M440i xDrive グランクーペ購入の記念に詳細なレビューを書いてみました。
長文になったため、前編と後編に分けました。前編はおもに外観や内装について、後編はおもに走りについて書いています。
[はじめに]
BMW M440ixDrive グランクーペのファーストレビューです。
私にとって、生涯初のBMWとなります。
FRのスポーツセダン好きですが、国産のFR車がどんどん販売終了になり、一生買うことはないだろうと思っていた高嶺の花のBMWにとうとうたどり着きました。
これまで国産車ばかり乗ってきたので、たまにウィンカー操作など間違ってしまうことがありますが、車と自分自身を慣らしながら、しばらくはゆったりまったり走っています。
慣らし運転というと、国産車ではあまり聞かなくなった言葉ですが、BMWでは最初の2,000kmまで必要とされています。まだ慣らし中なので、4500回転以下までしかエンジンを回していませんが、最初のレビューを書いてみます。
なお、前車がFRの220クラウン G-executive(V型6気筒 3.5Lハイブリッド、システム出力359PS)だったので、220クラウンを基準に比較しています。
[Mモデルとは]
BMW初心者の自分へのおさらいを兼ねて少しMモデルについて整理しておきます。
M440iは、頭に「M」が付くようにMモデルになります。Mというのは、レース関連の研究開発を担当しているBMW M社に由来しています。
通常のスタンダードモデルの上に3種類のMグレードが存在します。
1.Mスポーツモデル
2.Mパフォーマンスモデル
3.Mハイパフォーマンスモデル
順にチューニングの度合が上がっていきます。1のMスポーツは標準車にライトチューニングを施したモデル、2のMパフォーマンスはサーキットで培われた技術を取り入れたモデル、3のMハイパフォーマンスはサーキットでの限界走行にも耐えうる高度なチューニングが施されたモデルとなります。
M3、M4などの高性能なスポーツカーがMハイパフォーマンスモデルに該当します。
BMW社は、公式にはMハイパフォーマンスとMパフォーマンスの2つをMモデルと呼び、MスポーツはMモデルとは呼ばないようです。
M440iは、Mモデルの下位(もしくはMグレードの中間)のMパフォーマンスモデルという位置づけになります。
2022年はBMW M社の創立50周年の記念の年で、今年生産されたMグレード(Mスポーツ含む)には特別なエンブレムが付けられています。私の車にもフロントとリヤとホイールキャップx4の合計6か所に記念エンブレムが付けられていました。
[スペック]
M440iグランクーペのサイズや重量は、全長 4,785mm、全幅 1,850mm、全高 1,450mm、ホイールベース 2,855mm、車両重量 1,840kg、前後重量バランスは 51.6:48.4 となっています。
ボディサイズはDセグメントで、国産車だとIS350、IS500、スカイラインGT type SP、400Rあたりとかなり近いサイズになります。
私見ですが、一般道でスポーティに走るには C~Dセグメントあたりがちょうど良いサイズだと思います。
エンジンは、直列6気筒のツインパワーターボで、387PS/5500-6500rpm、500Nm/1900-5000rpmを発揮する強力なパワーユニットが搭載されています。
ツインパワーターボという紛らわしい名前が付いていますが、シングルターボで、二つの渦流(ツインスクロール)を発生させる仕組みを備えたターボチャージャーなので、ツインパワーターボとネーミングされたようです。
欧州仕様では、0-100kmが4.7秒、最高速度は250km/hで速度リミッターが効くようになっているそうです。
日本の公道では最高速の半分も出せない、十分すぎるスペックの車です。
[外観・外装]
New4シリーズは登場時に大型キドニーグリルで話題になりました。
知り合いにNew4シリーズと言ってもあまり通じませんが、大型キドニーグリルがついたBMWのセダンだというと、「ああ、あの車か」と思い出される方が多いです。
大型キドニーグリルの発表時、私も大きな違和感を感じた一人ですが、不思議なことに今では美しいと感じています。
220クラウンのグリルの場合は、最初の印象はイカツくてあまり好みではなかったですが、ブスは三日で慣れるという言葉の通り、しばらく経ったらあまり気にならなくなっていました。
それに対して、大型キドニーグリルは、最初にニュース写真で見たときに不細工だと思ったのは同じですが、その後の変化が異なります。Youtubeで動画を見ているうちにちょっとイイかもと感じるようになり、実物を見たときには写真や映像よりもよりもずっと美しいと思うようになり、現在はほれぼれとキドニーグリルを見ているような状態です。私自身の受け止め方に大きな変化が生じたのは驚きでした。
購入後に知ったのですが、BMWのNew4シリーズは、2021-2022のデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーの受賞と2022のRJCインポート・カーオブザイヤーを受賞していました。
前回のブログにも書きましたが、世間の評価の変化を予測していたBMWのデザイナーには賞賛の言葉しかありません。
M440i グランクーペの外観で特徴的なのは、ファストバックの流麗なデザインです。
サッシレスの4ドア、フラップタイプのドアハンドルもこのボディによく合っています。
ドアを開けたときにサッシレスのウィンドウはとてもエレガントに見えます。
Bピラーとそれを挟む前後ドアの窓ガラスが段差のないツライチの平面になっているのも、この部分の開発者のデザインへのこだわりを感じます。
