2007年3月2日、まさにミニの日に納車されたR53 ミニ・クーパーSチェックメイト。あれからちょうど10年が経ちました。
1台の車に10年も乗り続けたのはこれが初めてです。そこでこの10年を振り返りたいと思います。
1)購入の経緯
中古のローバーミニが真夏の首都高で燃え尽き、その直後、出張で訪れたサンフランシスコの坂道で目の当たりにしたR50クーパーに一目惚れ。帰国してすぐさまディーラーに電話をかけ、試乗もせずに購入したのがエレクトリックブルーのR50ミニONEでした。色も気に入っていたし、発進時にガクガクすると不評のCVTも気にならず、街乗りでは不満のなかったONEですが、いかんせん遅い。追越車線に出て前車を抜き去るなんて芸当は、よほど右後方からの車に注意を払わなければできません。またリアサスにスタビライザーがないのでロールも大きく、標準タイヤの細さも相まり、コーナーを攻めることなど叶わぬ夢でした。
あと半年もすれば車検という2007年2月。前年に第二世代のR56が発表され、さほど大きく変わらないデザインに安堵した一方、ヘッドライトがボディ側に固定され、ボンネットフードを開けるとその穴がぽっかり空くという構造には落胆を憶えました。ディーラーから「正式発売の前に新型が入ってきたので見に来ませんか?」と連絡をいただき、購入を前提に家族3人で見に行ったのですが、当時7歳の娘が、「かわいくない」と一言。私も内装の質感に満足ができず、すでに生産は終了し、在庫のみに限られるR53クーパーSに気持ちは傾いていきました。
モデル末期のため選べる車両は限られていて、いわゆるキャラクターシリーズのセヴン、パークレーン、チェックメイトしか残っていません。ゴージャスな革シートのパークレーンにもおおいに魅かれましたが、よりスポーティなスタイルのチェックメイトに決めました。チェックメイトのイメージカラーはスペースブルーという濃い目のメタリックブルーにシルバーのルーフですが、残念なことに在庫払拭。R53の標準色、ハイパーブルーとホワイトルーフの組み合わせになりました。このハイパーブルー、本当に綺麗なブルーで、内装のスペースブルーやフロントフェンダー後方にあるシルバーのチェック柄とはややちぐはぐなものの、結果的に気に入ってます。
ミッションは家内も運転する関係上、ATに。当初、MTのみで発売がスタートしたクーパーSですが、2005年にアイシンAWの6ATが追加されました。
国内在庫ですから新たにオプションの追加などできず、ただ、最初からチェックメイトではオプションとなるオートエアコンが備えられていました。
こうして、2007年3月2日、我が家に2台目のBMWミニがやってきたのです。
2)走りと乗り心地
破綻前の英ローバーと米クライスラーがブラジルに共同で設立したトライテック社製の4気筒エンジン、別名ペンタゴンエンジンにイートン製スーパーチャージャーを装着し、1.6リッターの排気量から170馬力を絞り出すクーパーS。それまでの車がわずか53馬力と90馬力ですから、気持ち良いなんてものではありません。トルコンATのため出だしはさほど活発な印象はありませんが、スーパーチャージャーの過給が効く中回転から、ミュイ〜ンという音ともに力強く加速していきます。メーカー公称値によれば6ATの0−100km/hは7.7秒とありますが、BMWの公称値は過分に盛られていることが多く、実質8秒台前半というところでしょう。0−400mは16秒ジャストないし前半くらいと想像します。
205/45R17のランフラットタイアを履くためグリップは高く、ステアリングのわずかな動きにも機敏に反応します。ONEと違ってリアにもスタイビライザーが装着され、クーパーのスポーツサスよりもさらに硬めのスポールサスペンションプラスとなっており、謳い文句のゴーカート感覚がたしかに楽しめます。その一方、乗り心地は荒っぽく、やたら重いパワステにも閉口しますが。
とはいえ、東京から金沢までの家族旅行でも、後部座席に乗りっぱなしの娘が嫌がらなかったところを見ると、路面がフラットな高速道路である限り、さほど苦にはならないのかもしれません。
3)モディファイ
モディファイ好きなみんカラのおともだちに囲まれていながら、自分の懐状態もあって、大きなモディファイやチューニングはしませんでした。パーツレビューや整備手帳を見ていただければわかりますが、実質、足まわり程度です。
スパークプラグをイリジウムに、プラグコードをULTRAのブルーポイントに変更。ショックをビルシュタインのエグゼクティヴチューンに替えた程度です。多くのミニ乗りの方はよりハードなセッティングにされていると思いますが、反対に私はジェントルな方向に振りました。これは効果が大きく、ゴーカートフィーリングを損なわない範囲で、ある程度バタつきを抑えることに成功しました。
