• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

セバスチャン・ヨッティーのブログ一覧

2011年08月02日 イイね!

ド・根性花

ド・根性花ド・根性花

「‘カサカサカサッ・・’」

・・・

15歳の秋・・・ブラック・ベイルは、今は無き山○證券付近の高校へと編入が決まった。

なんとしてでも学年をダブることなく、自由奔放(ほんぽう)な青春を送りたかったのだ。

その“自由奔放な青春”にはリスクがつきものであることも十二分(じゅうにぶん)に理解していたつもりでいた・・・。


「“新しい高校の奴らにとって俺は、新しく途中から入ってくる新人だ。皆、全員お利口さんが揃っているとは限らない。肩で風を切って歩いている奴らの餌食になる位なら、餌食にしてやる。”・・・」


‘生意気だ’
と、因縁をつけられ、数名に囲まれて暴行を受けるようなシュチュエーション想定していた。

初登校日。初日は特に重要だと判断したのだ。

ブレザーの制服に革靴はリーガルのスリッポン、ではなく、スティール・トゥー(鉄板入り)のチペワのエンジニアブーツ。

バーバリーのマフラー、ラルフローレンのセーター、ダッフルコートはおあずけ。
自分の血、もしくは、返り血で汚したくはなかったからだ。

汚れても良いように、土方用のジャンパー、通称‘ドカジャン’を着込み、身動きが取りやすく両手が自由に使え、大変丈夫なグレゴリーの赤と青のツートンカラーのリュックサックをセレクト。


「‘ジーーーーッ・・・’」

一番外側に付いていて、一番出しやすい位置にある、小さなポケットの、大きなジッパーを開き、中をのぞき込んで、一呼吸。・・・


「‘カサカサカサ・・’」


先ずは金にギラギラと鈍く輝くメリケンサック(手にはめる鋼鉄製のナックルガード)を入れ、・・・

次に、ドラゴンの絵柄の下に‘440STAINLESS’と彫られた銀のバタフライナイフが入った黒いナイロンケースをそっと忍ばせた・・・・・。

‘正当防衛’という名の“大義名分”を胸に、歩き出したのだ。


「‘コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、’」


「‘シャッ、シャッ、シャッ、シャッ、シャッ’」


ドカジャンが擦れる音。そして、若干すり減ったチペワブーツのかかとに打ち込まれた鉄のペグが顔を覗かせていたので、地下鉄の地面のタイルとホームに良く響き渡り、普段の2倍の力を授かったかのような自信と興奮をブラック・ベイルは感じていた。


予想通り、教室の左後方には5、6人、他のクラスから遊びに来た連中も含め、明らかに一般の生徒とは違った、同い年ではないようなオーラを放った生徒達がたむろしている。

担任の先生を“辻ちゃん”と呼んでいる所が、全てを‘ナメている’印象であった。

身長は180cmオーバー、黒髪のロングヘアーにスパイラルパーマをかけてウエット感を出した男と、身長が170cm強、サラサラのツーブロックヘアーで肌の真っ黒な2人は特に目立った印象だ。

“やり合うなら、きっとコイツらだな。”

向こうも、やはり、異色の雰囲気を醸し出すブラック・ベイルを若干意識している様子であった。

“何かが起こるのであれば下校時だ。”

色々なパターンを連想し、気を張った状態で過ごす時間は非常に長く感じ、精神的な疲労が少しずつ蓄積されていった。

その疲労感がピークに達しようとした時、追い打ちを掛けるかの如く簿記の授業が開始された。


先生「はい!静かにしよう!始めるぞ!なっ。簿記って言ったら、お金が絡む授業なんだから、重要なんだぞ。なっ。お金。便利だし、何でも買えるし、お金で買えないモノなんてないだろ?なぁ。」


小太りで身長は低く、刈り上げた頭がちょっと体育会系の先生が話し始めた。

あわよくば、帰りの予期せぬ戦いに備え、英気を養う為にも少し寝ようと企んでいたブラック・ベイルにとっては歓迎できないタイプの教師であった。

当然のことながら、そんなことは全くお構いなしにその教師は続けた。


先生「お金で買えないモノ。・・じゃあ、何かあるってヤツは手を挙げて言ってみろ。」


すると、ツーブロックヘアーの真っ黒肌の男が間髪入れず手を挙げた。

アナザー・TRだ。


先生「おお!TR!言ってみろ、言ってみろ!」


教師の発言が終わったその瞬間、一瞬にして教室の中が凍り付くかのように、‘シュッ!’と、0.5秒間位、時間が止まったかの錯覚を起こすような空気が流れた。


ア「人の心は買えません。」


教室がドッと笑いに包まれた。

ブラック・ベイルも皆と同様、おもわず吹いてしまった。

即答であった。テンポの良さ。頭の回転力。本質的にはその通りだ。皆、気付いていても、分かっていても、口に出来ないような言葉だ。あるいは、お金によって自分の心を売ったことがある経験を、隠そうと笑ってごまかしたのかも知れない。