また、ボンネット上のキャラクターラインもエッジが立っており、目を引く部分だと思います。
国産車ではキャラクターラインはあまりエッジを立たせず、緩やかな凹凸のラインを付けることが多いようですが、M440iはラインをくっきりと際立たせています。
ハッチバックの5ドアというと、いろんな車が存在しますが、4ドアクーペのファストバックボディに大型のハッチバックを備えた車は意外に少ないと思います。
美しさと実用性、走りを満足するために、電動の開閉機能やシャシーの補強など、大きなコストをかけているようです。この大型ハッチバックを具現化するために、開発者はたいへん苦労したのだろうと思います。
[内装、ラグジュアリー性]
ドライバーシートは標準シートでもランバーサポートの電動調節機能がおごられており、スポーツ走行時のホールド性を上げられるなど、走りを重視した仕様となっています。
後席はDセグメントのFRでは標準的な広さで、快適性は普通といったところです。
後席の埋め込み式アームレスト部は、220クラウンG-exeと比較すると、エアコン等の集中スイッチがなく、ドリンクホルダーも少し貧相です。
前席のラグジュアリー感はM440iの方が、後席のラグジュアリー感は220クラウンG-exeの方が良かったと思います。
内装については上質な素材や手の込んだ加工がされており、かなりコストがかけられていると思います。私が質感が高いと感じたパーツや機能は以下の通りです。
ラグジュアリークラスにまでは届きませんが、ミドルクラス~アッパーミドルクラス程度のラグジュアリー性を備えていると思います。トヨタ車のように徹底的なコストダウンはされておらず、人の感性を重んじた贅沢な部品を多用しているところは私の個人的な嗜好と合致しており、好ましく感じました。
・ステアリングにナッパレザーが使われている。
・インナードアグリップあたりの凝った造形。
・ダッシュボードやドア、シートにきちんとステッチが入っている。
・ライブコックピット(ナビ+メーターパネル)のグラフィックが凝っている。
・スイッチ類にLEDが内蔵されており、ON/OFFが一目で判別できる。
・ボンネットのキャッチャーが左右に2つある。(シャシー剛性が上がるそうです)
・ボンネット内の各パーツが美しい。見せることを意識して作られている。
・パドルシフトレバー、ドアレバー、スイッチ、パネル等にメッキ部品が多用されている。
・インストルメントパネルとドアパネルにセンサテック素材(合成皮革)が使われている。
・ドアやハッチバックの開閉音に重厚感がある。
・車外からはキーを持っていないと開かない給油口カバーのロック機構。
・車外ドアハンドルの≡マークのタッチによるロック機能。(クラウンにもあった)
・スマホアプリのMy BMWを使い、リモートで車の周囲を視認できる機能。
反対に内装で私が気になった質感が低く感じたパーツや機能は、次のところです。
これらについては、サードパーティのドレスアップパーツを付けるなどして、(アームレスト以外は)自力で改良しました。
・ドアストライカーが亜鉛メッキのままでカバーも付いていない。
・ドアロックピンがプラスチック。
・フットレストがプラスチック(アクセルとブレーキペダルはステンレス+ゴムで高級感あり)
・後席中央の収納式アームレストが安っぽい。
(ドライバーズカーなので仕方ないか・・)
[装備]
装備に関してはミドルクラスの国産車に装備されている機能は、一部(後述)を除いて、おおよそ装備されています。
以下は国産車ではあまり見かけない、欧州車ならではのユニークな装備です。
・500m先まで照らすことができるレーザーライト(車の少ない道でしか使えないですけど)
・ドライバーシートのランバーサポートの電動調節機能。
・ランフラットタイヤの標準装備。
・6色、11パターンに設定できるアンビエントライト。
・電動リアゲート
・ルームミラーと一体型になったETC車載機
・ハブボルト締結(ISやクラウンクロスオーバーでも採用になりました)
・Mスポーツブレーキ(対向4ピストンのキャリパーと大型ローター)
反対になぜないのという装備が以下のものです。
上の3つはミドルクラス以上の国産車なら付いてて当たり前の装備です。
ドアのイージークローザーは、半ドア防止用の便利な機能なので、サードパーティ製品でも後付けできるなら付けたいです。
・ステアリングの電動チルト&テレスコピック機能
・ステアリングヒーター(欧州仕様ではオプション設定があるらしい)
・AndroidAutoの対応(AppleのCarPlayは対応しているのになぜ?)
・乗降時のドライバーシートの自動後退機能
・ドアのイージークローザー
[静粛性]
車内の静粛性はかなり良いと思いますが、ロードノイズは大きめです。ランフラットタイヤの欠点かもしれません。
220クラウンG-exe(ハイブリッド車)のモーター走行時の静粛性には敵いませんが、一般道でエンジンがかかっている状態だと大きな差はないと思います。
アクセルを踏み込むとそれなりの排気音がしますが、流れに乗って一般道を走る程度では回転数が2000rpm以上に上がることは少なく、排気音はさほど気にならない程度です。
一方、車外の排気音については、一般的な国産車に比べるとかなり音が大きいです。
スポーツモードにすると、回転数が上り気味のセッティングになるのと同時に排気管内部のフラップが開放されるため、排気音がかなり勇ましくなります。気が引けるので、街中ではスポーツモードは使いづらいです。
あと、アイドリングストップによる頻繁なエンジンの始動音は結構耳障りです。
バッテリーも傷みそうだし、ワンボタンで無効化できるので、通常はアイドリングストップを無効にしています。
後編に続きます。