持つ
    ようになってきている。

    高バイパス型のジェットエンジンと、国産プロペラ機 YS-11などに搭載されている
    ターボプロップエンジン(エンジンはロールスロイス製)とで、推力の機械的発生部分を
    比較すると ―――― 高バイパス型ジェットは、大口径ファンブレードが飛行推力の主体
    であり、ターボブロップ機は‘大きなプロペラ’が飛行推力の主体だ。ジェットエンジン
    とプロペラエンジンである両者だが、機械的構造に違いこそあれど、飛行推力を生み出す
    ために燃焼機関の空気回転力を利用して‘大きな羽を回す’その原理は大変よく似ている。


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  • elyming♂ 2006/12/06 20:57:55









       ~ タービン ブレード ~


    高バイパス型ターボファンジェットエンジンの最前面にある
    大きな‘逆扇風機(ファンブレード)’を動かす原動力は
    エンジン内部の高圧縮燃焼タービン機関である。

    そこでは‘タービンブレード’と呼ばれる羽の集合体が回転し、その1本1本の羽が
    ジェット流を生み出す回転部分を構成している。圧縮燃焼温度を高くすればするほど
    大きな回転推力(最前面の大口径ファンブレードを回転させることで得られる推力)
    を生み出すことができる。しかし‘タービンブレード’は大きな遠心力と高温にさら
    されるため、その過酷な環境に長時間耐えなければならない。

    航空機の離陸時には、運用限度に近い最大推力を使うため、エンジンにとっては
    最もリスクのある時間帯である。それに耐ええるために、タービンブレードには
    特殊な耐熱合金が使われている。



    初期のジェットエンジンは、タービンブレードの耐燃焼温度の限界から、今日のような
    バイパス比の大きい高推力エンジンは難しく、エンジン前面のファン口径も小さかった。
    そのため、燃焼ジェット流が多くの推進力を受け持っていた。ジェット流が主体である
    ため、必然的に大きな騒音を発生させる。

    ジェットエンジンの高バイパス化、高出力化のためには、タービンの燃焼温度をさらに
    高めなければならないため、タービンブレードの耐熱耐久性は、たえず改良が重ねられ
    高出力、低燃費、低騒音、しかも、長距離用双発機にも通用する信頼性の高い大口径
    エンジンの開発が進められてきた。



    ブレードを構成する材質や形状は時代とともに改良され、ジェット燃焼機関の燃焼温度は
    どんどん高くなっていった。精密なる設計に基づいたレーザー光線照射等によって小さな
    穴(空気の通り道)をタービンブレードに加工することで、ブレード本体を空気の流れで
    冷却できるようになった。つまり燃焼温度を高めることが可能となったのである。

    高い燃焼温度による回転推力 = 最前面大口径ファンの回転力を強め、大きな副流による
    推進力の増大と低騒音化を図ったのが、今日一般的になった高バイパス比のターボファン
    ジェットエンジンなのである。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:00:42









          ~ タービン ブレード ~


    しかし、この新しいタイプのタービンブレードでも耐久性には限界がある。また
    冷却に必要な‘空冷穴’が何らかの理由で塞がってしまったりすると、ブレード
    本体の温度が急激に上昇し、強度低下の原因となる。また、小さな亀裂があれば
    同じく強度低下の原因となる。材質の耐熱性が著しく低下すると、大きな遠心力
    のかかったブレードは、ついに破断してしまうのである。これが燃焼機関の内部
    で起こると、エンジンは大きなダメージを受ける可能性が大きい。


    原子力発電用タービンブレード同様、航空機用エンジンのタービンブレードにも
    厳しい安全性が求められるのは言うまでもない。その耐用時間や寿命の見極めは
    余裕あるものでなければならない。


    JANA 第3機体整備部では、検査のベテラン、豊田 松夢(とよた まつゆめ)
    技術部主任と、その優秀な部下たちがタービンブレードの検査に取り掛かっていた。

    ジェットエンジンを分解し、バラバラにされた沢山のブレード1枚1枚の変質を
    丹念に調べる根気のいる作業である。特殊な蛍光試料を使った表面検査や内部の
    断層検査装置を使い肉眼では見えないような微細な亀裂までも走査するのである。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:02:55









          ~ タービン ブレード ~


    エンジンの燃焼回転力の心臓部となるタービンブレードは、1000度近い
    過酷な燃焼温度と、すさまじい遠心力にさらされる。このため、規定時間に
    達したエンジンをバラして、回転羽のブレード1本1本をバラバラに分解し
    精密な検査を行い、材質破断の兆候をいち早く発見しなくてはならない。

