カメラの画素数のお話

カメラのスペックを語る上で絶対に出てくる画素数。

新しいカメラが発売されるたびに、ジャパネットタ〇タのごとく「なんと奥さん！画素数がすごいですよ。手抜きがありません。なんと画素数が〇〇〇なんです！」と声高に画素数を宣伝しているし、一般的にはカメラスペックの大きな指標となっています。

だけれど、これって実はそんなに重要じゃありません。

というと語弊があるけれど、プロやハイアマチュアを除くほとんどの人にとって 1,000 万画素とか 2,000 万画素とか必要じゃありませんよ。っていうお話。





そもそも画素数とはなんぞや


画素数とは、ピクセルの総数です。
詳細は割愛。 ぐぐれかす





普段利用しているモニターや写真って何画素？


前置きとして、ピクセルでお話。

例えば私は、ネットに上げる写真はだいたい長辺 1,280 ピクセルで上げてます。
4Kなど近年の液晶の解像度は目を見張るものがありますが、一般的な液晶モニターやスマートフォンの解像度は 1,920×1,080 ピクセル（フルHD）です。なので、1280ピクセルは大きくないけどそんなに小さくもない、SNS で見るにはちょうどいいサイズだと思ってます。

さて、上で「画素数とはピクセルの総数」と言いましたが、じゃあフルHDは何画素でしょうか。そのまんま計算してください。

1,920×1,080 ＝ 2,073,600

これが画素数になります。
フルHDは約 200 万画素。

つまり、フルHDをカバーするために必要なカメラの画素数は、200万画素あれば十分ということに。
200万画素のカメラとか一体何年前だよ！って感じですけど、実はたったこれだけ。

最新カメラの画素数は 2,000 万画素を超えてきましたけど、パソコンで見るぶんには 200 万画素もあれば十分ということです。10分の1。ビックリ。

まぁでも、せっかくのいい写真はモニターで眺めるだけじゃなくプリントしたいよね！
プリントするからには出来るだけ大きな画素数が欲しいよね！

じゃあプリントするには何画素くらい必要なんでしょう。


参考に、カメラのキタムラさんのページ。
http://www.kitamura-print.com/digicameprint/shop.html


たぶん、もっとも多くの人が慣れ親しんでいる写真のサイズは、 L 版（標準）と呼ばれるサイズです。
では L 版に必要な画素数はいくらでしょう。

カメラのキタムラさんによれば、1,074×1,524 ピクセルとなっています。
それでは計算。

1,074×1,524 ＝ 1,636,776

これが L 版に必要な画素数です。約160万画素。
モニターで見るよりもっと画素数低くなっちゃいました。衝撃。

いやいやお気に入りの写真は A4 くらいでプリントしたいんだ！
って人もいると思いますが、じゃあ A4 の画素数は

2,516×3,544 ＝ 8,916,704

約 890 万画素。
ウン年前のカメラでも 1,000 万画素ありますね。楽勝です。





で？

カメラのスペックを語る上で画素数は常にアピールされてます。
もちろんそれはスペックとして外せない要素なんですが、1,000 万画素以上は大多数の人にとって「それ以上いらんだろ」って話です。

プロや RAW 現像とかまで突っ込んでるハイアマのみなさんはまた別のお話





でも画素数高いほど画質いいんじゃ…

っていうのは、半分以上不正解です。画素数＝画質ではありません。ぶぶー。

さくっと例え話で説明。詳細割愛。

画素数の高い低いを、絵を描くためのキャンバスの大きさだと思ってください。
大きいキャンバス（画素数が高い）と、小さいキャンバス（画素数が低い）を用意しました。
キャンバスは真っ白です。ではここに、一枚の写真を見ながら写真と同じ絵を描きましょう。

Aさんは達人です。
Bさんは素人です。

Aさんはキャンバスが大きかろうが小さかろうが、さすが達人。素晴らしい絵を描きます。
ではBさんはどうでしょう。キャンバスの大きさ関係なく、さすが素人。へったくそな絵になりました。

この「絵を描く人」が、デジタルカメラでいうところの画像エンジンってやつです。
画像エンジン（絵を描く人）がどれだけ優れているかで、画質は左右されます。もちろん画素数（キャンバスの大きさ）が高ければ高いほどより細かい描写ができるけど、それは「絵を描く人が上手い」という前提で初めて活かされることです。

以上。（ざっくばらん）






じゃあ画像エンジンがよければ画質いいの？

ってわけでもない。画像エンジン＝画質でもないです。
他にもレンズやセンサーサイズや、もちろん画素数や、そういった複合的な要素ひっくるめて画質です。
どんなにいいカメラも、劣悪なレンズくっつけたらそれだけの画質にしかなりませんし、逆も然り。

結局何が言いたかったかっていうと、販促もユーザ（素人）も画素数ばっか気にして、まるで画素数高い＝画質高い、みたいな構図になってるのがどうにもこうにもモヤモヤしてただけです。

まぁ単純な数字だから素人にも伝わりやすいし、それ以外に何を推せばっていう広告側の気持ちも分かるんですけどね。