最近80に接する機会が多かったので80についての見解をお話しておきましょう。
80は間違いなく名車といわれ続けるでしょう。
60から80へのモデルチェンジは「深化」でした。
80から100へのモデルチェンジは「変革」という位置づけでしょうか。
80発売当時はライバルであるサファリが先にモデルチェンジしており、コイルリジットの優位性は明白。
60のリーフリジットからコイルへの変更は相当の期待感がありました。
時代背景も良くバブル絶頂期。
ランクルの伝統でもある走行性能に加えて、所有するステイタス性も一気に加速したのは80からです。
初めて目にしたときは「なんだこの牛みたいなスタイルは???」とも思いましたが、見慣れてくると違和感なく受け入れられる。
発売当初は80のシャシに60のボディーをつけて売ってくれればなんて話しをよく耳にしました。
60の走行性能よりも遥かに進歩した基本性能、今の時代でも十分通用するインテリアデザイン+装備。
今後間違いなく語り継がれる「名車」である事は間違いないでしょう。
と言う事で80を買う際の売る側からのアドバイス。
エンジン特性
まず地域にもよるのでガソリン、ディーゼルのよしあしは簡単にしておきましょう。
ディーゼル買うなら1HD搭載のディーゼルターボ。
ガソリンなら4500ccの1FZ。
軽いボディーなら1HZ搭載のNAディーゼルもかなり良いです。
ディーゼルターボならオートマの方がマッチングはいいです。
ディーゼルターボのエンジン特性を考えるとオートマの方が圧倒的に使いやすい。
マニュアルだとクラッチをつないでからターボが回るまでの「かったるさ」がどうしてもあります。
回転をあげてつなげばいいことなんですけど、そんな走り方は日常あまりやりませんし、クラッチにも負担がかかる。
オートマならアクセルを踏み込めばすぐにターボが回る回転域に到達し、ターボの恩恵を受けながらトルクに乗せて走らせることができます。
逆にマニュアルなら1HZ搭載のNAディーゼルの方がお薦めです。
エンジン特性が下から上まで癖の無いフラットなエンジンなんでクラッチをつないだ瞬間からドライバーの意のままにアクセルコントロールが効きます。
絶対的パワーはありませんが、ディーゼルなら操る楽しさはむしろ1HZの方が面白いでしょう。
残念ながらNAディーゼルの1HZ+オートマはパンチ不足が否めません。
悪いエンジンではないので、絶対的にダメと言う烙印は押せませんが、「パンチ」が無い。
ニュアンスとしては可も無く不可も無くといった感じでしょうか。
パワーでぶんまわして楽しむディーゼルターボ、スロットルワークで操る楽しみを味わうならNAディーゼルと言う選択が良いでしょう。
ガソリンエンジは3Fと1FZの2種類ありますが、間違いなく1FZです。
3F搭載車も最近めっきり見なくなりました。
ディーゼルエンジンは小変更がありましたが、発売当初から基本的な変更はありません、ガソリンは3Fから1FZに変更されてます。
と言う事はメーカーも1FZのほうが、、、、、、、、、、と言う事になります。
ガソリン車に関してはオートマ、マニュアル好みで選択してください。
操るならマニュアル、イージードライブならオートまです。
自分好みでどちらを選択しても満足できるパフォーマンスが1FZなら得られるでしょう。
グレード構成
グレードですが、一番多いのはVX-LTD。
バブリーな時代でしたから、、、、、
VX-LTDは内装も装備も充実してます。
必要最低限以上のものがありますから、不満が出る事はまず無いでしょう。
特に冷蔵庫はかなり重宝します。
家族で乗る機会が多い方はかなりお勧めな装備です。
隣に座る奥さんや彼女、後に座るであろうちびちゃん達に冷たい飲み物をすっと出してあげると、そんな些細な行動でも80を気に入ってくれます。
寒冷地仕様のクルマはシートヒーターがついてますから、冷え性な女性には嬉しい装備です。
周りの人の事を考えるとVX-LTDはかなりお勧めなグレードです。
VXはむしろ中途半端なグレードになってしまいました。
新車時であれば当然VX-LTDの価格差もありますから、選択の余地もありますが、現在は中古車しかありませんからどうしても選びたい個体がVXなら話は別ですが、VXよりはVX-LTDの方がタマ数もありますし選択の幅は広がるはずです。
スパルタン派にはナローボディーのGX、STDが人気があります。
無駄な装備が少なく何より「軽い」STDはかなり魅力です。
一時期STDに乗ってましたが、本当に良く走ります。
大柄なボディーからは想像つかないくらいの軽さを感じる事が出来ます。
内装も全てビニールなので心置きなく水洗いが出来ます。
車の中を水洗いするのって結構快感ですよ。
GXになるとそこそこ装備が良くなるので、日常的利便性を最低限満たしてくれる装備になります。
フロアもビニールではなくカーペットですから、最低でもと言う方にはGXになるでしょう。
たまに目にするのはVX-LTDベースのナローボディー。
これは前のオーナーの好みでオーバーフェンダーを取り払い、フェンダーの穴を板金で埋めて処理したクルマです。
これはこれで考え方としてはありです。
GXグレードが人気があり個体価格が高い。
そこで比較的値段がこなれたVXやVX-LTDでナローにしてしまおうと言う考え。
装備もしっかりしてますから、どうしてもナローと言う方には良いんではないでしょうか。
グレード、エンジンは買う方の環境やライフスタイルに合わせた選択が可能です。