    小さな亀裂やその兆候を見逃したのが、たとえ、たった1本のブレードで
    あっても、その小さな1本が破断すれば、エンジン全体に致命的な損傷を
    与える可能性がある。しかも、場合によっては、その損傷はエンジン内部
    にとどまるだけでなく、周辺外部の機体損傷にまで発展する可能性もない
    わけではない。

    エンジントラブルの確率をゼロに近づける――――このタービンブレード
    の精密検査は、航空会社にとって極めて重要な作業の一つであった。



    しかし、機体を運用する航空会社と、エンジンを製造するメーカーとでは
    エンジンの信頼性に対する温度差があるようである。メーカー側は、1基
    のエンジンがトラブルを起こす確率をコストとのバランスで見ているフシ
    があるようだ。

    離陸中のRTO(リジェクト テイク オフ:離陸中断)の確率は極めて少ない。
    たとえエンジン1発が停止しても安全に離陸できる性能が保障されている。
    つまり、1発のエンジントラブルは緊急事態ではない。空港に引き返すこと
    で安全は確保できるという見方である。

    一方、現場のパイロットは、離陸滑走中のV1前後での‘RTO’には
    非常にクリティカルな状況になる場合もあることを肌で知っているから
    前述のようなメーカーの見解をすべて容認できる立場ではないのが本音
    であろう・・・


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:04:46









          ~ ジレンマ ~



    JANA運航整備本部長 登雷 星三 は、機体整備部の一角で行われている
    タービンブレード精密検査の経過を見守っていた。


    登雷 運航整備本部長「今日は何本くらい(不良品が)出ているかね?」

    豊田 技術主任「え~ 今のところ、18本ほど・・・まだありそうですが。」


    交換が必要な本数が増えるほどに、そのコストは膨大なものになる。
    しかし、エンジントラブルによる損害もまた大きいものである。
    安全と運航整備コストという大きなジレンマの一つである。


    登雷 運航整備本部長「確実にハジかないとね。マッツン君(豊田 松夢技術主任の社内愛称)
    ここは優秀なチームだからね、まず間違いはないと思うが、しっかり頼むよ。」

    豊田 技術主任「部長、我々は他のチームには負けない自信ありますよ。」

    登雷 運航整備本部長「もちろん知ってるよ(苦笑)」


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  • elyming♂ 2006/12/06 21:07:42









          ~ プライド ~


    現場には『俺たちが安全の支えになっている』という高い自負と誇り、そして技術者と
    してのプライドもあるのだろう。


    結局、この検査で38本のタービンブレードに亀裂と変質が見つかり、すべて破棄された。
    38本の小さな羽根 ――― 巨大な旅客機から見れば本当に小さな羽根である ――― が
    新品のブレードに交換となった。


    小さなブレード38枚といっても大変高価な部品である。羽の交換数が増えれば、そのまま
    整備コストに跳ね返ってくるのである。当然、エンジンの数が多ければ多いほど確率的には
    ブレードの交換数も増えることになる。一機あたり数千万~億単位のコストがかかる場合も
    ある。こうしてみると、4発機、3発機に比べて、双発機の整備コストは、このような場面
    でも俄然優位性が出てくるのであろう。



                          <第18幕につづく>



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  • 2006/12/06 21:10:53

    <この発言は削除されました>

  • elyming♂ 2006/12/06 21:12:12

       【 ジェット オン ドリーム 】

         ~ 夢幻飛行 第2部 ~
      
           <第18幕>


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  • elyming♂ 2006/12/06 21:16:20








          ~ たそがれ色の中で ~



    イグニッションを回すと軽やかに愛車のエンジンが始動した。さすがに夕刻が近い時間帯だ。
    点灯するインパネのメーター類が、陰りゆく小空間に浮かび上がる。

    夕日はすでに西の空に落ちかけていた。たそがれ色の残照が空に拡がりはじめる頃である。
    仕事を終え帰りを急ぐクルマで首都高速の渋滞列がのびてくる時間帯でもある。

    渡 鳥男は、京浜島のJANA研修所をあとにして、羽田空港へと向かった。


    自らハンドルを握るクルマのカーラジオは、音質のいいFM放送局にチューニングされていた。
    夕方の音楽番組が終わると、いつものように、ジェット機の始動する効果音が流れてきた。

