再び、先代Cクラスのセールスマニュアルを取り上げることにします。
今回は、年代を遡る形となりますが、セダンに遅れての登場となったワゴン追加時のものとなります。2008年(平成20年)3月の発行ですから、今から9年程前となりますね。204に乗っている身からすれば、そんなに経過したのかと、やや感慨深いものがあったりもして(笑)
先代Cクラスは、モデルライフ中における変更点が比較的多いクルマでしたから、先に取り上げたマイナーチェンジ時点のものと比べてみるのも一興に感じるところです。
まだ、それほど経ってはいませんが、一応リンクを貼っておきます。
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後期のセールスマニュアル(前編)
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後期のセールスマニュアル(後編)
それでは、本編をご紹介していきます。
最初の見開きで、セールスポイントやラインナップといった概要が目次と共に記されています。
キーワードは「Premium Personal Stationwagon」だったようです。
この時点で、当初エレガンスとアバンギャルドのみだったセダンにもベーシックグレードが追加されたため、セダンとの差異はC300Sの有無のみとなります。そのC300は、後にワゴンにも追加されています。
この時点では全車右ハンドルのみとされています。
このマニュアル、構成は目次を参照していただくとして、紹介は後期同様に抜粋&順序を入れ替える形で進めていきます。
それでは早速、外観の紹介からです。
マイナーチェンジの時点では、エレガンスはパッケージオプションの扱いとされていましたが、登場時点ではアバンギャルドとの並列扱いとされていました。どちらが上ということはなく、お好きな方をお選びくださいということですね。現行と比べるとやや差異が少ない気もします。
両者の分け方としては、エレガンスが従前からの伝統を守る一方で、アバンギャルドはそれに飽き足らない層の獲得を目指していました。この分け方からすると、エレガンスの方が台数が多くなる気がしますが、結果は全く逆でした。
その後の推移からすると、ここでアバンギャルドに人気が集まったということが、その後のグレード戦略に及ぼした影響は大きかったのだなと思うところです。
アバンギャルドとエレガンス、それらにベーシックも加えた3グレード感の外装の仕立ての違いが紹介されています。
こうして比べると、ベーシックの仕立ては明らかにシンプルという評価となりますね。もっとも、オプションも含めれば、機能面では大して見劣りしないというのは特筆すべき事項なのかもしれません。価格を優先するあまり、機能にまで差を付けてしまうクルマの方が多いですからね。
前頁の続きで、3グレード間のグリルとフロントバンパーの違いが紹介されています。
一口にエレガンスグリルとはいっても、実はエレガンス用とベーシック用は色調が違っていたりするのですね。また、フロントバンパーは、形状自体はクロームの有無ぐらいで共通ながらも、エアインテークが分けられていたりすると。
マイナーチェンジ時点ではエレガンスパッケージとなることで、バイキセノンヘッドライトはオプションとされますが、この時点ではエレガンスにも同ライトは標準装備となります。その一方でアクティブライトはアバンギャルドのみ標準とされています。LEDはまだ未登場というのが、やや時代を感じるところでしょうか。言い換えると、LEDをどう駆使するかが最近のデザインアイコンになっているとも言えます。
乗り比べて判ったのですが、空力を意識した自車のドアミラーよりも、視認性だけならこちらの方が良好だったりします。ウインカー部のデザインが違うこともあって、変更後の方が人気は高いようですが。
リヤコンビネーションランプのウィンカーにはLEDを採用ということで、セリングポイントとして取り上げられています。点灯すると”C”の文字の形となるのがこだわりとのこと。
ボディサイズは、先代(S203)に比べると、一回りの拡大。
拡大分は、ほぼ車内スペースの拡大に充てられていることから、室内空間を拡大するための最小限のボディ拡大と解説されています。この辺りは、S203よりも起こされたリヤウィンドーの角度と合わせて、往年程ではないにせよ、理詰めのパッケージングとしてもいいのではないでしょうか。
加えて1.8mを超えない全幅もポイントとされています。
これ、オーナーとしては、強く共感できる部分です。特に駐車場事情や道路事情に恵まれない都市部においては、このサイズが扱いやすいボディサイズの上限かなと思うところです。これ以上となると、狭所のすれ違いに難を感じたり、一部立体駐車場の制約等、不便が多少なりとも生じてきますね。
ルーフレールは装飾に留まらずキャリアシステムのベース想定ですし、ルーフの耐荷重も100kgですから、この辺りも実用性は犠牲とされていません。
外装の紹介の次ということで、内装が紹介されています。
外装同様に、先ずはアバンギャルドとエレガンスの対比。
両者間で外装以上に特徴が出ている気がします。
日本仕様、特に末期に至ると殆どが黒内装とされてしまいましたが、こうして見ると、開放感のある明るい内装色に惹かれるものがあります。汚れの点が心配であるのも事実ですが。
こちらも外装同様に、3グレード間の内装の仕立ての違いを紹介。
前の見開きと違って、内装色が黒となると、特徴も減ってしまうような。
ここでのベーシックは、シート表皮の差とランプ類の省略が大きいかもしれません。シートの感触とか照明の有無って、豪華さの印象に意外と差が出るんですよね。もっとも、LED化する際には、照明の数が少ないのが助かりましたが(←自己弁護ともいう・笑)
インテリアは多少のデザインの差異こそあるものの、自車で見慣れていることもあって、自然に受け取る箇所多数です。
そんな中にあって、テレスコピックステアリングの調整幅が60mmというのは、大きい気がします。シートの調整量が大きいこともあって、ドライビングポジションが取り易い一因となっています。現行モデルは、シートの調整量がもっと増えていたりしますが。
この時点では4ウェイパワーシートの設定が大半です。末期はメモリ付パワーシートが増えているというのは、お買い得感を感じさせるためでしょうか。
室内のスペース拡大はここでも紹介されています。204の場合、前席の差こそありませんが、ヘッドクリアランスの余裕から、後席の使用頻度が高いのであればワゴンをお勧めするところです。
年々厳しくなる気象環境に対応するためか、クライメートコントロールの出力が向上されています。フィルター性能の向上と合わせて、機能向上を実感するところです。輸入車だと出力不足を感じるクルマもあるようですが、204ではそうした欠点は感じません。末期で追加されたアイドリングストップは夏場にもほぼ遠慮なく作動して送風に切り替わるため、ストイックさを実感できますが、それやや間接的な話(笑)
この時点では、ライバル車よりも先んじる形で、ナビゲーションやバックカメラを標準で備えています。日本車が先行して部分でもあって、ようやく追いついたという見方もできますかね。
それまでは、社外品のインストール屋さんが活躍する分野であったのですが、メーカーやディーラーから離れた作業というデメリットが多少なりとも存在したのは事実ですので、後付けせずに済むという点で歓迎できる装備でありました。
マイナーチェンジ時点で紹介した格納式ナビの詳細が紹介されています。メーカー製らしいかなり凝った格納機能となっています。
ワゴンの目玉となるラゲッジスペース&ラゲッジルームが2頁で紹介されています。
先代はもちろん、ライバル車よりも大きくとられたラゲッジスペースは、リヤシートを立てた場合こそセダンよりも少なくなりますが、シートアレンジ次第でセダン以上のスペースを確保することが容易に可能になっています。
ラッゲジルームカバーやセーフティネット等、そのサイズだけでなく実際に使った場合の使い勝手に貢献する装備にも手抜きはありません。
といったところで、前編はここまでとします。
これまた、後期の時と同様に、強力なライバル車に対峙するため、力を入れて作られたということを感じていただければ、幸いなのです。
後編は残りのメカニズム系と、それをどう売るかという話となります。