2026/08/16
ディスク VS ドラム、どちらが強力か?(結論編)
ところで、ブレーキの分解整備をした人ならすぐに解ると思いますが、ディスクブレーキのピストンに比べると、ドラムブレーキのシリンダ(ピストン)は、かなり小さいです。
※つまり、ドラムブレーキは(ダブルピストンとはいえ)1輪当りのピストンの表面積の合計は、ディスクより小さい。
ピストンの表面積が小さいということは、パスカルの法則より、同じ油圧が掛かったときのピストンを押しだす力自体は、ドラムの方が小さくなります。
さて、現実のブレーキの設計段階においては、当然ですが保安基準に適合するように、まず必要な制動トルクを計算し、そこから安全率を見込んだうえで、ディスク(ドラム)径、パッド(ライニング)の押付力や摩擦係数などを決めていきます。
パッドやライニングの押付力については、前回の計算例に従えば、一般的な乗用車(車両総重量1.5t、タイヤ径600mm)では50,000Nぐらいで、その場合の制動トルクは3,000Nmぐらいになります。
※大型の車であれば、当然もっと大きい必要がある(でないと止めるまで時間が掛かる)
言い換えれば、ディスクにしろドラムにしろ、同クラスの車同士であれば制動トルク自体は概ね同じなのです。
つまり、現実にはディスクもドラムも効きは変わらない。
一方、同じ表面積のピストンを使えば、ドラムの方が自己サーボが働く分だけ押付力は強くなるので、ドラムの方が強力な制動トルクを得られます。
つまり、構造的にはドラムの方が制動トルクを強く出来る。
※乗用車でそんな事したら、カックンブレーキになって乗れたもんじゃないでしょうけど(笑)
以上です。
P.S.
ブレーキが強力なほど(車体の)制動力が上がり、制動距離は短くなると思っている人が評論家を含めて多くいますが、ブレーキの制動力と車体の制動力は別な次元の話で、誤った考え方です。
ただブレーキの制動トルクを上げれば、(フルブレーキング時においても)それだけ短い時間でABSが作動する領域にまで持って行けるので、理論上はタイヤの摩擦力を最大限発揮できることになりますが、実際には車体の制動力(制動距離)に与える影響は殆ど誤差の範囲内であり、むしろ普段乗りではカックンブレーキになって扱いづらくなるだけです。
※むしろ脚力を鍛えた方が良い?
ドイツ車のブレーキの制動力が大きいのは、パッドの摩擦係数が大きい分、同クラスの日本車に比べて制動トルクが大きくなるからですが、フルブレーキング時の制動距離においては日本車との差異(優位性)を見いだせないという事実を考えれば、この話も理解できるかと。
※この件については過去ブログで散々書いていますので、この辺で。
なお、いざという時にブレーキを思い切り踏めない人が多い事を考えると、ドイツ車的な考え方の方が正しいとは思う(が、最近ではブレーキアシストなども装備されているし、個人的には微妙な調整が楽に出来る日本車の方が好みではある)
Posted at 2026/08/16 11:12:03
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