FIA F2 2021に参戦する「周冠宇」選手
今年もF1が始まりましたが、DAZNでは下位カテゴリのFIA F2(以下F2)・FIA F3の配信もあります。F2に参戦する選手の中にアルピーヌ(旧ルノー)育成の
周冠宇選手が居ます。
「最もF1に近い中国人ドライバー」と呼ばれ、昨年は角田選手や松下選手と激しく争ったので覚えている人も多いと思います。
この周選手、何と発音しますか?
DAZNでは「
チョウ・カンユー」と発音しているようです(
記事だと「チョウ・クァンユ」)。
ところがアルファベットの綴りは「
Guanyu ZHOU」 。なのでDAZNの発音はおかしくない?という声もあるようです(「
ジョウ・ガンユー」?)。
ちなみに、Wikipedia日本語版では「
チョウ・ガンユ―」との記載になっています。
果たしてどれが正しいのか?
結論から言えば「チョウ」さんでOK
まず、中国人の姓の「周」さんの発音は以下です(普通語)。
日本人の耳からすると「チョウ」とも「ジョウ」ともどちらとも聞こえて微妙だと思います。
そこで発音記号を確認します。
「周」さんの発音記号は以下です。
/ʈ͡ʂoʊ̯⁵⁵/
出典:Wikionary
最初の音の「
/ʈ͡ʂ/」は「
無声そり舌破擦音」と言われる音で
日本語の「チャ」「チュ」「チョ」の子音に近い音です。
これがもし、「
/ɖ͡ʐ/」(
有声そり舌破擦音)だったならば「ジャ」「ジュ」「ジョ」の子音に近い音だったでしょう。上の動画で、英語の「Joe」の発音というコメントが付いていますが、どちらかといえばこっちの音です。
※
Joeは発音記号で「/dʒəʊ/」または「/dʒoʊ/」
途中の「
/o/」は日本語の「オ」に近い音です。「/ʈ͡ʂ/」の子音とこれを合わせて表記するなら「/ʈ͡ʂo/」は「チョ」と表記するのが近いでしょう。
最後の「
/ʊ/」はギリシャ文字のオメガがひっくり返った文字で
英語の「foot」の中間の音です(円唇後舌め広めの狭母音)。「foot」はカタカナ英語で「フット」と表記しますから、日本語の「ウ」が近いでしょう。
まとめると、
「周」さんを現地読みして日本語表記すると、「チョウ」さんとなります。
なお、日本語は「チョウ」「チョー」と表記した場合の発音が一緒になってしまいます「/tɕoː/」が、これは正しくないです。チョオ、ではなく、チョ・ウと区切って読む感じが一番現地読みに近いです。
「冠宇」は「カンユー(クァンユ)」でOK
「冠」は発音が2つあります(/kwän⁵⁵/、/kwän⁵¹/)が、いずれにしても日本語で表現するなら
「カン」または「クワン」または「クァン」のどれかかと思います。歴史的仮名遣いの「くわん」を文字通り読むのも近いかもしれません。
「宇」は
「/y²¹⁴/」なので「ユ」とか「ユー」とかでしょうか。
「周」はよくある姓なので表記はある程度落ち着いてますが、個人名は難しいですね。Wikipedia日本語版の読みは英語読みになっていて変です(姓:現地読み、名:英語読み)。あるいは周選手の出身地で使われる上海語の発音(普通語、Mandarin Chineseとは別)なのでしょうか?
DAZNは現地読み
周選手を「チョウ」選手と呼ぶのはDAZNが現地読みを優先しているからです。
一方「ジョウ」と呼ぶのは綴り(「zhou」)からの英語読みなので絶対誤りというわけでもありません。漢字を日本語読みをして「しゅう」選手と呼んでも間違いではないように。
現地読み:チョウ・カンユー(クァンユ)
英語読み:ジョウ・ガンユー
日本語読み:シュウ・カンウ
ただし、現地読みと英語読みが入り混じるのは、個人的には一番変です。周選手を「ジョウ・ガンユー」と呼ぶなら、「マックス・ヴァースタッペン」「チャールズ・レクラーク」「マイケル・シューマッカー」と他選手も英語読みで統一しないといけません。
「セバスチャン・ベッテル」選手のように英語読みが日本で広く普及しているならともかく、周選手は日本での知名度は慣用読みが根付くほどありません(DAZNは現地読みに統一するので「フェッテル」読み)。
中国人の名前の読み方は、日本では現地読みか日本語読みのどちらかはありますが、英語読みが使われることは映画スターでもなければありません。
現地読みがわからない場合は英語読みで代用するのは仕方ないと思いますが、中国語のようにメジャーな言語の場合は調べればわかるかと思います。
周冠宇選手はF1昇格なるか
さてF2に話を戻すと、バーレーン レース2で3位を取った周選手はいい滑り出しです。F2は3年目なので今年は正念場ですね。既にスーパーライセンスポイントは満たしているものの、アルピーヌ系列は席がないためF2チャンピオンクラスの実績が求められます。
ただ、今年は周辺にアルピーヌ育成に複数の有力な選手がいるのも彼にとっては悩みどころ。他の育成選手より突出したところを見せるというのが辛いです。
アイロット選手、デフリース選手、マルケロフ選手、セッテカマラ選手、エイトキン選手、松下選手、...
F2上位を走る実力がありながらマシンの戦闘力がなくポイントが取れなかったり、空いたF1の席が無かったりした彼らのようになるのはさみしいです。
バーレーンレース2では、最終的に抜かれたものの昨年の課題のタイヤの持ちも改善して最後まで持たせたので期待できる内容ですね。
Posted at 2021/03/28 05:48:33 | |
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