2016年10月09日
124スパイダーを見て彼是思う。
124スパイダーを見て彼是思う。それはNC型ロードスターのデザインについて。124スパイダーのデザインはND型ロードスターの上にかつての124スパイダーのモチーフを表現したこと。斬新な新しいデザインを切り開いていく上で全く邪道な旧いデザインモチーフを復刻するこの手法はここ30年ほど前からちょくちょくみられるようになった。見方によればエランにみえるNA型ロードスターもそうだしボクスターもそう。ビートルもそうだし、チンクもそう。ミニも。新しい骨格に旧いデザインモチーフを再現するので新しい骨格型旧いデザインモチーフとプロポーションが同じであることがこのデザイン手法の成功のカギを握っているわけなんだけれども、124スパイダーの場合は旧いデザインモチーフを復刻再現する目的に対しては上手くいっていないと思う。60から70年代のオリジン124スパイダーはフィアットのなんでもない普通のクルマがベース。今の新しい124スパイダーは無駄を削ぎに削ぎ落としたND型がベースなのでどうしても表現に齟齬が生じてしまう。根本的な元ネタの124スパイダーは走り第一の骨格ではないおおらかさが持ち味なのだが今のND型はユルいおおらかさを断じて許さない生真面目さが命であるのでマッチングがズレてしまうのだ。124スパイダーの旧いデザインモチーフに拘らず今の時代のFRアバルトを新しく構築するという意図でND型をベースにしたほうが走りもデザインも衝撃的な我々日本人では到底思いつかないクルマが出来たと思う。イタリアのデザイン、とりわけスポーツカーのデザインはいつの時代も衝撃的だったことを踏まえるとこのクルマの企画構想そのものがイタリアンファンに応えていないのではないだろうか。とエラそうに考えていたらふいにNC型ロードスターのデザインを思い出した。このクルマのデザイン事情も124スパイダーと似通っていて贅沢なRX-8シャーシにコンパクトなロードスターデザインを再現するというもの。124スパイダーほど旧いNA型ロードスターのモチーフに固執しているわけではないものの大きい贅沢な骨格を小さく見せようとした時点でデザイナーの負けは決まっていたのだ。何も考えずにNC型ロードスターを触って洗車しているとすごく小さいしポチャにも見えないけれどNA等他の型番のロードスターと比較するとそれはやっぱりそう見えてしまう。少しでもそう見えないようにロードスターをロードスターらしく見せるためにデザイナーは限られた条件の中で良い仕事をしたことが124スパイダーを見ていて初めてわかった気がする。NC型のデザインがクルマ全体を卵のように包んでホイールアーチを外に出したものになったのはその表現がデザイン開発当時はベストだったためだろう。デザインは難しいなぁ。
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Posted at
2016/10/09 16:37:05
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