    『時刻は午後5時45分になりました。・・・ギィ~~~~~~~~~~ン(番組効果音)』

    『羽田 フライト インフォーメーション・・・ジャパン・エアネットがお送りいたします。』


    ジェットストリーム オーケストラが奏でる♪ミスター ロンリー のBGMが静かに流れる中
    キャビンアテンダントを思わせるような優雅な口調の女性アナウンサーが、羽田空港の出発便
    到着便の情報を伝え始める。北日本方面や沖縄方面の運航便の一部に遅れが出ているようだ。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:22:35











          ~ たそがれ色の中で ~



    渡 鳥男がハンドルを握るトヨタ ウィッシュは、空港中央のトラックパターン周回道路に
    入った。動力性能、安定性、室内空間など優れたバランスと心憎いまでのパッケージング
    が人気の秘密である。専用ゲートから空港関係者指定駐車場に入った。カーラジオからは
    いつもの時間帯いつもの道路情報が聞こえていた。

    『ドライバーのみなさん、つづいて、JANAトラフィック 交通情報です。道路交通情報
    センターからお伝えします・・・首都高速道路 18時からのランプ閉鎖は、外苑、西神田
    一の橋、芝浦、霞ヶ関の両方向・・・湾岸東行きは空港中央を頭に東京港トンネルをすぎて
    有明ジャンクションまで・・・渋滞通過に30分です・・・都内では事故のため環七外周り
    ・・・次の交通情報は18時10分です。提供は‘いつも、あなたの翼 ’JANA・・・』

    渡 鳥男「夕方の渋滞だな・・・さてと、ちょっと寄り道していくか。」

    愛車を降りた渡 鳥男は、大きく背伸びをしたあと、JANA事業計画部に足を向けた。
    いつもなら、真っ先に運航管理部に行くのだが、ある‘プロジェクト’が順調に進んで
    いるのか、その進捗ぐあいが気になっていたからである。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:34:35











          ~ もう一つの機材プロジェクト ~


    その頃、羽田整備場 JANA第5機材整備部の一角では、B767-300の大きな
    機体がある作業を受けていた。ま新しい沢山の座席が、ハンガーの床いっぱに並べられ
    ている。座席の交換である。

    しかし、ただの座席交換ではない。JAL、ANAとも‘機材軽量化’プロジェクトが
    進んでおり、その一環としてJANAの運用機体もその対象となっているのである。

    厳選された軽量高品質な素材を生かして作られた座席は、1座席あたり950gの
    軽量化が図られている。たかが1kg弱であるが、キャビン全体では大きな減量に
    なるのである。また、座席だけでなく、貨物室に搭載される標準カーゴボックスや
    客室乗務員が使うサービス・トレー、乗客が使う食器類すべてに渡って、徹底的に
    減量作戦が進められており、これによって、ジェット燃料の燃費改善を目指そうと
    いうものである。燃料高騰のあおりを受け、航空各社は消費燃料の節約も重要な
    課題になっているのだった。


    田尾 三重男(たお みえお)事業計画部長によれば、保有機数、運航便数などで
    得られた試算では年間数億円以上のメリットがあるものとされた。減量効果による
    固定費削減の成果は、今後実証されることだろう。



    羽田整備場周辺は、とっぷり暮れる夕闇につつまれてきたが、ハンガー内部から漏れる
    照明灯が機体を煌々と照らしている。JANAのロゴが入った安全ヘルメットにツナギ
    作業服すがたの整備部員が行き交い、作業を進める声がハンガー内に静かに響いている。
    作業内容によっては徹夜になるのもあるようだ。

    遠く旅客ターミナルの駐機場では、照明灯の下で翼を休める旅客機の機体が、夕刻の暗闇
    とは対照的に輝きだす時間帯である。轟音を残しながら飛び立つ離陸機、逆噴射を轟かす
    着陸機、それらのチカチカ点滅する衝突防止灯さえもハッキリと判るほどに夕のとばりが
    訪れていた。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:37:11











      ~ 羽田飛行場 午後6時00分 ~



    各地からの到着便で混雑する時間帯を控え、空港ロビーは一段と賑やかだ。



        第1旅客ターミナル  ―――――  


        ピンポンピン パ~ン

      ジェイ ティー エー 日本トランスオーシャン航空より ご案内いたします。
      沖縄からの5318便は、只今のところ、到着が30分ほど遅れる見込みでございます。
      本日午後、那覇管制エリアにおきまして停電による管制障害のため、沖縄方面の運航
      ダイヤが乱れております。