ほかのランクルと違いバリエーションが豊富なのも80の魅力です。
共通した個体選びの注意点
まずシャシです。
ランクルはシャシが命。
特に80はスキーやスノーボード全盛の頃の車ですから、シャシの腐り具合は良く確認しましょう。
いくらボディーの状態が良くてもシャシが腐ってたら後々の出費もかさみます。
ハブのがたつきもタイヤをゆすって確認しましょう。
ゆすってがたつきがある車はハブ周りのオーバーホールが必要になります。
シャシは本当にじっくり確認してください。
ガソリン車は特に排気系周りをよ~~~く確認してください。
触媒の周りは交換となると相当な出費になります。
センサーの廻り、フランジ、など腐りやすい部分は要チェック。
もう一つガソリン車。
エンジンとミッションのつなぎ目のオイル漏れ。
10万キロ以上のクルマは必ずと言っていいくらいオイルの漏れがあるはずです。
エンジンのクランクシャフトのオイルシールがダメになってる為でこれは異常ではなく消耗品なのでオイルが漏れてるクルマは交換時期だと思ってください。
その他のオイル関連も漏れなどをチェックすることもお忘れなく。
次にボディー。
サンルーフ付きの車輌は雨漏りするクルマがたまにありますから気をつけましょう。
前席フロアマットをめくってフロアカーペットが湿ってないかどうか確認しましょう。
よくサイドシルに水が溜まる車がありますが、こちらは問題ありません。
そういうものです。
水抜きの穴がありますからそこから水を抜いてやればいいだけです。
厳密に言えば設計上の問題なんでしょうけど、そんな些細な事を気にしてたら多分この時代までのランクルは乗れません。
おおらかな気持ちをもって乗りましょう。
内装は汚れ具合や喫煙、禁煙など自分流のチェックポイントを設定して吟味してください。
それなりに走行距離が出てますから、シートのヘタリ具合などもそこそこあります。
フロントシートなどはレカロなどのスポーツシートに交換するのも一つの手段ですが、セカンドシートは交換が難しいのでチェックポイントとしてはむしろセカンドシート。
汚れやヘタリ具合はセカンドシートを確認しましょう。
オプション装備のチェックポイント
一番気にしなくてはいけないのが、アクスルデフロック。
僕が扱うなら絶対にアクスルデフロック付です。
よくセンターデフロックと間違える方がいますが、基本的にフルタイムですからセンターデフロックはついてます。
センターデフロックの機能説明をすると長くなるので割愛。
アクスルデフロックはあって邪魔になる装備ではありませんし、使わなければそれに越した事はありませんが欲しい場面でついてないと思わぬ痛手を喰います。
無理して勢いで切り抜けようとするとあらぬ所を壊してしまいます。
アクスルデフロックがついてれば驚異的な走行性能を手に入れることが出来、使う使わないはともかく付いてたほうが恩恵は大きいです。リセールバリューも含めて。
所有するための覚悟
かなりリスクの少ないランクルです。
車暦もそこそこ経過してますから、壊れる所は壊れますが、まだまだ部品も出ます。
壊れてもすぐ治せる安心感はあります。
アフターパーツも充実してますから後々自分色にも染めやすいクルマです。
既に改造されてる個体が多いのも80の特徴ですが、改造した時期がかなり前の改造ですから、それなりにリファインするとさらにいいでしょう。
出来上がってるからそれでよしではなく、もう一度リファインする事をお薦めしておきます。
コンプリート化された個体はほとんど新品パーツで構成されてますからその辺は問題ないでしょう。
ガソリン車は燃費がネックになるでしょう。
地域によっても差がありますが4km~~6kmくらいでしょう。
都市部ではまず4km~5km程度。
それ以上の個体もありますし、「燃費意外といいよなんて」話は聞きますがドライバーが上手に乗ってるのでしょう。
普通に走ったら燃費はかなり悪です。リッター30kmとか40kmとか言ってる時代ですから極悪な部類の車です。
ディーゼルは7km~8kmくらいでしょうか、こちらのほうが現実的ではありますが、そのままでは乗れないエリアもありますからご注意下さい。
ランクル80と言うクルマは特に大げさな覚悟が必要なクルマではありません。
だれが乗ってもオフロードでは驚異的な走破力があり、どんな地形でもおおよそあしまわりが吸収してしまいドライバに与える不安感は最低限。
オンロードでもシャシ性能が優れている為、常識的なレベルでのスタビリティーはランクルの中ではかなりのレベル。
リジットアクスルがもたらす安心感と信頼性。
ランクル100と比べるとさすがに見劣りしますが、必要にして十分なクオリティーのインテリア。
実に優等生なランクル。
値段がこなれて手を出しやすく、タマ数もまだまだたくさんあるので価格もしばらく安定した水準を保つ事でしょう。
中古車しか存在しませんから、程度の良い個体もこれからどんどん少なくなっていく。
程度が良く、距離もそんなに伸びてない優良な個体でも年式相応の価格ですから相当買いやすいのが現在の80です。
価格は今後も社会状況などを考慮するとそんなに変化は無いでしょう。
価格も優等生と言う事です。
ある意味つまらないくらいの優等生。
癖を求める人には不向きですが、全てにおいて「名車」としての資質を十分兼ね備えてます。
実にいいランクルです。
ランクル系オリジナルパーツはこちらへどうぞ
ランクル60シリーズはこちらへ
ランクル70シリーズはこちらへ
ランクル100シリーズはこちらへ