
先日、ちょっと時間があったので、遅ればせながら
新型フォルクスワーゲン・ポロを見てきました。
私はかつて4代目ゴルフに乗っていました。

フォルクスワーゲンは今も気になるメーカーです。運転が本当に楽しいんですよね…
見に行った先は4代目ゴルフを買ったディーラー。思えば、ここには新型モデルが出るたびに試乗に行っている気がします(笑)

なかでも5年近く前に試乗した現行7代目ゴルフには、相当な衝撃を受けましたね。
新型ポロ、まずそのデザイン。すでに去年の東京モーターショーで見てきましたが、その凝りに凝ったプレスラインには改めて圧倒されます。小さい車なのに。コストが優先されるはずの小型量産車でなぜこれだけのことができるのか、不思議ですらあります。4代目ゴルフの頃からフォルクスワーゲンは外装品質にこだわり出しましたが、そのこだわりは「ここまできたか」という感じ。

板金屋さん泣かせです(笑)
直線や台形で構成されたリアランプ。

テールランプ(ポジション)はコの字パターン。ブレーキランプはその内側部分。バルブ式ですが、一見LEDのようにも見えます。一番下はウインカーとリアフォグ(左側はバックランプ)。幾何学的でユニークな光り方です。
ヘッドライトを囲むように細く光っているのは、デイライト。こちらはLEDです。

このデイライトはフロントウインカー兼用で、ウインカーを出すと下の部分がオレンジに点滅し他の部分は消灯します。前後ランプの光らせ方、見え方にもこだわっています。
直線基調のインパネ。

目新しい感じはしませんが、見やすくスイッチ類も操作しやすいですね。特に高級なわけでもなく布や革を貼っているわけでもないのですが、決して安っぽい感じはしません。こういう黒一色の内装って、素材を吟味しないととたんにショボくなるものですが、そんなことは微塵も感じません。うまいものです。
内装といえば、シフトノブ周り。

左ハンドル仕様とは左右反転され、アイドリングストップスイッチが運転席側に来ています。右ハンドルに最適化!左側に残ったままのゴルフから改善されています!アイドリングストップをとっさにオフにしたいときなど、これなら押しやすいでしょう。
気になったところとしては…

アクセルとブレーキペダル。位置は良いのですが、ブレーキペダルが手前過ぎてアクセルとの段差が大きいと感じました。踏み間違い防止のためでしょうか?まぁこれは慣れでしょうね。それよりドアミラーが妙に小さいのはなぜでしょう…デザイン?空力優先?上下に薄く、これはちょっといかがなものかと。

それからトランク下のスペアタイヤルーム。タイヤの代わりにパンク修理キットが入っていますが、ちょっとこれは…もっと片付け方にもこだわってしてほしい(笑)

エンジンは1リッターの3気筒ガソリン。と、それを聞いて「えー?」という反応が良くあるそうです。乗れば納得して頂けます!と営業さんは胸を張っていましたが、まぁその通りでしたね…これはのちほど。それよりも、この殺風景なエンジンルーム。申し訳程度のカバーとつっかい棒式のエンジンフード。見栄え良くこだわったところと、そうでないところの落差が結構あります(笑)
試乗です。
まずエンジンをかけての静かなアイドリングに驚きます。振動も少ない。車を出すと、極低速のスムーズさにまた驚く。7速DSG(DCT)にギクシャク感はありません。以前試乗したゴルフ6はかなりギクシャクしていたのですが。
スピードが乗っても相変わらず静かで洗練されていて、なんというか、少し前の2リッター6気筒?という感じ。実際はその半分。これ本当に1リッター3気筒?少々混乱します。スペックで言えばたったの95馬力。ワーゲンってこんなによかったっけ?正直、スペックだのシリンダーの数や排気量だの気にするのがバカバカしくなりました。先入観というか、思い込みのようなものを持っていたら見事にぶちこわされるのは必至です。「車は乗らなきゃ分からない」
褒めてばかりもアレなので。走行面で気になったのはアイドリングストップからの復帰。ワンテンポ遅れます。ちょっとこれは慣れでどうにかという感じでもありません。右折待ちや渋滞時はアイドリングストップをオフでしょうね。それから加速は「必要充分」というところでしょう。何も不都合はなくスムーズですが、逆にスポーティな盛り上がりや刺激は一切なく、パワー感は物足りない。それを求めるなら今後出るであろうGTIなどでしょうか。
営業さん曰く、新型ポロは引く手あまただそうです。このサイズ(ゴルフ4と同等)には需要が多いと。確かに、大いに売れると思います。
過去にゴルフを1台買っただけで、見込み客ですらない私にきちんと対応してくれたディーラーには感謝。

こちらは現行ゴルフ7.5のデモカーですが、正直、見た目の立派さは新型ポロも負けていません。というより兄貴分を食ってしまっている感すらあります。
新型ポロ、いやぁ良い車でした。でも良すぎて、ちょっとかわいげがありませんよこれ(笑)
で、我らが日本メーカーの同クラスコンパクトカーはどれほどなのか。それを思うと複雑な気持ちになったのも事実です。これに対抗できるモデルはあるのでしょうか。価格面でいっても、今や日本車も随分高くなりました。それ以前に、新型ポロには価格以上の魅力が…
と、ウダウダ考えつつ次に向かったのは弟のすみか。彼の家で所用を済ませる必要があったので。彼は現行アクセラに乗っています。