      また、7053便 岡山行きも 機材運用の都合により40分程度の遅れが見込まれます。
      お急ぎのところ、大変ご迷惑をおかけいたします。

      繰り返し、ご案内いたします。

      沖縄からの5318便は・・・




    北日本では、寒気を伴った寒冷前線の通過があり、各地で一時的な強風が吹き荒れていた。

    一方、沖縄地方では、熱帯性低気圧に伴う湿った気流が流れ込んだため、午後になって
    活発な前線上に‘スーパーセル’と呼ばれる巨大な積乱雲が発生した。

    突風や竜巻、集中豪雨や落雷など被害が相次ぐ中、那覇空域の管制機関、米軍嘉手納ラプコンの
    管制レーダーシステムも停電のため使えなくなってしまった。バックアップ電源にもトラブルが
    あったもようだ。悪天候に加えて、管制は無線だけによって行われていた為、安全確認にも時間
    がかかった。復旧するまでの間、航空機の離発着に大きな影響を残した。沖縄から各地に向かう
    便にも、かなりの遅れが発生していた。


    また、西日本も西から活発な雨雲がやってきており、九州では熊本をはじめ所により
    大雨になっていたが、今のところ羽田周辺は比較的穏やかな天候のようである。


    0

  • 2006/12/06 21:46:39

    <この発言は削除されました>

  • elyming♂ 2006/12/06 21:48:42









     ~ 羽田飛行場 午後6時10分 ~



     第2旅客ターミナル ―――――


    ピンポンピン パ~ン

      エー ネヌ エー  全日空よりご案内いたします。
      航空機ご搭乗前におきまして、手荷物類などの持ち物検査、及び身体検査を
      行っておりますが、国土交通省からの通達により、只今、航空各社では
      お客さまの履物類の検査もあわせて実施いたしております。

      このため時間帯によりまして、検査ゲートが大変混雑いたしますので
      ご搭乗手続きと安全のための検査は、お早めにお済ませ下さいませ。



    ピンポンピン パ~ン

      エアーニッポン 2709便 帯広行きは
      まもなく搭乗手続きを開始いたします。なお、本日は機材変更となります。
      また、繰り返しのご案内でございますが、現地の天候によっては、着陸地が
      変更になりますので、予めご了承下さいませ。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 21:52:17










      ~ 羽田飛行場 午後6時20分 ~



    空港内の喧騒も届かない こぎれいな化粧室の中の一室。
    用をたしながらの大学生。その携帯電話の向こうでは、元気のいい通話音声が漏れている。

    「こっち(熊本)はよぉ~ カミナリと雨が凄かとよ~!
     雨男のオマエがくるからとねぇ~(笑)ヒコーキ降りこなかったら帰ると(笑)』

    「カミナリ? マジでほんとかよ? まぁ夜遅く悪いな、降りれたら
     迎えよろしく頼むな」


    空港トイレ天井のスピーカーからは、ときおり、さまざまな案内放送が流れてくる。


       ピンポンピン パ~ン

         ジェイ エー エヌ エー  ジャパン エアネットより ご案内いたします。
         19時10分発 広島行き 2703便は、濃霧と悪天候のため、只今
         天候調査を行っております・・・



    案内放送のバックグランドは、パーシーフェイス オーケストラ ♪夏の日の恋。
    耳になじんだストリングスBGMのしらべが、美しく静かに流れている。

    一方、空港の喧騒に包まれた待合ロビーの一角では、幼い女の子が、親の携帯電話に
    呼びかけて、たのしそうな笑顔を振りまいている。

    「あ、もしもし、おばあちゃん? これからヒコーキ乗るからね、待っててネ♪」


    ロビー2階のインターネットカフェでは、ネット掲示板にかじりつく若者。
    レストラン、ファーストフードコーナー、書店、土産販売など、空港内は
    ちょっとしたスモールタウンである。

