下野国庁跡(栃木市)
律令制下の役所跡・下野国庁跡
2023年01月24日
下野国庁は、律令制下(奈良・平安時代)における地方統制の中核として設置された役所であり、同時に政治・経済・交易等のいわば下野国の古代文化を集約する唯一の地方拠点でもありました。下野国庁跡は「和名類聚抄」に「国府在都賀郡」とあり、国府に関連すると思われる地名が広範囲にわたって残されています。
昭和51(1976)年11月から発掘調査を開始、4年の歳月を経て、昭和54(1979)年8月、国府の中心部「国庁」(政庁)の遺溝群を栃木市田村町字宮ノ辺において確認されました。
国庁跡(奈良時代後期)は、東西・南北各約95mで周囲は板塀がめぐり、南央武には13.8m×4.2mの南門があり、中心部には22.2m×5.4mの「前殿」、その東と西約33mの位置に45.0m×4.8mの長大な南北棟の「東脇殿」「西脇殿」が造営されていました。
これらの遺溝のあり方から「前殿」の北方には大規模な「正殿」が存在すると思われますが、その地域は宮目神社の社叢となっており未調査であります。
なお、調査をした各遺溝は奈良・平安時代に4回の建て替えが行なわれております。
その後、昭和58(1983)年度までの調査でも、国庁の区画施設(塀、北門など)や国府の中心道路である南大路、国司館(推定)等の遺溝が確認され、木簡(木に墨書した公文書)、漆紙文書、土器、瓦などの遺物が、多量に出土しています。その全域が明らかである国府跡としては、本市の下野国庁跡が、わが国において数少ない貴重なものです。
昭和57(1982)年に国指定史跡に指定されました。平成5(1993)年には、前殿が当時の姿に復元され、その後平成8(1996)年には敷地内に下野国庁跡資料館が開館して出土品が無料公開されています。
Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
R4.12.28
住所: 栃木県栃木市田村町300
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