体の中から、疲労が‘ポーン’っと抜けていくのが分かった。

その次の瞬間ブラック・ベイルは、とても自分が恥ずかしくなった。小さな人間に見えた。武装している事実も含め、いたたまれなくなるかのような。・・・

違いを見せつけられた。

勉強の出来る出来ないの頭脳ではない。人間としての格の違い、だ。

魅せられた。とてもミラクルな授業となった。

それはそれは温かい雰囲気の授業となったのだ。・・・

むしろ、少々の恐怖すら覚えた。
仮に、このまま下校途中にもめ事となり大暴れをすれば、学校中全ての人間を敵にまわすことになるのではないかという、目には見えない巨大な敵を作ってしまうのではないかという、哀れな自分が余計に哀れになっていくかのような・・。


時間はやってきた。

一瞬、弱気になった自分に苛立ちを感じていた。

‘ガラガラガラ!’
B「スーゥーーーーーッ!」


HR(ホームルーム)が終わり、立ち上がったと同時に大きく息を吸い込んだ。

そして、男子便所へと向かい、下っ腹に力が入るように、あるいは、失禁しないように最後の一滴まで小水を振り絞った。

決して新しいとは言えない作りの階段を降りてゆく。

B「‘ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ、’」・・・

ブーツの重みが鈍く響く。

出来る事なら何もない方が良い。今回はただの怪我ではすまない。事によっては人生をも大きく狂わしかねない。

最後の階段に差し掛かり、前方約15m先の校門の映像には、誰もいない、何もない事を期待した。

期待は外れた。アナザー・TRをはじめ、長身のスパイラル・ロングとそのとりまき約6名。こちらに体を向け待ち構えている。

最後の最後の階段で、何も無いことを期待した自分への怒りが頂点に達した!

つま先は大きく外へ向けがに股に歩き、ブーツのペグをオーバーに地面に打ち付けて歩き、両手は軽く拳を握り内側に向け、アゴを上げ、首を少し右に傾け、眉間に軽くシワをよせ、視線をブラさないように頭は一定の位置にして大きく歩いた。

その距離はどんどんと縮まってゆく・・・。


B「‘コッ、ゴッ、コッ、コッ’!」

6名の集団のど真ん中を突き抜る勢いで突進した。肩で風を切って歩いているのは、正に、ブラック・ベイル本人であった。

距離にして2m位の位置になった位か、突然、アナザー・TRが“スッ!”と何かを出した!


B「“!!!”」


ア「よろしく!」


握手を求める右手であった。・・・
ブラック・ベイルは完敗であった。・・・
何もかも。・・・

強く手を握り、握手を交わした。
外の冷たい風が、拳の中に握りしめていた汗をヒンヤリと冷やした。・・・・・・

アナザー・TRは、たった一人でも戦おうとするスタイルを崩さなかったブラック・ベイルに魅せられたのかもしれない。・・・

ブラック・ベイルは、このアナザー・TRという男に魅せられた。
素晴らしい男と友人になれたことが誇りに思えた。
この学校に来て、本当に良かったと。・・・


‘土’という自然の物の上に、‘アスファルト’という人工的な物を敷き詰め、我々の都合に見合った世界を作り上げてゆく社会。

その‘アスファルト’をブチ破る生命力と自然の力。

どんな環境にも負けず自分らしさを貫き、ライフスタイルを構築しているモノは必ず輝いている。

そして、輝いているモノは、輝いているモノ同士、互いに惹かれあう。
それはいつの時代も、これからも、変わらないであろう。・・・
Posted at 2011/08/02 15:17:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「もしも湾岸ミッドナイトの島達也先生が997GT3へ乗り換えていたら・・・ http://cvw.jp/b/958994/44704533/
何シテル?   12/27 23:00
はじめまして! SSガレージと申します。 アメリカよりパーツを取り寄せては取り付け、世界に一台のオリジナルマシーンを仕上げる事に熱血しております。 ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2011/8 >>

 1 23456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

愛車一覧

三菱 GTO 3000GT SUPER VR-4 (三菱 GTO)
60代の前オーナー様が大切にガレージ保管をし、 さらにカバーまで被せていたという過保護極 ...
GM シボレーその他 トレイルブレイザーSS (GM シボレーその他)
国内にBUBUが正規輸入した台数はたった5台...。 ドラッグレースの盛んなアメリカで ...
フォード マスタングSVTコブラ フォード屋 コブ平 (フォード マスタングSVTコブラ)
かくれムッチリボディーが、アゴを上げてレッドゾーン手前まで激しい息継ぎで狂おしく加速して ...
ジープ ラングラー 直6AMCエンジン最終サハラソフトトップ (ジープ ラングラー)
一年間のみ限定生産されたサハラ・ソフトトップをベースに、米国ウィレン社製耐水スピーカー・ ...

過去のブログ

2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation