コットンというのは衣料品や生活道具などで割と身近な素材だが、一旦水を吸うとなかなか乾かず、保温性も落ちるので、昨今進化著しい化繊に押されて、子供の頃に比べるとだいぶ見かける機会が減ってきたような気がする。
しかし中にはロウ引きと言って、溶かしたパラフィンの中に潜らせて繊維の中まで浸透させた、撥水性の高いコットン素材がある。
いわゆる帆布(はんぷ)というやつで、かつては船の帆などに使われ、テントやトラックの幌などに使われている。鞄や靴などで今でもたまに見かけるものだ。
帆布の撥水性はフッ素系の撥水スプレーなどで撥水加工したものより、遥かに効果が長持ちする。
これらは勿論、布地の段階から加工するものだが、後加工でもロウ引きに近いことができる。
しかも、ご家庭でも気軽に。
今回使用したのは「フェールラーベンのグリーンランドワックス」。
わざわざ新品とか書いてあるけど、コレの中古ってどんなもんだろう。
ちなみに写っているものは、もう何回か試しに使ってみて丸くなったもので、この状態で売っているわけではない。
たまたま目に入ったロードスター30周年記念ミーティングのオリジナルキャップ、珍しく頭のサイズに合い、被り心地がいいので、40周年記念にも是非被って行きたい一品だが、こいつがたまたまコットン100%だったので生贄にしてみる。
さっと擦っただけでも上のようになる。
普通のロウソクでやったことがあるが、固いので粉を吹いて塗りづらい。
このグリーンランドワックスの主成分はパラフィン、蜜蝋、アマニ油といったものらしいが、普通のロウより伸びが良く格段に塗りやすい。
全体に満遍なく塗ってみる
一見なんてことしやがる、みたいな見栄えだがご安心を。
蓋を開放したオーブントースターの熱を当ててやるとこの通り
(公式ではドライヤーやヒートガンの使用を勧めているので決してトースターで真似しないこと。危なっかしいので画像も控える)
表面に白く浮いたものが、熱で溶けて布地に染み込んで行くのがわかる。
塗った段階で多少ムラがあっても熱を入れれば目立たない。要はロウが全体に行き渡るよう塗るのが肝要。
この作業でお分かりのとおり、熱に強いコットン100%ならではの手法なので、化繊のものでやると結構悲惨なことになる。
始める前にブツの素材をしっかり確認する必要がある。
混紡も避けたほうがいいかもしれない。
そしてさらに塗る。
力で擦るとダマになりやすいので、力を入れずに手数を増やすのがコツのようだ。
公式によると、塗って熱を入れてを3回以上繰り返すものらしい。
実際に3回やってみたのがこちら。
白い刺繍の部分もくすんでいないし、油の匂いもしない。所々白いままで残るが、これはブラシで慣らす。
表面が少し硬くなり、ノリを効かせたようにハリが出る。
さっそく実験。
昨年10月のロードスター30周年記念ミーティングの前日の足柄サービスエリアがこんな感じの大雨だった。
前部と後部は面白いように水玉になるが、側面と鍔の部分は塗りが甘かったようで、表面に少し水が染みた。それでも内側を触ると全く湿っていない。
これなら雨の日でも頭だけは守れる。
本当ならもう1回塗りたいところだが、この日は満足してしまったのですぐに寝た。
Posted at 2020/04/23 20:58:08 | |
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