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イイね!
2016年12月01日

3回目観てきた『この世界の片隅に』

3回目観てきた『この世界の片隅に』 やっとプログラムを入手出来ました♪
無地にタイトルのみのシンプルな装丁。
映画の内容をすでに知っているだけに、無地である事にまたココロが動きます。

3回観てやっと自分の言葉で映画の感想を話せるレベルになりましたが、語ること自体が野暮です。
この映画は、とにかく観てほしい。
ただそれだけ。

それでも、映画の事を話したくて話したくて。
ところが、この作品を語るのは非常に難しい。
セリフのひとつひとつ、カット割り、音の付け方、声優陣の声の抑揚、すべてが研ぎ澄まされて純度高く作り込まれてます。
ストーリーのひとつのエピソードに注目すると全体像が濁り、全体像だけを観てしまうとひとつひとつのエピソードが気になって気になって。
何ひとつ不要なモノがない完全体な作品です。正直、奇跡だと思います。

この奇跡を起こしたのは、やはりアニメーションという表現方法を選択したからでしょう。

いろいろな立ち位置から鑑賞する事ができる作品です。

3回鑑賞し、やはり若い夫婦の絆を強めていく過程からの視点で自分は観ていると気づきました。
戦中から終戦(そして戦後も)を生きた若い夫婦の物語。
戦禍が身近に迫るまでは、わりとほんわかしたストーリー展開ですが、夫婦の視点だとかなりのドラマが展開します。
すずさんの幼馴染が水兵となって登場するくだりは、夫婦の物語として観た場合のクライマックスです。
『すずと駆け落ちしに来ました』と宣言しているような幼馴染の登場と態度。
それに対する夫の対応と、すずさんの選択。
あのシーンのすずさんの艶っぽい作画。

すずさんという女性の生き様としても、自分は鑑賞していました。
絵を描く事が大好きで、いつもボーっとしていると云われるすずさん。
絵の中の空想でリアルな現実とのバランスを保っている女性。
彼女が初めて体験する空襲の際の、高射砲の弾幕と水彩画のモンタージュ。
あの演出には圧倒されました。
その時点では、すずさんはまだ『傍観者』の立ち位置だという現実。
その後、身近な命を奪われ、自身の空想を描く手段を奪われ、否応なく現実に引きずり込まれるすずさん。
追い打ちをかけるように降り注ぐ焼夷弾。
あの時のすずさんが浮かべた大粒の涙が、すずさん個人に焦点をあてて鑑賞した時のクライマックスだとおもいます。

そして、避けては通れぬ戦時という時代設定。
時代設定という大きい俯瞰視点で鑑賞するには、昭和20年8月15日という日の意味を知らなくてはなりません。
終戦の日と云うだけでなく、この国が価値観の相転移を起こした日。
まさに、どこぞの魔法少女が希望と絶望の相転移を起こしたかのように、
この国の明治維新より続く価値観が崩壊した日。
その意味を知らなくては、すずさんのあの日の慟哭の深さを理解できないと思います。
たまたま自分の親は、晴美ちゃんと同世代。
8月15日を境とした価値観の相転移の記憶を体験談として親から聞いていたので、
すずさんの慟哭がココロに刺さってきました。

そして、どんな立ち位置で鑑賞したとしても、地続きで今の自分たちの時代へと続くエンディング。

アニメーションでしか表現できない手段で描き切っていながら、その制作過程は古き日本映画の王道。黒澤明監督や今村昌平監督などの巨匠システム。
監督自らが私財を投げうち正に作品へ血肉を注ぎ込むような執念。
徹底的なリサーチとロケハンによるリアリズムの追求。
更には、アニメーションならではの省略とデフォルメ。
高畑勲監督が『かぐや姫の物語』で行った実験手法の正に完成形。

当然の事ですが
この作品は日本映画史に名を残しますが、その程度で収まらないエナジーを持ってます。
パルム・ドール 金熊賞 金獅子賞
を受賞できるレベルに達してます。

この大傑作に命を吹き込んだラストピース 女優のんさんへ最大の賛辞を贈りたいです。
すずさんはのんで、のんはすずさん。
彼女しかいませでした、この作品に命を吹き込むことができたのは。

ブログ一覧 | 音楽/映画/テレビ
Posted at 2016/12/02 00:22:05

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