こんにちは。
今日のお話は、戦後の路面電車車両史上最大の
「珍車」
にカテゴライズされていると言っても過言ではない…
名古屋市電800型
その生い立ちと模型製作にまつわるお話です。
まずは実車にまつわるお話から。
名古屋市電800型は、
車両の軽量化、高速化、導入コストの低減化をコンセプトとし、昭和31年から33年にかけて12両が日本車輌で製造されました。
車体の構造をバスのような準張殻
(セミモノコック)構造として軽量化を実現、かつ、前面窓を2枚化して視界を広げたことから、その外観はまるで
当時のバスのような雰囲気でした。
私の800型との出会いは、この1冊から。
小学校2年生の時に読んだ
「路面電車~消えゆく市民の足」(保育社・カラーブックス)で見かけた写真と文章でした。
前面2枚窓、波形入りの側板…
この電車が名古屋市電?
画期的=優れているはずの電車なのに早く廃車になったというのはなぜ?
そして、廃車された電車は
どこかで見られないの?
幼心ながらにして、そんな思いが何度も何度も頭の中に出ては消えを繰り返していました。
この車両で最も特徴的だったのは、実はその
駆動方式でした。
通常の電車はモーターとギヤが台車にセットされていますが、800型では全くその発想を捨て
トロリーバス用のモーターを床下中央に吊り下げ
その動力を
自動車用のプロペラシャフトとユニバーサルジョイントを介して台車第1軸、第4軸のギアに伝えて駆動する
まるで鉄道模型のような
乗り越しカルダン方式
を採用したのです。
他にも、トロリーバス用のドラムブレーキを採用するなど
前衛的かつ野心的
な車両でしたが、画期的特徴的な導入技術に起因する故障等トラブルも多く発生したとのことで稼働率はよくなく、昭和44年2月に全車廃車になりました。
廃車後は愛知県が全車買い取り、同年6月、渥美半島赤羽根漁港沖に
電車漁礁(ぎょしょう=魚の家)
として沈められてしまったため、保存車等でお目にかかることはできません。
名古屋市が制作した市政ニュース「市電物語」
この中に800型が漁礁となるため運び出され、海に沈められるシーンが出てきます。
かなり切なくなります…
(YouTubeサイトでご覧ください。はめこみ画像の右下部にあるロゴをクリックすると見ることができます)
が、この映像が
車両が残っていないなら、せめて模型でよみがえらせて
800型誕生の思いとそのストーリーを伝えられないか?
そして…
フロンティア・スピリットをたたき起こしてみないか?
私の心に一気に火が点きました!
画像、書籍を徹底的に調べ上げて資料収集をはじめたものの
そんなぁ!Nゲージの真鍮製鉄道模型製作なんて初チャレンジですよ(>_<)
HOゲージと比べたってすべてが小さいし、塗り分けも大変!
文字入れだって大変でしょ?
文字データだって一から作らんとあれせんしなぁ…(--;;
一気にハードル上がりましたが
始めなくちゃ始まらない!
さあ、製作開始です。
実はこの模型キット、以前から作りたくて作りたくて、「自分への誕生日プレゼントに」と目を付けていたのですが値段、難易度と割に合わない気がして、ずっと手を伸ばせずにいました。
同じ思いをしていた方も多々いたようで、店側にとっても長期在庫となっていたようでした。
しかし、昨秋、お店のリニューアルオープンに際し、何と
半額投げ売り!たたき売り!!
これを機に2両購入。
仮に1両失敗したって何とかなるでええがね!
そう思ったら、いくぶん気が楽になりました。
キットの構成は真鍮鋳物とエッチング板をハンダ付けして組み立てる、オーソドックスなものです。
しかし、
ハンダ付けの貼りしろがつぶれていました(>_<)
棒ヤスリで慎重に削って貼りしろを復活!
鋳物パーツとエッチングパーツの結合に成功したかと思いきや…
今度は…
車体の裾が鋳物側とエッチング側で合いませんでした(>_<)
ここまでやったのに!と、一瞬カチーンスイッチが入りかけましたが、良い仕上がりを得るには怒りと焦りは禁物です。
屋根雨どい等で合わせるところはキッチリ合わせ済みだったので、怒らず焦らず棒ヤスリで裾を削って合わせました^^;;
実車のイメージを確認しながらパーツ接合部の段差をヤスって均し
パーツ同士も滑らかにつなげて仕上げます。
顔の表情の一部をなす系統板のパーツもキット中には含まれないため、ここは気合いで自作にチャレンジ!
0.1ミリ厚の洋白板を3ミリ角に切り出して
お面にハンダ付け!
ハンダが派手に流れてしまいましたがステンレスブラシ、キサゲ、ヤスリを駆使して
何とかここまで仕上げました。
ふぅ~、やれやれ(汗
以前製作した1400型の塗料レシピを確認しながら調合塗料をつくって塗り分け。
車体の文字入れは自作デカールで(≧▽≦)
いただきもののマイクロドライプリンターが今回も大活躍です!
それにしても文字小さいですよね(>_<)
メガネもかけたりはずしたり(汗
方向幕も自作デカールです。
地名が入ると、がぜん生き生きしてきます。
最後に、救助網、ベンチレーター、Zパンタの各パーツをエポキシ系接着剤で取り付けて
ゴールデンウイーク後半の某日
ハイ!
無事完成しました!
まずはお決まりの構図で
2両並べて前面から
名古屋市電の鉄コレも入れて3両真横から
そんなわけで、私なりの思いの丈を詰め込んだ800型に仕上がりました。
800型の赤帯は一時期、前面部分が蛍光色になっていたとのことです。
が、さすがにこの小さな模型では表現できず今回はオミット。
HOゲージのキット製作の折には、その手法も考えてみようかな~、とも思っています。
詳細な製作記はフォトギャラリーで。
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
その8
その9
その10
その11
その12
その13
その14
あわせてお楽しみいただければ幸いです。
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Posted at
2016/06/18 21:38:42