世界ラリークロス選手権第10戦スペイン・ラウンドが20日に最終日を迎え、予選ヒート3でのクラッシュでセミファイナル進出が危ぶまれたペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)が絶体絶命のピンチを撥ねのけ、5月のイギリスRXの勝利以来、119日ぶりに優勝を飾っている。
バルセロナのF1サーキット内に特設されたラリークロス・トラックで行われた第10戦スペイン・ラウンドはソルベルグにとって順風満帆のレースウィークとはならなかった。彼は初日3位につけていたものの、最終日の朝に行われたヒート3ではシケインのウォールにヒットして右リヤサスペンションを壊して32番手タイムに終わり、この時点で予選10位まで後退、マシンのダメージの状況ではセミファイナル進出が危うい状況と見られていた。
しかし、彼のSDRXチームは見事に修理を完了し、ソルベルグはヒート4でティミー・ハンセンに続く2番手タイムで挽回、どうにか予選6位でセミファイナルへと進出することに成功。彼はセミファイナル・レース2でVWチーム・スウェーデンのヨハン・クリストファーセン(VWポロ)に続く2位でフィニッシュして、4番グリッドからファイナルをスタートすることになった。
ファイナルは、ノルウェー、フランスと連勝を飾り、ここスペインでも予選ヒートをトップでセミファイナルに進んだチーム・プジョー・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)がポールポジションからスタート。しかし、1コーナーではフロントローから好スタートを決めたクリストファーセンとサイドバイサイドとなり二人は接触。ラインを外してアウトにふくらんだ2台のマシンを、その後方につけていたソルベルグがイン側に切り込んでパス、首位に立つことに成功する。
クリストファーソンがすぐさまジョーカーを選択するなか、ハンセンはソルベルグを猛追するも、なかなかペースが上がらずにタイヤバリアにマシンをヒットしてしまう。長いターマックのセクションが続くバルセロナのコースは、タイヤの摩耗が激しく、セミファイナルまでニュータイヤを温存してきたソルベルグがリードを広げることになる。
ハンセンは5ラップ目でジョーカーラップに入ったものの、同じくセミファイナルでニュータイヤを投入して好ペースで周回を重ねてきたクリストファーソンに抜かれて3位に後退、ソルベルグが5月に行われた第4戦のイギリス・ラウンド以来となる今季4勝目を獲得することになった。
「この週末もプジョーが本当に速かった。ヒート3ではダストにつかまってベイルにマシンをヒットしてしまう問題もあったし、週末を通してハードに戦わなければならなかった」とソルベルグは週末を振り返った。
「しかし、僕らはファイナルでは2列目からいいスタートができた。とても滑りやすくなったグラベルでミスしたけれど、後続も同じミスをしたので、どうにか首位をキープすることができたよ」
ハンセンはファイナルで3位となったものの、予選とセミファイナルでのポイントに助けられて、選手権リーダーのソルベルグを2ポイント上回り、3戦を残してその差を35ポイントに縮めることに成功している。
「正直、1コーナーでペターにパスされた瞬間は驚いたよ。ファイナルまではいい週末だったし、うまくマネージメントできていた。でも、ファイナルではなんとかペターとのギャップを縮めようとしたけれど、スタート直前に散水車に撒かれた水でグリップを失うなど、何度かミスをしてしまって果たすことができなかった。でも、ポディウムでフィニッシュできたので、ポイントを2ポイント縮めることができた。これほどマシンが速かったことはなかったし、この速さを維持していきたい」とハンセンは選手権の逆転に意欲をみせている。
またチームメイトのデイビー・ジャネイ(プジョー208WRX)が4位でフィニッシュ、彼は選手権でも4 位に浮上している。好調を維持しているチーム・ハンセン・プジョーに対して、オルスベルグMSEのフォード・フィエスタSTを駆るアンドレアス・ベッケルドとレイニス・ニッティスはそろってセミファイナルの混戦でファイナル進出を逃すことになったため、チーム・ハンセン・プジョーのチーム選手権でのリードは177ポイントと大きく広がっている。
予選のヒート1を接触でフィニッシュできなかったタンナー・ファウスト(VWポロ)にとってきびしいスタートとなったが、彼はヒート2では4番手、ヒート3では2番手の速さをみせて、予選11位でセミファイナルに進出した。そのセミファイナルは、予選3位と速さをみせながらマシンにダメージを負ったマティアス・エクストローム(アウディS1)やオルスベルグMSEの二人が順位を落とすなか、ファウストは勝負強さを発揮して3位でフィニッシュ、ファイナルでも5位でフィニッシュしている。
以上、Rally-X mobileより抜粋

ここんところ勝利の女神から見放されていたペター、今回のスペイン・バルセロナ戦でも予選ラウンド、セミファイナルとあまりいいところがなく、なんとかファイナルに進出できたように見えた。
プジョースポールから全面的にバックアップを受けるハンセン・プジョーチームの勢いは、昨年度チャンピオンのペターをも上回り、まともに走れば敵がいないと思うほど。
しかし、今回のペターは2セットしか使用できないタイヤを上手くやりくりし、ファイナルで圧倒的な速さを見せ付けた。スタート直後、前を走るハンセンのプジョーとこれまたVWのサポートを受けるVWスウェーデンのクリストファーソンのサイドバイサイドのバトルの隙を突き、大胆にインを刺して2台をパス。そこからはペターの背後に迫る車はなく、ラップごとに後続を引き離す完璧なレースを見せ付けた。
正直な印象では、ハンセンのプジョーの方が速さも勢いもペターを上回っているように見える。しかし、前半戦の貯金もあり俄然ペターの連覇の可能性は高いのだが、残りのラウンドは全く目が離せないのは確か。
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モータースポーツ | 日記
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2015/09/22 08:08:07