タイヤはこれまで前を2回、後を1回交換しています。標準装着はダンロップのランフラットで、第一世代のランフラットのため、乗り心地の悪さを助長していました。そのあとで第二世代のランフラット、ピレリのPゼロに交換したところ、ダンロップよりもはるかに当たりが柔らかく、騒音も減ったように思われましたが、やはり普通のラジアルと比べると、硬いですし、音も大きいようです。一度前輪をパンクさせてしまい、ランフラットのおかげで家まで無事に戻れたのはよいのですが、後のタイヤはまだ溝がしっかり残っているので、前2輪のみ同じPゼロのランフラットに交換しました。次に交換の際には、普通のラジアルにするつもりです。
4)トラブル
10年間に走行不能のトラブルを2回経験しました。1回目はブレーキが効かなくなるというトラブルです。じつは私の不注意からバキュームパイプを折ってしまい、ブレーキのブースターが効かなくなったのです。この時はまだ保証期間だったので、ローダーが引き取りに来てくれたうえ、代車の手配もしていただけました。
2回目はスーパーチャージャーのご臨終です。2回目の車検時に、スーパーチャージャーの雑音が気になると指摘されたのですが、すでに保証も切れ、修理にはアッセンブリーの交換しか手段がないため無視していました。それから2年後、突然、ガラガラという音が車の前方から。最初はまさか自分の車とは思わず、前走のトラックの音と勘違いしていましたが、そのトラックがいなくなっても音がするので、ようやく自分の車と気づきました。ディーラーに連絡をとり、今にも部品がバラバラにばりそうなガラガラ音を気にしながら、20キロの道のりを自走。タイミングチェーンのテンショナーが原因かもという言葉に、ホッとしたのもつかの間、しばらく後にいただいた電話で、やはりスーパーチャージャーが原因とわかったのです。
思い返すと2年目の12ヶ月点検時にスーパーチャージャーからのオイル漏れが見つかり修理をしています。その時のオイル漏れが原因なのかもしれません。
アッセンブリーの交換で25万円を覚悟したのですが、問題はこのイートン製スーパーチャージャーがすでに本国にすら部品がないことでした。どうやらこのユニットはもともと問題を抱えているらしく、走り込んだ車両を中心にトラブルが多発。部品が払拭していたのです。
原因はウォーターポンプへとつながるギアのオイルが切れ、このギアの破損によるもの。アメリカではリビルド品も出ており、ヤフオクでそれを入手しようとも考えましたが、業界の大先輩でR53乗りの方が、中古のスーパーチャージャーを持っているショップを紹介してくださり、難を逃れることができました。
その他は、R53にお決まりの軽微な故障です。自動格納ドアミラーのモーターが壊れ、左右合わせてユニットを3回交換。3回目は保証切れ後だったのでOEM製品をDIYで取り付けています。以来、ドアミラーのトラブルは今のところありません。それからサーモスタットハウジングからの冷却水漏れでこれを一度交換。パワステホースをインテーク側、リターン側ともに交換。つい最近、冷却水のリザーバータンクが割れて冷却水が漏れ出し、これを交換しました。さらにこれもまたR53にはお決まりですが、エンジンのアッパーマウントからオイルが漏れ、マウントを交換しています。
それから1回目の車検時、保証が切れる前に、パワステポンプとウォーターポンプが予防措置として交換されていました。
5)燃費
10年間、およそ45000キロを走った平均燃費は7.20km/Lと出ました。1.6リッターの小型車としては悪いですね。走行の多くがストップ&ゴーを繰り返す、家から駅までの送迎だからでしょう。最低は夏場にエアコンをかけながら、短距離を這いずり回った時の5.05km/L、最高は金沢旅行のため高速道路をほぼ制限速度を守って走った時に記録した14.99km/Lです。
総括
今、本当に欲しいと思える車がないことからも、この車への愛着を自分自身感じています。さすがに10年の歳月を経て、やれてしまった部分は多々ありますが、それでも問題のある部分をそのたびに潰していったので、今はすこぶる健康体。今後問題が出るとすればクランクプーリーのバイブレーションダンパー、ベルトテンショナー、ロワアームブッシュといったところでしゅか。少なくともF56がマイナーチェンジをするまではこの車両を乗り続けるに違いありません。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2017/03/03 08:26:54