あれ?アクセラが小さくなった?(笑)
聞くと彼の車は一年点検中。代車がこの
デミオ1.3ガソリン、Lパッケージ。代車というより、ほぼおろしたての新車!素晴らしいサービスです。おかげで、じっくり観察し少しですが乗ることが出来ました。図らずも、さっき乗ったばかりの新型ポロとの比較と相成りました。いやぁありがたい。

さてどうでしょう?以下、私が思ったまま、正直に書きます。
まず車内の広さはポロの圧勝。ホイールベースを長く取ったポロはスペース効率が良いですね。デミオは明らかに前席優先で、後席はかなり狭く、乗り降りにも難あり。

でもその内装自体はとっても良い。このデミオLパッケージの内装は非常に魅力的です。この白いトリムと赤いシート、どうでしょう。質感もデザインもグッド。高級感を無理に狙った感じもなければ安っぽい印象もなく、なんというかサジ加減がうまい。正直、感心しました。

マツダは外観だけではなく内装デザインでもレベルを上げてきましたね。直線基調のポロ内装と比べ、曲線で構成されたデミオの内装のほうが視覚的にもおもしろさを感じます。

このインパネに比べるとポロはずいぶん事務的です。本国仕様のような内装のカラーバリエーションやトリムのオプションが日本向けにもあれば、また違うのでしょうけど。

エアコン吹き出し口の処理など、アクセラより良いくらいです。今のマツダは装備や質感をクラスごとに差別せず、むしろ逆転させることすらありますね。下克上あっぱれ。下位クラスは露骨にショボくするメーカーもあるなか、マツダは良心的です。

それからドラポジの適切さ。これについてはマツダもしきりにアピールしていますが、確かにその通りです。先に書いた「前席優先」は、後席にあまり人を乗せないのならこの点でむしろ長所に転じます。マツダのこのこだわりと割り切りは素晴らしい。この車なら、よほどのことがない限りペダルの踏み間違いなんて起きないでしょう!

そういや、デミオはオルガン式アクセルペダルを採用した数少ないBセグハッチバックです。他にはMINIくらいしかないはず。踏みやすさや長時間運転時の疲労の少なさなど、オルガン式アクセルペダルにははっきりとしたメリットがあります。コスト面ではデメリットばかりでしょうけど、それでも採用するマツダはたいしたものです。ユーザー側から見たデメリットは、ゴミがたまりやすいことくらいでは?
ただし、デミオの魅力的な運転席からはボンネットが見えません。そのせいで見切りがあまり良くないのが残念。
走りについて。これはポロの勝ちです。

静かさ、スムーズさ、乗り心地いずれも。これはデミオがダメなのではなくポロが良すぎる。いやパワー感についてはデミオが上でしょう。しかし、「もっと大きな車に乗っているかのような感覚」これは正直、ポロにはだいぶ及びません。これは相手が悪かった…でも、両手でハンドルを握って背筋を伸ばしてきっちり走る楽しさはデミオでも得られます。
最後にデミオの圧勝ポイント。この360°ビューカメラです。

これ、凄いです…
車を俯瞰してモニターする装備は随分前からありましたが、このクラスでここまでのものは初じゃないですか?見えないところのモニタリングはもちろん、駐車スペースに振られた番号まで読み取ってモニターに表示します。路肩に寄せようと思ったら路肩を表示します。こりゃ普通に便利で安全。直近のマイナーチェンジで他のモデル含め追加された装備だと記憶していますが、これも立派な「安全装備」と言えると思います。正直言ってうらやましい(汗)
悔しいのであえてケチをつけるなら、こんなものに頼ってモニターばかり見ていたら本末転倒!(爆)
今回、偶然にも同じ日に最新のポロとデミオに乗ることができました。まず分かったのはフォルクスワーゲン最新コンパクトカーの進歩です。これ、はっきり言って我が日本のトップメーカーは危機感を覚えなきゃヤバイ。「神は細部に宿る」なんていう言葉がありますが、「細部にこだわっても客にはどうせわかんねーよ」とばかり手を抜いたり、「日本は○○だから~」とかなんとかいって妥協した設計の車(に限りませんね)が我が国には多いのではないでしょうか?こんなことで更にガラパゴス化が進めば、我彼の差は広がってしまうでしょう。それで良いはずがありません。
それでも、マツダは対等に、がっぷり四つに組んで勝負していることも分かりました。やる気とこだわりがひしひしと感じられます。これはとても嬉しいことです。ポロとデミオ、方向性も個性も違いますが同じBセグコンパクト。車造りに「こだわり」がどれほど大切かよくわかります。日本のユーザーももっと贅沢に、目を肥やして車を選ぶべきだと思います。