    人とモノとが行き交う空港の雑踏。そこには、さまざまな人生が交錯している。


    0

  • 2006/12/06 21:56:54

    <この発言は削除されました>

  • elyming♂ 2006/12/06 21:59:07














      ~ 羽田飛行場 午後6時30分 ~



         空港 見学デッキ ――――― 


    羽田管制塔  「ジャパンエア 3019 アドヴァイス ウェン レディ」

    JAL6207  「トゥキョー グランド リクエスト プッシュバック」

    ANA2253 「タキシーイントゥ ポジション アンド ホールド ランウェイ 16R」


    羽田空港ターミナル屋上の見学デッキでは、航空マニアがエアバンドを聞いている。
    彼は、いろいろと周波数をかえて、興味のあるチャンネルを探しているようだ。


    東京コントロール「アメリカン ゼロシックス、ポジション ワン・ハンドレット マイルス
              ノースイースト オブ チョウシ、 レーダーサービス ターミネッテッド
              スコーク 1823、 コンタクト トーキョー レディオ 
              ワン・ツー・シックス デシマル セブン」

    (アメリカン航空 6便へ、位置は銚子VOR/DMEから北東へ100マイルの地点です。
     識別符号は1823、レーダー監視は終了しました。以後、周波数126.7MHZを使い
     東京レディオに交信して下さい。)


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 22:09:38











      ~ 羽田飛行場 午後6時40分 ~



         空港 見学デッキ ―――――

    新東京国際空港(成田空港)を離陸した国際線が、東京管制エリアの管制官と最後の交信を
    しているのが聞こえる。アメリカ行きのこの便は、やがて、はるか太平洋の彼方へと消えて
    ゆくことだろう。バンドのチャンネルを換えると、今度は、成田の進入管制所のATCが
    聞こえてきた。
     

    成田進入管制所「エアネット3618 クリアードフォー ILS アプローチ ランウェイ 34L」


       「へえ~、その受信機、成田便のエアバンドも拾うんですね」

       「いやぁ~オークションでの掘り出しものですよ(笑)」(と言いつつ、ご満悦)



    遠い地平線が最後の色を残すその頃、千葉県九十九里海岸沖 太平洋上 ヴィーナスポイント付近。
    ホノルル発 新東京国際空港(成田)行き JANA 3618便 ボーイング 747-300が
    成田空港 滑走路34Lへの着陸進入順番を待ちながらのホールディング(旋回待機)中であった。
    順番待ちをする たくさんの航空機。その衝突防止灯が夕刻の暗闇の空をまるでホタルのように
    回っている。JANA3618便は、どうやら、成田へのランディング許可が下りたようだ。

    成田空港周辺では、鹿島灘からの冷たい北東気流が強まっていて
    右からのクロスウィンド――――厄介な横風着陸のようである。

    この便のコクピットクルーは、フェアレ・オッサニー機長、メタル・ジィフォース副操縦士の
    外人コンビであった。彼らにとっては、1週間ぶりの日本であった。

    フェアレ・オッサニーは、JANA飛行研修所で訓練生に教鞭をとる予定が入っており
    彼らが日本での滞在をゆっくりとたのしむのは、また別の機会になりそうである・・・


    0

  • 2006/12/06 22:13:11

    <この発言は削除されました>

  • elyming♂ 2006/12/06 22:14:09

       【 ジェット オン ドリーム 】

         ~ 夢幻飛行 第2部 ~
      
           <第19幕>

    0

  • elyming♂ 2006/12/06 22:21:13











    ~ 羽田飛行場 午後6時50分 ~


      第3旅客ターミナル ―――――


      キンコンキン カーン  

      ジャパン エアネットより ご案内いたします。
      新千歳からの1206便は、只今到着しました。
      出迎えのお客さまは、到着ロビー1番ゲートまでお越し下さいませ。




    北海道からの便、ボーイング777-300の機体は、すでに1番スポットに
    ランプインしていた。コクピットでは、来賀鉄蔵機長、仁屋悟郎副操縦士が
    到着後の点検を行い、インタフォンで地上スタッフと連絡を取り合っている。

    ボーイング777-300の胴体に接続された2本のボーディング ブリッジ。
    その2箇所の出口では、客室乗務員らが機内から降り始めた乗客たちの列を
    にこやかな笑顔で送り出している。

    この機体は、369便 福岡行きとしての準備が行われる予定であった。


    到着ロビーへの出口付近では、ベルトコンベアから流れてくる自分の荷物を
    まだかまだかと待つ乗客たちの列がすでに出来ていた。今頃、地上作業員は
    受託手荷物の運び出しで大忙しであろう。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 22:24:36











         ~ 旧友再開 ~


    羽田空港 第3旅客ターミナルでも、夕方のラッシュ時間帯を迎えていた。
    空港ロビーの雑踏にも、どこか、慌しさがある。到着便の乗客を待つ人たち。
    そして羽田を発つ人たち。しかし、そこには、空港独特の微笑みの世界があった。

