まずは現場を把握してほしい。
2階建て集合住宅の2階で、通路を挟んで2軒ずつ、1フロアに4軒入居している。
そして通路は道路から向かって手前も奥も階段があり、どちらからも1階と行き来できる構造である。
ア:我が家
イ:向かいの家
ウ:つい最近(5月末)まで空き家だった
エ:お隣さん
とある理由があって、2月から我が家では玄関の中から通路へ向けて防犯カメラを設置していた。
ドアの上がガラス張りなので、そこから通路へ向けて使わなくなっていたiPhone6を設置。
アカウントと紐づけることで、スマホはもちろんPCでも画像を確認したりカメラで撮ったりできるものだ。
リアルタイムで映像の確認もでき、しかも動体検知で自動で録画が開始されクラウドに保存。設定次第では即時通知が行われる大変優秀なものである。
以下、時系列で記していく。
2023年3月5日(日)
12:51
イの部屋のドアの新聞受けから家の中を覗き見た後、アの我が家にも同様の行為を行う黒い手袋をした白髪の男が撮影される
この日の夜、最寄りの警察署へ不審者の存在を相談。録画の映像を刑事に見せる。
現状、明確な犯罪行為が確認できないので様子を見るように指示される。
後日これを受けて、ドアから直接家の中が見えないように対策を施した。
両面テープで貼るだけの袋状の新聞受け
北大路欣也さんの力を拝借する
悪意を持つ者が外から覗くと驚くのではないかと思った
5月14日(日)
12:10
黒い手袋の白髪の男が1階から現れ、道路側から奥へ向かう姿を確認
12:11
奥から進んで我が家の前に立ち、道路側の窓から外の様子を伺ったあと、再度通路の奥へ
12:11
カメラの範囲外から再度我が家の前を通り1階へと降りていく
12:12
再び2階へ上がり我が家の前を通り奥へ向かう
その手には何か(後日確認小瓶?スマホ?)を持っているように見える
12:13
我が家の前を通り1階へ
手に持っていた物は映像では確認できず
この時、私たちは在宅だったため、アプリの通知で男が現れたことを認識。
男が乗ってきた車とそのナンバーを確認。スマホでの撮影に成功する。
5月17日(日)
12:35
黒い手袋をした例の男がウとエの部屋側である奥からカメラの視野に現れる
イの新聞受けから覗く様子とアの我が家の新聞受けを覗く様子が撮影される
欣也さんの鋭い眼光が射抜いたはずだが、動揺する様子は見られない
その後道路側の階段から1階へ
5月28日(日)
12:23
黒い手袋をした男は奥からカメラの視野に現れ、アの我が家のドアの様子をチラ見し、そのあと外の様子を確認し、再度奥へと消える
5月30日(火)
12:07
黒い手袋をした男は奥から現れ、アの我が家のドアの様子を確認後、外を確認。イのドアの様子を確認した後、振り向いて奥へと消える
5月31日(水)
再度、最寄りの警察署へ赴き、今までの映像を提出。
強行犯係の刑事に、この案件を事件化すると言われる
今後は男が現れたら110番通報で問題ないとのこと
6月4日(日)
12:08
黒い手袋の例の男が道路側階段から現れ、周囲の様子を気にしながら奥へと消えていく
この時室内から、この男が車に乗り込む様子を動画で撮影に成功
110番ではなく、警察署へ電話し例の男が現れたことを報告(すでに30分以上経っていた)するが、110番で対処するように言われる
6月5日(月)
12:36
黒い手袋男が道路側階段から現れ、通路奥へと消える
6月6日(火)
12:18
同様に手前から現れ通路奥へと消える
6月8日(木)
夕方、イの家を刑事が訪ねる様子が録画される(我が家が防犯のためにカメラを設置していることがイの家に知られる)
その後刑事から連絡があり警察署へと供述調書にサインをしに行く
不審者が3日連続で現れた旨とその映像を追加で提出
そして
6月11日(日)
11時半過ぎに、Amazonの置き配と見せかけたダンボールを通路に設置。
穴を開けて、アルフレッドカメラをインストールした古いandroidスマホが通路の奥を監視するようにセッティング。
奥様は室内から道路を監視。
男が現れたら即、110番通報をするように準備させた。
私は外へ行き、少し離れた所にある駐車場の車内でスマホチェック。
通知が来たらダッシュで現場へ向かう手順。
12:21
アルフレッドカメラの通知が飛んできた。
映像を確認すると、階段を昇ってくる例の男の白髪を確認。
ダッシュで駐車場から共用玄関へ向かう。
見上げると男はまだアの我が家の前で左右をキョロキョロしていたので、共用玄関の外の死角へと隠れた。
そして男が外へ出ようと現れた瞬間に声をかけた。
以下記憶が曖昧な部分もあるので、大まかな流れとして察してほしい。
あげいも(以下 あ):ここへ何をしに来てるんですか?住民じゃないのに頻繁に来ていますよね?
