ご無沙汰しております。
欧州出張で時間をひねり出し、再びポルシェの聖地巡礼に行ってきました。
最初に行ったのは
2012年なんで、かなり昔ですね。そのあと、もう1回ほど訪問したはずなので、今回が3回目です。
シュツットガルトといえば、この宮殿(?)。もっとも、これしか写真を撮影しておりません。
シュツットガルト中央駅は、今回も工事中でしたよ。駅で大きなスーツケースをコインロッカーに収め、身軽にしてから出発であります。ルートはいつも通りのS60またはS6。あんまり本数がないのが難点ですな。
今回の目的は、初めての工場見学ツアー。これって平日にしか実施していないので、出張日程を調整して平日に移動日とか休みを作らないとなりません。
それから事前に予約をしないとなりません。英語かドイツ語のガイドツアーなので、言語を指定することもお忘れなく。ツアー料金は8ユーロだったかな。ツアーに関しては、
こちらからお問い合わせをどうぞ。フォームがないので、自分でメールを書く必要がありますが、まぁ参加者全員の名前、ツアー日、言語の指定、程度でよろしいかと思います。
返信の対応は早く、私の場合はツアーの開始時間が朝10:15と指定されていました。現地には予約確認書をプリントアウトして持っていく必要があります。見学者を明示するシールをくれますので、見えやすいところに貼り付け、インカムを受け取ったら準備完了です。
911は歴代にわたり、本社のあるツッフェンハウゼン工場で生産されてきたと。現在も初期の工場棟を含む工場群があります。ファクトリツアーでは、このうちエンジン組み立てラインとボディ最終組み立てラインを合計2時間にわたってガイドツアーします。もしかしたら時期によって異なる箇所を見学できるのかな、そこはわかっていません。
正面左側がボディ最終組み立て工場です。正面右側奥にエンジン部品倉庫やエンジン組み立て工場があります(見えていません)。中央部にある低いレンガ建物が旧エンジン工場で、現在は倉庫になっています。
生産は2シフトです。1台に必要な生産時間は8時間。生産能力は日産240台程度で、1台の生産のために8時間を要するとのこと。
全行程が歩きで、階段をよく使うのでフットワーク軽くいきましょう。
最初はエンジン組み立てラインへ。憧れの旧工場のレンガにタッチしつつ、その奥にあるエンジン部品納入・倉庫へと参ります。工場内には完成した911や718がうろうろしています。最新の991GTSも生産していました。目移りしますなぁ。
エンジン部品倉庫には生産3〜8時間前に部品が納入され、「スーパーマーケット」と呼ばれる方式で部品を一つ一つトレイに払い出します。トレイは重箱状になっており、まとめてキャリアに据えられます。そのキャリアはAGVで持ち上げられ、別棟のエンジン組み立て工場へ自動で搬送されます。工場棟間の移動は人間が運搬しますが、工場内ではAGVが大活躍です。
場内はとても清潔で、温度も快適で、さらに静かで騒音も少ない、すばらしい環境でした。エンジン組み立て工場内ではオイルの匂いもほとんどしません。フェラーリは工場棟も芸術でしたが、ポルシェは実用主義ですな(笑)
エンジン組み立てラインは1ラインで全車種のエンジンを組み立てています。V型エンジンもやっていたかは確認忘れましたが、確か組み立てていたと思います。そうそう、カイエンSのターボチャージャーと991ターボSのターボチャージャーって、まるで大きさが違うんですね。びっくりしました。
エンジン本体はスタンドにのっかって流れ作業で組み立てます。手作業がほとんどで、ロボットは重い作業の工程でのみ使用され、現在は4台が稼働。シリンダーヘッドの取り付けに使用されています。工員は定期的に担当場所を変更して、全員がエンジンを組み上げられるようにスキルを積んでいるとの由。
全体の動きはゆっくりで、複数のパーツを手際よく組み付けていました。マニュアルや教育がしっかりしているようで、かといってマシーン化したわけではありません。このエンジン組み立てラインの見学は、工場上部に渡された見学通路から見るだけなので、同じフロアレベルに降りて詳細に見ることはできません。オペラグラスなんて持ち込めません。
Youtubeに
エンジン組み立て工場の動画を発見しました。
次にボディ組み立て工場へ。ボディ組み立て工場は、全部で3層になっており、このうち1層(地上階)は完成車テストライン、2層は最終組み立てライン、3層はホワイトボディから始まる最終組み立てラインとなっておりやす。別の工場棟でボディパネルを組み上げ塗装されたボディがブリッジを渡って、この3層へと運ばれます。ボディ組み立てラインは1ラインで、911、ボクスター、ケイマンを生産します。混合した機種・仕様に対して的確にパーツが供給され、確実に組み上げられていきます。私の訪問時は、特にタルガの生産台数比率が多いので、人気なのでしょう。実際、格好いいよね〜〜〜、欲しくなります。
都合よくYoutubeにありました。
こんなイメージでございます。
このボディ組み立てラインでは、ブリッジを渡ってきたホワイトボディと、完成車の払い出しコンベヤーを見ることができます。同じパレットを使っており、生産完了した車体が専用コンベヤーに乗せられ、空いたパレットに次のホワイトボディが載せられるって感じです。
あとガラス取り付け工程でも時間をかけて解説してます。曰く、生産性を上げるためにロボットをとりはずし、あえて手作業に変更したと。ロボットが使われているところはガラスにグルーをつけるところだけです。人間ってすごいのね。タルガの後ろ窓は、専用の架台に乗せられ、手で組み付けてました。
シャーシは、専用の治具に組み付けられてきます。エンジン、トランスミッション、足回りの異なる仕様も共通した治具の上で組み上がられてます。
んで、そのシャーシとボディが間違うことなく合体していました(マリアージュを呼んでおりました)。流れ作業をしつつ混合車種を組み上げるって、工員のスキルが高いんでしょう。仕様間違いをするわけにはいきませんからねぇ。
そんで、タイヤ、幌、シートの順につけられ、完成でございます。
というわけで、1ライン、同じパーツ、工員、品質で多機種を組み上げます。と、いうことは素僕が最もお買い得であります。同時にパーツが少ないので低コストであります(笑)。
個人的にはタルガが良いです。超かっちょいいし、複雑な機構を組み込み、シャーシは4輪駆動です。
991GT3も同一ラインで組んでいます。ですんで、GT3RSやGT4も同一ラインでしょうねぇ(流れていませんでした)。というか、このラインであれば、どんな特殊仕様な911/718シリーズも組み立てることができると思います。超フレキシブル〜〜〜
981は同じ組み立て工場棟の別部門で完全手作りで作られているそうです。見ることはできませんでした。
もし新車オーダーをして、生産時期を教えてもらって工場見学を申し込めば・・・・・もしかして自分の生産過程を見ることができる・・・・かもしれませんよねスゲ━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━!!!!
その場合は、スペシャルカラーで注文しないと見分けがつかないかも(爆)
そして今まで空き地だったところに新たな工場棟が建設されており、電気自動車が組みてられる、らしいです。
ホワイトボディを作るところはロボットがやっているのでしょうけど、ボディ部品の組み付けやエンジン製造など、多くに手作業を使っていることが、ポルシェの価格を高くしている理由なんでしょうねぇ。
というわけで、大満足で工場見学は終了しました。
記憶に頼って書いていますので、違っていたらスイマセン。
総括すると、お値段安めで工場内に侵入できますから、これは見ないと損ですね。しかし最新のポルシェ生産ラインを見学でございますから、アタシの964時代を感じることはありませんな。
次回は再びポルシェミュージアムです。