アクディブセンターデフ
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GC8初代STi Type RA
初のDCデフ搭載車。
当時ランエボが、ジムカーナ車にチューニングする際、センターデフのセッティングに苦労していた。シリコンを抜いて、センターデフの利きを落とし、曲がりやすくする。そもそも、ひとつのデフでもセッティングに悩むのに、4WDどいうデフが3つもついているものだとどうしたらいいのか。といった時代に、センターデフの効きをコントロールできるマシンが出た。もともと260psのインプレッサを購入しようかと考えていたところなので、このSTiバージョンが出ると知り、発表後1週間で契約。
ところが実際に走らせてこのデフにも大きな欠点があることに気づく。
通常の機械式デフでは、アクセルオンで駆動トクルがかかるとデフが効き、通常はイニシャル分しか効かない。1wayでは、減速の際はデフの効きが弱く、ターンインしやすく、立ち上がりのトラクションが必要なところでデフが効く。ビスカスでは通常はデフがほとんど効かず、回転差がついてから効く。
ところがこのDCデフは、効きの調整ができるものの、走行状況に応じて変化しない。当時ジムカーナをする際は、センターデフをロックからひとつ戻しぐらいが良いと言われていてそうしていた。
もともとEF-8から乗り換えたので、このGC8は、発進加速がまったく別物の早さ、加速そのものも別次元の速さ。でも車重が重く止まらない。車重の重さ+センターデフの機械的抵抗で曲がらない。
そこで少しでも曲がるようにセンターデフを何とかできないかと考え出した。
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調べてみると、DCデフのロック率のコントロール部は、ただのボリューム。(当事提携していた日産のマークがついていた)
ボリュームには5Vの電圧がかかっていて、DCデフフリー側にすると、出力電圧0V。ロック側にすると、5V。電圧制御なら、何か造れるかもしれない。
理想のデフは、
1.コーナーリング後半は、トラクションと、姿勢安定のためにデフの効きを強く。
2.減速時は曲がりやすいようにデフをフリー側に。
3.直線加速時は、発進時以外は抵抗を減らすためフリーに。
また、実際に自分で作れて、セッティングもできるものでないと具現化できない。
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そこで思いついたのが、アクセル開度連動でロック率が上がるもの。また、ブレーキを踏むとロック率が0になる。すべて理想どおりというわけではないが、かなり理想に近づく。
車両の配線図集は購入済だったので、これを元に、ECUのアクセル信号出力を見つける。アクセル開度に対して、出力がどう変化しているのか調べてみると、
アクセルOFF:3.5V
アクセル全開:1.5V
ということがわかった。
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アクセルOFF→全開 :3.5V→1.5V
センターデフフリー→ロック:0V→5V
これを連動させる回路にする。
さらに、アクセルふみ加減vsロック率の上がり方を調整できる。→ゲイン
アクセル開度どれぐらいからロックが始まるか調整できる。→開始ポイント
最大ロック率を調整できる。→リミッター
ブレーキングでセンターデフフリー=出力0Vとする→ミュート
という回路を考案。
他にも、シフトが2速3速に入っているかをセンスする、NAVIのジャイロ回路から、ヨー角を検地することも考えたが、アナログ回路では複雑すぎ、マイコン制御にしたほうが良くなるが、マイコンの知識のない私では作成できない。また、複雑にするとセッティングが難しくなることから、これらは無しとした。
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上記、ゲイン、スタートポイント、リミッターをボリュームで調整できるようにし、回路を検討。
問題は、アクセル開度が上がると電圧が下がり、デフのロック率上は電圧を上げなければならないこと。反転アンプ回路で実現できるが、20Hzから20kHzを中心に使用している回路で、DCまで制御できるか。
電気に詳しい会社の先輩に相談したところ、DCまで制御できるOPアンプがあるということで、なんとかなりそう。
回路を考え、回路図を作り、希望動作とともに、その先輩に見てもらう。一部修正をしていただき、その回路の作成を始める。
注)回路図の転載はしないようお願いします。
この回路図を基にして、センターデフコントローラーを作成するのは自由ですが、自己責任でお願いします。
この回路図を基にして作成したものがうまく動作しなかった、これが原因で車両のトラブル、事故等があっても一切責任は持ちません。
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部品は、シャーシは、会社のゴミ収集箱から拾ってきたものを加工。基盤、電子部品は、会社の仕事で使用しているもの。
これを会社の定時後こつこつ作り、会社の測定器を使い動作チェック。動作結果から、一部抵抗値を変えて、希望動作範囲に調整する。
さてベンチ上では計画通りの動作になったが、こんな自作のものを車につけて走らせて、本当に期待通りの動作をするのか、それ以前に危険じゃないのか。
期待と不安に胸膨らませて、車両に接続。
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車両に接続。
まずはエンジンをかけずに、キーONだけの状態で、アクセル開度に対するセンダーデフのロック率をインジゲーターで確認する。開始ポイント、ゲイン、リミッターをボリュームで調整し、想定の動作になっているか確認。
動作は想定どおり。ここで、ジムカーナ走行をするときの、現時点での設定を調整する。
そして実走!
やった、ちゃんと動作している。唯一、アクセルOFF時にデフフリーまでいかず、フリーから一段ロック側のところまでしか落ちていなかったが、ブレーキングではフリーになる。まあイニシャルトルクが軽くかかっているほうがいいかもしれないと納得。
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ジムカーナ走行。
ジムカーナ場で走行しながら、セッティングを調節していく。ここでつくづく、アクセル開度と、ブレーキングだけをセンスしていることにして良かったと痛感。走行後、キーONの停止状態でセッティングを調節できる。ヨー角などまで含んでいたら、走行しながらセッティングしなければならなかったかもしれない。
動作は上々。これで走りが速くなったかどうかは・・・・・?
原理的には速くなっているはずだが、速くなったとはっきりは認知できなかった。
monsterで、これを製品化しようという話が一時持ち上がった。しかし製品化しようとしていた担当が、転職したため話はなくなったけど。
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