不審者(以下 男):知り合いに会いに来ています
あ:知り合いって何さん?どこの部屋?
男:あの…困ったな…ゴニョゴニョ
あ:正当な理由があれば答えられますよね?例えば探偵なら名刺を出せるでしょう?新聞受けから覗いたりしてますよね?全部知ってるんですよ。証拠もあるんですよ
男:私は覗いたりしてません。絶対にしてません
あ:いや、証拠があるんですって。警察へも相談してるんですよ。どこの家に用事があるんですか?
男:(2階を指して)奥です
あ:どこ?右(エの家:先日男の画像をプリントアウトして持って訪ね知り合いではないと確認済み)?
左(5月末まで空き家)?
男:左の家です
あ:は?最近まで空き家ですよ?おかしくないです?
男:いや、昔知り合いが住んでいたので…ゴニョゴニョ
あ:いやいや、昔住んでたって、それで訪ねてくるのはおかしくない?何さんに用事があるの?
男:あの…向こうは私のことを知らないです。一方的に私が…
あ:それじゃ正当な理由になりませんよ
この辺りで通報を終えた妻が降りてきて、私の代わりに厳しく問い詰め始めた。
あ:もうこの件で何回も警察へ行ってるんですよ。これ以上手を煩わせないでくださいよ。証拠もあるんです。全部警察へ出してるんです。
男:あの…恥ずかしい話ですが、覗きに来てました
あ:それちゃんと警察に言えます?もう通報してあるんで。もうすぐ警察が来ますから
男:はい…
数分後、地域課のパトカーが到着。
「覗き目的だと認めました!」と報告。引き渡し。
遅れて強行犯係の刑事たちも到着。
事情を説明しながら通路に設置したカメラの映像を確認すると、ウのドアから中を覗き込む瞬間がバッチリ録画されていた。
刑事が男を現行犯逮捕。
妻によると、男はこの建物が入りやすかったからだと言っていたそうだ。
私は近所の人の視線を浴びながら、現場検証のために指差しポーズで撮影されまくり。
ウのドアの鑑識が行われ、私が立会人ということで指紋採取の確認の説明をされる。
男はいつも黒い軍手だったので、ドアについていた痕跡はゴムのブツブツの痕であった。
今回、私がいわゆる私人逮捕して警察へ引き渡したことになるので、警察署へ行き事情聴取されることに。
通された部屋は、容疑者が取り調べされるような、中からは開けられないドアとマジックミラーの小窓があるドラマに出てくるような取調室に若い刑事と二人きり。
通報者である妻は別室で取り調べ。後で聞いたら15時半くらいに解放されたそう。
私が部屋を出たのは17時すぎ。
そのうえ、調書を書き直して持っていくので家に居てほしいと言われる。
あの~お腹ペコペコだし、ご褒美に美味しいものでも食べに行きたかったんですけど~。
20時すぎに連絡があり、その後調書にサイン。追加でアプリの写真を撮っていったが、録画された時刻の記述の関係で書き直しかもしれないと帰っていった。
22時すぎに再度連絡があり、やはり書き直しが必要だったとのことで再びサイン。
少し気になったので、この件の結果の連絡があるのか尋ねたら、たぶん連絡は無いとのこと。
「関わらない方がいいですよ」と言うので察して納得した。
以上が、不審者を逮捕した話の簡単な流れである。
数日経った今思うことは、私人逮捕しても証拠の紙切れ一つ残らないし、多大な時間と労力だけ費やして、決して割に合うものではない物だということ。
もちろん心の平穏は訪れたが…。
実はその後、防犯カメラは知りたくもないことを知ってしまうので、不審者の逮捕をもって撤去した。
そもそもカメラを設置するきっかけは、イの家の児童虐待を疑ったからであるのだが…それは別の話。
なお、警察に相談した時点で、不審者に声をかけることは反対されていた。
もしケガを負っても警察で責任が持てないし、万が一身体が傷付くことで私が嫌な思いをすることになるかもしれないから、と。
取り調べ時にも言ったのだが、それでも私が行動することを決めたのは、男が必ずしも悪意があって不法侵入しているとは限らないと思ったからであった。
男の意図が分からなかった(空き巣の下見や置き配狙いかと思っていた)から、直接尋ねるししかない!と思ったのだ。
軽薄な判断だったかもしれないが、初老の男に負ける気はしなかったし、例え刃物を出されても、根拠はないが対処できると思っていたからだ。
しかしながら、一般的には危険を伴う行為であるには違いないので、良い子は真似をしないでもらいたい。