日本人ならお正月に必ずお餅を食べるだろう。
大家族だった子供の頃、
年末には出入りのお米屋さんが、
ドサっと、つきたてお餅ちを届けに来たものだった。
まだ柔らかくて、切れない状態のまま、届く。
適度に硬くなった餅を切るのは、親爺と長男の私の役だった。
家の女性達は、手分けしておせち料理を作っている。
古風な家だったので、通常は、男子厨房に入るべからず、
という「しきたり」だったけど、このとき時だけは違った。
タイミングを間違えると、硬くなって、切りづらくなる。
ウチは戦前の家父長制度の家風を引きづっていたので、
子供が父親と一緒に何かをするという場面は極度に少なかった。
だから、こういうときは何か嬉しかったような思い出がある。
あれから何十年経っただろう。
同じ土地に住み、結婚してからも、
同じお米屋さんから、米も餅も買っていた。
しかし、そういう個人商店、
御用聞きに来ていたお魚屋さんも、お米屋さんも、
八百屋さんも、皆、子供達が跡を継ぐことなく、
廃業してしまった。
いよいよスーパーに売っている餅を買うのかと思っていた頃、
商店街の片隅に,
老舗で修業してきた若い人が経営する和菓子屋が出来た。
砂糖、小豆、餅米、それぞれ材料に拘り、
TV番組でも取り上げられ、
たちまち人気店になった。
添加物が一切入っていない大福は、時間と供に、すぐ硬くなる。
出来たては、とろけるように美味い。
だからその場で大福を作ってくれる。
何度も買うウチに顔見知りになり、
世間話などするようになった或年の年末、
お正月のお餅を勧められた。
限定数だけど、常連客のみに、伸し餅を売るというのだ。
少々高いが、不味い筈が無いと思い、
早速注文してみた。
年末、届いたその餅を試食してみると・・・。
桁違いに・・・・・美味い。
和菓子屋が つく 餅、旨すぎる!
以来6年ぐらいになるだろうか。
いまはもう独立して所帯を持った息子も、
毎年この店の餅を予約している。
とっくに死んでしまった父や母達にも、
これを食べさせたかったが、
もう時代が違う。
何処の街にも、その街で自慢の旨いモノの店がある。
代々続く名店もあれば、消えていく店もある。
何処の街でも、
こうやって、世代が変わり、
時が流れていくのだろう。
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日常のくらし | 日記
Posted at
2017/01/10 17:01:06