エアコン使用時の水温上昇対策(その6) サーモスタット交換(3回目 Robertshaw 333)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
6時間以内 |
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前回、オルタネーターのベルトを張る作業時にバールでオルタネーターを損傷してしまい、またまたSummitRacingでパーツを手配する羽目になったのですが、その際、以前から気になっていたサーモスタットも併せて購入しましたので、そちらから先に紹介します。
マークVに搭載されているフォード400エンジンは、クリーブランドとして有名な335シリーズというエンジンファミリーに属しています。
この335シリーズはエンジンブロック内に冷却水のバイパス流路が設けられており、冷間時、サーモスタットが閉じている状態では、エンジンブロック側で冷却水を循環させ、暖機に要する時間を短縮するとともに局所的な過熱を防ぐ構造となっています。
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また、パーツカタログ上で、1979年のマークVに適合するサーモスタットとして記載されている、RT-1021という型番をネットで検索すると、現在主流となっているオープンフレームタイプの形状ではなく、円筒型のポペットバルブを持つ構造となっていることが確認できます。
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この型式のサーモスタットは335シリーズエンジンに最適な構造であり、温間時には横方向から流入する加熱された冷却水を最大の断面でラジエーターへ導くとともに、ウォーターポンプへ戻るバイパス路を確実に閉塞することができるデザインとなっています(温間時にバイパス路の閉塞が不完全だと、本来ラジエーターへ向かうべき加熱された冷却水の一部が、エンジン内に戻ることになり、冷却性能が低下する原因となります)。
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純正部品であるMotorcraft RT-1021は現在でもたまにebay等で見かけますが、開弁温度が197F(92℃)と高めであるため180F(82℃)のものが必要です。
いろいろと調べていくと、純正品と同じ円筒型のポペットバルブを持つ構造のサーモスタットはRobertshaw 333シリーズとして知られており、現在は高流量ウォーターポンプを販売しているFlowKooler社が取り扱っているのを発見、今回オルタネーターと共に購入することができました。
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前置きが長くなりましたが、作業に移ります。
先日充填したばかりの冷却水ですが、サーモスタットハウジング(ウォーターネック)を取り外しても流出しない程度まで抜き取ります(前回、ラジエーターのドレンコックを純正形状の真鍮製のものに交換しておいたおかげで、ホースを接続し1滴もこぼすことなく冷却水を回収できました)。
アッパーホースを取り外し、水温によりEGRや点火時期をコントロールしているPVS(Ported Vacuum Switch)からバキュームホースを抜き取ります。
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これまで使用していたMotoradのハイフロータイプ(画像左)と今回購入したFlowKooler 333(画像右)の比較です。
バイパスポートを確実に閉塞する形状や開弁時の開口部の広さ等、冷却効率の向上に期待が持てる構造となっています。
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また、45年以上経過し、ホースとの接続部に腐食が発生しているウォーターネックも新品に交換するためFour Seasonsの製品を購入しましたが、ホースとの接触面がザラザラの鋳肌のままで、そのままでは使用する気になれなかったため、ヤスリで整形後サンドペーパーとピカールでテカテカに仕上げました(完全に自己満足の世界です)。
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エンジンブロックと接合するフランジ面も切削痕が荒く残っており、オイルストーンで軽く均しておきました。
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旧ウォーターネックから取外したPVSも完璧に清掃。これでやっと組立に進むことができます。
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ウォーターネックにPVSを取付。
ガスケットは今回FEL-PROの高級品を用意しました。
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エンジンブロック側の取付面を清掃・脱脂してサーモスタット→ガスケットの順で設置。
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ウォーターネックをボルト2本で締付けます(締付トルクは17~24Nmです)。
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バキュームホースをPVSに接続し、アッパーホースを復旧して組立完了。
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抜き取っていた冷却水を戻しエア抜きして終了です。
そして、一連の作業の成果は如何に・・・
この日は外気温が30℃程度と本格的な暑さではなかったのですが、86℃で電動ファンをONすると、1分程度で85℃まで低下させることが可能となっており、対策前とは比較にならないほど冷却性能は改善しているようで、今後、本格的な夏を迎えた際にどの程度の変化がみられるか楽しみです。
次回、オルタネーター交換に続きます。
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