    大地 北之(だいち きたゆき)は、JANA1206便で羽田に降り立った。
    なつかしい友人たちとの再会を心待ちにしながら到着ゲートの出口へと向かった。



    友 人  「よぉ~~~! 大チャン、ひさしぶりぃ!」

    大地 北之「やぁみんな~ 元気そうだねぇ~♪」

    ゲートを出ると、二人の友人が笑顔で出迎えてくれた。
    北海道からの上京だ。彼らとは何年ぶりの再開だろう。



    友 人  「千歳便 大体予定通りだったね、しっかし荷物いっぱいだな~(笑)」

    大地 北之「北海道の土産もいっぱい持ってきたんだから、そんな言い草は(笑)」

    友 人  「冗談冗談(笑)・・・でも、まるで海外旅行みたいだし(笑)」

    大地 北之「娘のところで一週間 世話になるんだから、金銀財宝ぜ~んぶ持ってきたの(笑)」

    友 人  「(笑)・・・‘クロネコ’使えばよかったのにさぁ。」

    大地 北之「ま、昔と変わらず、心配性ってこと(笑)」

    友 人  「荷物重いだろ、1ッコずつ持ってくよ」

    大地 北之「お、サンキュ!・・・ あれ? そう言えば、あいつは?・・・」


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 22:32:01











         ~ 旧友再会 ~


    友 人  「あ、クルマで留守番(笑)」

    大地 北之「はるばる北の大地から上京してきたっつうのに(笑)・・・で、クルマは?」

    友 人  「今日はどこも満車でさ、あの立体駐車上の一番上だよ、屋上だよ屋上。」

    友 人  「ハハ、あいつなりに留守番する事情あるみたいよ(笑)」
     
    大地 北之「これから‘湾岸’走るンだろ? 何年ぶりだろなぁ・・・渋滞してなかった?」

    友 人  「横浜からくるときは、けっこう順調だったけどね・・・今の時間、どうだか?」

    携帯の i モードで渋滞情報を見るが、都心環状線に一部‘赤’が表示されているものの
    周辺部は‘黄色’もしくは‘無表示’で、いつもの夕方にしては交通量は少なめのようだ。



       キンコンキン カーン

       スカイ・エアラインズより、お出迎えの お客さまに ご案内いたします。
       北九州からのスカイ・エア 712便は、只今のところ 到着が10分ほど
       遅れる見込みでございます。大変恐縮ではございますが、今しばらく
       お待ち下さいませ。なお、到着ゲートは・・・



       ジャパン エアネット 369便 福岡行きをご利用の
       紀伊田 襟和(きいた えりかず)さま。紀伊田 襟和さま。
       葛野 夢貴(かつや ゆめたか)さまが、お待ちでございます。
       1階 JANA案内所まで お越し下さいませ。
       
      

    羽田空港で北海道からの友人を出迎えた一行は、出発便、到着便などの案内アナウンスと
    人々の雑踏が響く空港ロビーをあとに、弾む話もつきないといった感じで空港立体駐車場
    へと向かった。


    0

  • elyming♂ 2006/12/06 22:33:58











         ~ 旧友再会 ~


    友 人  「この荷物だかんなぁ~ ヤツにこの階までクルマ移動してもらうか? 」

    友 人  「おもての道路っぱたまで?」

    大地 北之「いや、いいよ。この時間じゃ、リムジンやタクシーだらけでしょ?」

    友 人  「それも、そうだな・・・やっぱ、止めとくか。」

    空港駐車場で待つ もう一人の友人に、携帯電話でクルマの迎えを頼もうとして
    連絡を入れようとしていたが、路線バスやタクシーなどに迷惑になるかもしれない。


        ガラガラガラガラ・・・

    大きなスーツケースを引きずる音が、空港の雑踏にまぎれ込む。
    連絡通路から駐車場へのエレベーターに乗り込んだ。ガラス越しに見る外の景色は
    すっかり暗くなって、空港ターミナル周辺の道路照明が明るく輝いている。
    エレベーターの中は、各地から到着した人たちや出迎えの人たちで満員だ。

       グ~~~~ン チ~ン

    途中の階に何度も停止するが、この箱はすでに満員御礼である。
    閉まるドアの向こうに、ちょっとばかり苛立って見える順番待ちの顔々・・・


    0

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