第11話 理解者
「GRAGE」のブログ。
淡々と中古車業の話やザフィーラやトラヴィックの魅力、
他では見たことのないウィークポイント、整備のコツや、お子さんのこと
を綴る、ほのぼのとした日記。
トラヴィックやザフィーラの情報に飢えていたボクはバックナンバーまで
全て熟読したのはいうまでもない。
そして記事の最後には、必ず、お気軽にお問い合わせくださいとある。
本当に気軽にお問い合わせしてもいいのか。
冷たくあしらわれるんじゃないか。
深呼吸した後、ボクは藁にもすがる思いで自分のトラヴィックに関する悩みを書き綴ったメールを送った。
(本当はその前にレガシィで付き合いのあった新車ディーラーに持ち込んだって
いうエピソード(ひと悶着)があったんだだけど、それはまたの機会に。)
これでダメなら、短い付き合いだったけど、縁がなかったと全てをあきらめて手放す覚悟だった。
それくらい、乗っていてちょっと辛くなっていたのも本当のことだったんだ。
ステップワゴンかボクシィなんかのワンボックス・ミニバンにでも買い換えも仕方ない。
誤解のないように言っておくと、国産ミニバンが全くダメというわけじゃない。
限られたコストの中、あれだけ広い室内空間と、子どもから親世代までくつろげる
多彩なシートアレンジ。後席でDVDが見られたり、まさに至れり尽くせり。
美香も子どもたちも喜ぶだろうことくらい容易に想像がつく。
走りだってボクが言うほど酷くもない。ちゃんとワインディングだって高速だって走れるし、乗り心地もよくぞここまで頑張った・・・と素直に思う。
でも、それだけなんだ。そこから先がない。
ひとつひとつの動きのテイスト。感性に訴えかけるもの。
「運転が楽しい」
こう思えないなら、ドライブは単なる作業であり、労働でしかない。
それを割り切ることがパパの役目だと言うなら返す言葉もないけど。
それと、安全性。
あの内容をあの価格で実現するためにどこを削っているか。
いつも原価計算ばかりしているボクはちょっと怖くなる。
それでも、どうせ数年我慢すればいいんだ。いつまでもミニバンが必要な訳じゃない・・・・・
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翌日、思いもかけない返事をもらうのだった。
「良かったら一度、クルマを見せてもらえませんか。比較的お近くなので・・・・」
ガレージはウチから小一時間のところにある。
期待と不安が交錯した気持ちのまま、土曜日の混んだ国道を走らせる。
美香にはちょっとドライブ、と曖昧な理由でいぶかしがられながら家を飛び出した。
自分の気持ちに踏ん切りをつけるため。そう自分に何度も言い聞かせる。
「何からお話しましょうか・・・いろいろとありますが・・・・・」
挨拶を交わし、思いのほか気さくで話しやすい幸田氏に
早速自分が感じていること、疑問をあらためて伝える。
約30分後、同乗テストドライブを終えた応接にて。
思案顔の幸田氏がどう切り出すのか。
応接のソファで、ボクは固唾を飲んで次の言葉を待った。
つづく
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トラヴィックの話 | 日記
Posted at
2011/08/26 00:24:06